« 行政計画学会 | トップページ | 河川台帳の存在 »

2004年9月25日 (土)

治水のイロハ「堤防」

世の中には人知れず「スゴイ」人というのはたくさんいるもので、ナギの会の渡辺寛さんは、その一人。今日は、彼が8月19日に提供してくれたたくさんの情報の中から、「堤防の緊急点検」の動きを、私自身が消化してその意味を考えるための日記です。

その一つは、「堤防の緊急点検」の動きを伝える情報でした。
7月23日に国土交通省河川局治水課が出した通知で、「堤防等の河川管理施設の緊急点検について」というもの。

内容は、04年7月に「新潟」「福島」「福井」で豪雨で堤防が破堤して大きな被害が起きたので、台風シーズン前に堤防などを「緊急点検」しましょう、ということ。通知先は、各地方整備局と都道府県の河川事業担当部長など。

石川県にお住まいの渡辺さんは、さっそく、石川県に確認をいれたようです。ところが、「そんな通達、どこで見たんですか?」という反応だったそうです。

しかし、そんな調子でも、なんとか全国の緊急点検の結果がまとまったようです。結果として、国交省が管理する区間で約1万3千kmで「70箇所」、都道府県が管理する区間で約3万9千kmで「905箇所」、両方で合計「975個所」も、修繕工事などが必要な箇所が見つかったとあります。

その中でも圧倒的に異常に多いのが、新潟県で「417カ所」。約半分ですね。その後、多い順では、山口県、富山県、岐阜県と続いています。都道府県別に「堤防等の河川管理施設の緊急点検状況(都道府県管理河川)」がまとまっています。「ウチの県はどうかしら?」という確認はこちらで。

ただし、当初の通知の不徹底ぶりから判断すれば、各都道府県での調べ方や熱心さに誤差がある可能性もあるので、各自治体の危険箇所の「数」の比較には意味はないかもしれません。

またひねくれた見方をすると、この時期の彼らの業務内容(8月は自治体にとって概算要求の季節。これから年末にかけては、予算ぶんどり合戦を繰り広げる時期です)と重ね合わせると、ひょっとすると、と考えてしまうことがあります。

国交省が自治体の声をまとめた形で「38自治体のうち、約8割にあたる30の自治体が、予算制約があり十分な対策ができないと回答している」とまとめたことが気になってしまうのです。これまで「ダム」の新設に力を入れて、治水のイロハのイである堤防整備をないがしろにしてきた国の河川行政を反省もせず、自治体の予算不足をアピールするのは、ちょっとどうだろうか、と。

さらには、河川事業の予算が減ってきているからだと言わんばかりのグラフを示して、「予算の制約が河川管理に支障をきたしていると考えられる」と、これまたアピールしています。しかし、これまでさんざん毎年毎年つけられていた予算を有効に活用していなかったのではないか、予算配分のメカニズムに問題があったのではないかと省みて、その構造を変えようという提案を出してくるべき時ではないでしょうか。

★何はともあれ、堤防が切れるかもしれないという危機管理意識を住民に持たせてこなかった河川行政を反省してそれを転換することが、本当は最も重要かもしれない、と私は思います。

★そう考えた場合、この点検で得た結果に関してやらなければならないことは、次のようなことではないでしょうか。

1)どこが危ないところなのかという975カ所を公開すべき(数ではなくて)、
2)1)によって都道府県の点検に漏れがないか、住民の目でも確かめてもらうべき
3)限られた予算でどこの堤防を優先して修理していくか、地域住民の声を反映させる機会を作るべき

それが、本来、河川法16条で定めることになっている「河川整備基本方針」の基本とならなければならない作業なのだと思います。具体的には16条2項 「河川整備基本方針は、水害発生の状況、水資源の利用の現況及び開発並びに河川環境の状況を考慮し、かつ、国土総合開発計画及び環境基本計画との調整を図つて、政令で定めるところにより、水系ごとに、その水系に係る河川の総合的管理が確保できるように定められなければならない」で、ざっくりと触れられているだけです。

そして、これが、現在、住民への情報公開がない段階で、住民参加なしで、国交省が一方的に定めることになっています。それはおかしい。「堤防」つまりは、「治水」という河川法の本来の目的から言っても、河川法は改正をすべきだと思うわけです。

河川整備基本方針の策定段階からの住民参加が必要だと。
そう思いませんか?国土交通省さん?


まさのあつこ
ちゃっかりオマケ「日本で不妊治療を受けるということ」アマゾンに登場!

|

« 行政計画学会 | トップページ | 河川台帳の存在 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。