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2004年10月 3日 (日)

河川台帳の存在

国土交通省および都道府県の河川担当者に是非、読んで欲しいこと。河川法12条で、河川管理者は、管理する河川の台帳を調整し、保管しなければならない、閲覧を求められたら、正当な理由なしに閲覧を拒むことができないとされています。ところが、どうもこの河川台帳を、しっかり調整・保管・公開していないことが、各地からの情報で分かり始めました。

【石川県の場合】
前回の日記で少し紹介した渡邊寛さん、ある日、関心ある犀川(石川県営の辰巳ダム計画があります)の「工事実施基本計画を調べようか」と思いながら河川法を読んでいて「河川台帳」という言葉を見つけたそうです。第12条(河川の台帳)です。

「河川台帳になんでも書いたあるやろう」と思った渡邊さんは、石川県庁に足を運びます。
見せてくれたものはハードカバーの装丁。資料が一杯。ただし内容は、「お粗末なモノ」だったそうです。「犀川では、台帳の図面は昭和48年調整のものが一番新しい!この図面は、その前年につくられた「犀川中小河川改修全体計画」の時の計画図面そのものなんです。本来ならば、7年後の工事が終了した時、実測図面を作り台帳の調整をすべきだったと思うのですが。。。。」

そして、渡邊さんは、今後を予測してこう述べます。

「石川県では、この行政の手抜きのツケが、恐らくこれから出てきます。現在おこなわれている河川整備基本方針や河川整備計画の議論もこの図面を元にしているため、現状とかなり食い違います。流下能力の計算や堤防整備に不可欠な基礎データが30年前のものですからね。肝心の基準点の河道断面が恐らく実測値とかなり違いますし、河床の洗掘も進んでいます。河道の流下能力が行政の計算と大きく違うことになるはずです。」

【新潟県の場合】
新潟県営の奥胎内ダム計画に取り組んでいる「奥胎内ダムを考える会」の高見優さんは、「1年以上前から、奥胎内ダム問題に関して胎内川の河川整備の歴史を調べようと思って、河川法に書かれている河川台帳を情報公開請求をしたら、図面(その地域の地形図のような図面)が1枚あるだけで、何の経緯もわからなかった」と。

そして最近、清津川について国土交通省の北陸地方整備局で調べて、ついに「ほとんどの川の河川台帳が未整備」なのだと気づいたと言います。調べたきっかけの一つは水害を巡る市民間の論争。一つは東京電力の水利権の更新(来年は、東京電力が清津川に持つ80年以上前からの水利権の更新時期にあたる)。ご当地の中里村では、村長・議会・土地改良区・住民がこぞって水返せ運動をしているのだそうです。

高見さんは、河川台帳や水利台帳を「調整」「保管」していないことに憤慨しているだけではありません。「公開」についてもです。法律では「閲覧」を拒むことができない。つまり公開しなければならない。判断の予知は1ミリたりともない。当然、閲覧まではさせてくれたが、その場でコピーを頼むと、地方整備局に情報公開請求の手続をしてくれと言われてしまった。高見さんは食い下がり本省に問い合わせた。それでも、開示請求をしてくれと言われてしまった。法律で閲覧が決まっているなら公開か非公開の判断(行政処分)は不要。その場でコピーが当然。情報公開の理念がまったく分かっていない官僚のレベルの低さに、高見さんご本人ならずも、聞いているだけで辟易します。

インターネット時代、かなりの情報が、情報を持つ側の意図で取捨選択され、掲載されています。一方、河川法で求められている基本的な河川台帳や水利台帳が、整理、調整、保管、そして、あるべき姿で公開されない。何が問題か?行政の担当者一人ひとりが、考えなければならない過渡期にいるのだと、思うのです。

情報の掘り起こし、私も日々、苦労しています。

【参考】
河川法 第十二条 (河川の台帳)河川管理者は、その管理する河川の台帳を調製し、これを保管しなければならない。
2  河川の台帳は、河川現況台帳及び水利台帳とする。
3  河川の台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、政令で定める。
4  河川管理者は、河川の台帳の閲覧を求められた場合においては、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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