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2004年9月10日 (金)

ダム事業の決定権

【住民に手の届かないダム事業の決定権】
 一つ前の日記でお伝えした「行政手続法」の改正がなぜ「ダム」と関係するか?
 ダムは「行政手続」だけで決定するからです。
 行政の手続には(もの凄く大雑把に言うと)二つあります。
 一つは法律に基づいてやること。一つは、行政の裁量でやること。
 日本政府の最大の問題点は、「行政の裁量」の幅が広すぎることです。
 ダムもご多分にもれず、「行政の裁量」で作られます。

 たとえば、国土交通省のダムは、“隠れ箕“と言われる審議会のことを脇へおいて、どう決まるかと言えば…、
1) 基本高水(ダムが無い状態で川に流れる流量)の想定
2) 計画高水(ダムができた場合に川に流れる流量)の想定
この二つが、国土交通省内の裁量で決められます。
これに基づいてダム何個などと決めます。その決定が、水没予定地域に上からガンと下されてしまう仕組みです。

 この1)がそもそも過大な想定になっているケースが多く、そのために不要なダムまでできてしまう仕組みです。(大雑把に言うとですね)
 この想定さえ正しくやれば、ダムは要らなくなるところがたくさんあります。徳島の吉野川は、堤防に残った過去最大の洪水の痕で、想定のウソがバレましたね。
 また、例えば脱ダム・長野県の砥川では、この1)2)の決定権が現在、国土交通省にしかないために、簡単に脱ダムへと移行ができず、四苦八苦しています。過去にどれだけの雨が降ったか(川にどれだけの水が流れたか)という実績や土地に住む人の記憶ではなく、机上の計算で決定されてしまっていて、管理を任せている川ですら、その決定権を県に渡さない。
 住民には当然、その決定権はありませんし、意見を言う場も、反映される場もありません。そういう仕組み(法律)になっています。
 
【河川砂防技術基準】
 川のそばに暮らす住民の意見を聞かないで、何で決めているかというと、あながち「決まり」がないわけでなく、「河川砂防技術基準」なるにものに基づいて、国土交通省はやっています。彼らは一定のルールに基づいてやっているという言い訳が立つわけです。
 では、この基準(ルール)を決めるとき、住民・国民の意見を聞いているかと言えば、これも裁量です。このような基準(ルール)を「行政立法」と言います。
 行政手続法の改正に求められているのは、このような「行政立法」(行政現在は一方的に裁量だけで決めているルール)に、住民の意見を取り入れられるようにすることです。
 ところで、一つの笑い話ですが、この、これまで散々ダムを作ってきた根拠となっている「河川砂防技術基準」には、昨年度末(今年3月末)まで、(案)がついていました。昭和30年代からずっとです。確定しないまま「河川砂防技術基準(案)」の状態で使われてきました。「常に改定をしながら、最善の基準を採用してきた」と担当者は言いますが、それを何故、今、とりはずそうとしているのか、イマイチ聞いてもわかりません。
 興味のある方は、国土交通省河川局河川計画課河川情報対策室のリリースをご覧ください。 

【日米ダム事業決定権比較】
 ちなみに、比較のために持ち出すと、「ダム建設は終わった」とされるアメリカでは、法律の中に個別のダム事業名を書き込んで推進派議員が法案を議会に提出し、多数決で建設するか否かを決めるという仕組みが(他の仕組みもあるかも)あります。
 そこで、ダムに反対する住民・環境保護団体・ロビー団体は、一丸となって、各州の個々の議員をめがけて活発なロビー活動を展開します。こうして、賛否に一人の国民が持つ「政治力」として影響力を行使できるし、その結果が目に見えるわけです。
 こうして止まっているのが、例えばカリフォルニア州のオーバンダムです(99年に現地に行きました)。しばらく目を離していましたが、2001年にもまだドンパチやっていたのですね。「無党派予算ウォッチドッグ」と自称する「Taxpayers for Common Sense」というNPO(ロビー活動や選挙活動ができる501(c)(4)という種類のNPOです)がそのドンパチを伝えています。

【というわけで】
 「行政手続法」の改正によって、最低でも、「河川砂防技術基準」を決めるとき(行政立法)に住民や自治体が異論を差し挟み、反映されるようになれば(あるいは、「河川砂防技術基準」以外のものを重視するという仕組みに変わることでもよいのですが)、ムダなダムに血税を費やされることが避けられるというわけです。

【八ッ場ダムの場合】
 先日お伝えした八ッ場ダムも同様に「過大な想定」がもとになった計画です。
 今日は、一都5県(東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城)で合計5000人以上により、一斉住民監査請求が行われています。

 ★60日以内に、各都県の監査委員が監査を行って、知事や水道事業管理者に勧告を行うか否かを決定しますが、監査委員に、この「過大な想定」のもととなっている根拠の「河川砂防技術基準」の話まで、理解できるのだろうかというところが問題です。

 地方自治法に基づく「住民監査請求」という仕組みの限界や問題点まで言い出すと、キリがないので、この辺でやめておきます。以下、私も取材にいく予定の報告集会です。

【八ッ場ダムをストップさせよう 東京集会】
日時: 2004年9月12日(日) 13時30分~16時30分
会場:新宿住友ホール(新宿住友ビル 地下1階)
新宿区西新宿2-6-1TEL:03-3344-6961

講演:田中康夫(長野県知事)   「脱ダム社会への道」
報告:板井 優(川辺川利水訴訟弁護団団長)
   「川辺川ダム利水裁判の勝利」
   嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
   「八ツ場ダムは何が問題か」
   各都県の市民から
   「八ツ場ダムの住民監査請求の報告」
資料代: 1,000円
主催: 八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会
お問い合せ;
八ツ場ダムをストップさせる東京の会Tel: 042-467-2861田中清子/埼玉の会Tel: 048-825-3291藤永知子/千葉の会Tel: 043-486-1363中村春子/群馬の会Tel: 027-224-8567 鈴木庸 /首都圏のダム問題を考える市民と議員の会Tel: 03-5211-5429堀田・柴田

以上
まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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