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2004年10月13日 (水)

住民監査請求が機能しないのは何故か

04年9月10日に一都五県(東京、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城)に対して5391人が一斉に行った住民監査請求の結果が、少しづつ出てきています。
 計画から52年。03年、国交省が事業費を2110億円から4600億円に倍増を提案。埼玉県では知事をして県議会で、「2000万円で契約をした家の完成が間近に迫ったときに、4600万円だと請求されているような思い」{こうしたことが本当に世の中で通じるのか激しい怒りも感じております」と言わしめた増額を受けての住民監査請求でした。

住民たちが監査委員に求めた内容は、以下の通り。
●知事や水道事業管理者に対する以下の支出差し止め
1) 建設負担金(起債利子を入れると総額約8800億円
2) 水源地域整備事業の経費負担金(総額997億円)
3) (財)利根川・荒川水源地域対策基金の経費負担(総額249億円)
● 知事に対しては、また
4) 一般会計から水道事業特別会計への支出差し止め
5) 昨年1年間の支出(都県総計で104億円)に対する損害賠償請求

ところで、「住民監査請求」とは?不当もしくは違法と思われる公金支出について、住民が、監査委員に監査を求める仕組みです。監査委員は請求から60日以内に監査を行って勧告を行うかどうかを公表するわけです。
 
 では、「監査委員」とはどのような人か?都道府県には4名います。2名は識見者、2名は議会議員。これすべて「地方自治法」に基づいています。監査委員は、年一回以上、自分たちでも監査を行いますが、それを補う制度が住民監査請求なわけです。

 ところが、この制度、まったく信頼されていない。「どうぜ門前払い」されると諦めて、訴訟を行うための通過点の一つくらいにしか考えられていない。そこで、いちおう調べてみました。機能していないという点は、まったくもって本当。

一都五県住民監査請求結果(2003年度)
受付 却下 棄却 勧告 その他
東京都 49   37  10   2
栃木県 5    0   3   0  *
埼玉県 8    7   0   0  **
千葉県 16   9   5   0  ***
茨城県 0    0   0   0
群馬県 5    4   1   0
* 「継続中」1件、「一部認容、一部棄却」1件
* *「請求した住民が取り下げ」1件
* **「一部棄却、一部却下」2件

 信頼をおけない制度というのは分かった。だからなのか、茨城のように、請求自体がゼロだった県もある。じゃ、機能しなくてもいいのかといえば、違う。茨城では代表監査委員は月66万円、議員ですら給与と別に13万3千円も報酬をもらっているので、ムダを省く仕事をしてもらわねば、それ自体がムダになります。

 ところが今日また、1都5県のうち、監査請求を「却下」した自治体が出ました。今度は栃木県。「法第242条に規定する住民監査請求の要件を具備していないものと判断し、却下します」と。
 却下の理由を簡単に言えば、今回の請求は、「財務会計行為自体の違法性・不当性」というものにはあたらないということです。

 河川法に基づいて、治水・利水という目的をかかげて事業を開始したにもかかわらず、その効果が得られないのであれば、「不当」以外のなにものでもないはずで、そのことが理解(検証)できないのは、監査委員の能力の低さを露呈しているのではないかと、腹が立ってくるわけです。
 
★また、こうなってくると、地方自治法のおかしさも感じざるを得ない。
 監査委員4人はいわば被告である「知事」が選んだ人であること。
 議員二人は議会の中で一度、予算に賛否を示した立場であり、内輪の関係者でかばい合っている構図にしか見えないわけです。地方自治法の改正が必要課題として生じていると言えます。
 
 以下は、埼玉ですら却下を行ったことに対し、住民監査請求を行った「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」の抗議文です。転載させていただきます。

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不当な監査結果に抗議する
八ッ場ダム事業に関する住民監査請求の却下について

 9月10日、893人の監査請求署名を添えて、埼玉県監査委員に「八ッ場ダム建設事業に対する負担金の支出差止等を求める住民監査請求」を提出しました。その監査結果が10月8日、郵送されてきました。監査結果は、監査請求を却下するというものでした。
 請求の内容について全く審理することなく、意見陳述の場すら与えずに、門前払いというべき却下という結果を出した監査委員に対して、強い憤りを覚えます。
 八ッ場ダムは治水・利水の両面で建設の必要性が失われ、さらに様々な災いをもたらす事業です。その事業に対して、埼玉県が総額で約800億円(起債利息も含めれば約1,200億円)も負担するのは、公金の無駄遣い以外に何ものでもありません。900名近くの県民が今回監査請求を行ったのは、このように無意味な事業に埼玉県が参加することを何としてもストップさせなければならないという思いが結集したものです。その県民の思いを監査委員は踏みにじりました。
 私たちは、地方自治法、地方財政法、河川法等に照らして、必要性が失われた八ッ場ダム事業に対する埼玉県の費用負担は違法であることを指摘しましたが、県監査委員はそのことには耳を傾けず、明白な違法性の提示なしという不当な判断を行いました。必要性の喪失、巨額の公金無駄遣いという重大な事実に目をつむり、実体審理を行うことなく、監査請求人の権利である意見陳述の場すら与えずに、門前払いという結果を出した監査委員は、その責務を放棄したと言わざるをえません。
 私たちは、今回の監査結果に対して強く抗議するとともに、八ッ場ダム事業への参加の不当性、違法性を問うために、住民訴訟を起こす意志を表明します。

2004年10月12日
八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会
(連絡先などここでは省略)
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本文とは関係ありませんが、写真は堆砂で埋まったダム。(山梨県奈良田温泉の前で)
naradadam.jpg

以上

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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