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2005年1月31日 (月)

東京電力への補償

 すみません、お待たせしました。前回の続きです。八ッ場ダムを計画通り使うためには、河川法41条に基づいて、東京電力に、水利権を放棄させ、国土交通省が、補償を行わなければなりません。
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(水利使用の許可に係る損失の補償)
河川法41条 水利使用に関する第二十三条又は第二十六条第一項の許可により損失を受ける者があるときは、当該水利使用に関する許可を受けた者がその損失を補償しなければならない。
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 その補償費はいくらですか、このことについて、東電との協議はどうなっていますかと、衆議院の塩川鉄也議員が、「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で尋ねました。2004年11月30日です。返答は、12月10日小泉純一郎・内閣総理大臣から届きました。

 この質問主意書と答弁そのものの該当箇所は以下に転載しますが、言葉が難しいので、質問と回答を合わせて、何が分かったか、何が煙に巻かれたかを解説します。

【明らかになったこと】
1) 八ッ場ダムに水が取られる分、東電の発電量が減るので、国は、東電に「減電補償」を払う。

2) これについては、1992年(建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に協力依頼をした年)以降、東電と協議している。

3) 減電補償の額は、東電の経営にかかわるので秘密。

4) 総事業費4600億円の中に、現在、計上されている「特別補償枠」217億円の中に「減電補償」も含まれている。(だが、それがすべてであるとは回答していない)

【国が明らかにせず煙に巻いたこと】
A)「特別補償枠」217億円という額は、工事期間中の補償費しか含まれないのではないかという質問には無回答。→つまり、ダム完成後の減電補償も入れると、217億円では済まなくなる可能性が非常に高い。

B)ダム完成後の減電補償が、217億円に含まれていない場合、その分、さらなる八ッ場ダム事業総額が、4600億円をさらに超える(増額)となる可能性。

C)「減電補償」の積算根拠は、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」と「任意による交渉」だとぼかした。「等」とは何か、「任意による交渉」で額は変わるのかという可能性。

 そこで思います。「等」だろうが、「任意による交渉」だろうが、それは、納税者や東電の株主に対し、公開されたものでなければならないだろうと。また、額の交渉の前に、現在、立派に使っている発電施設を放棄してまで、(要らない)水を確保することが、妥当なのか、そんな二重投資が、今この世の中に許されるのかが、本来は先に公開の場で決定されるべき事項だと、今、書いていて思います。

 その意味で、私も(前号の日記にコメントを付けてくださった方と同様)、神原さんの考え方「東電は水利権を放棄すべきでない。既存施設の有効利用すべし」に、賛成です。

 以下は、塩川鉄也衆議院議員の「八ツ場ダム建設に関する質問主意書」で、該当箇所の切り抜き。全文を見たい方は、衆議院ウェブサイトの第161回国会で、探してみてください。

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【質問】
七 吾妻川流域の東電が持つ水力発電用水利権の中でも、八ツ場ダム予定地付近では白砂川取水堰七・五トン,須川取水堰四・五トン、長野原取水堰十八・五トン、合計約三十トン(いずれも毎秒)もの水が、発電用の送水管の中を通って迂回している。ダムの利水権は毎秒十四・七トンであり、まともに水が得られるのか。水確保について東電との協議内容を明らかにされたい。
 また、東電に対する減電補償費については、総事業費四千六百億円の中に含まれていると説明しているが、積算根拠と額を示されたい。特別補償枠は二百十七億円が計上されているが、この殆どは送水路の補強工事費や工事期間の減電補償費と考えざるをえないが内容を示されたい。特別補償枠の中にダム完成後の減電補償が含まれているのかいないのか、を明らかにされたい。

【答弁】
七について
 お尋ねの水力発電は、株式会社東京電力(以下「東電」という。)が、貯水池の上流の吾妻川及び白砂川等から最大毎秒三十・一四八立方メートルの河川水を取水し、それを発電用導水管を通すことによって行っているものであるが、八ツ場ダムによる流水の正常な機能の維持並びに水道用水及び工業用水の開発に必要な水量を確保するため、東電に対して減電補償を行い、これまで水力発電に使用されてきている吾妻川及び白砂川等の河川水の一部を貯水池に流入させることとしている。
 右に述べた水量の確保に関しては、平成四年に建設省関東地方建設局八ツ場ダム工事事務所長から東電に対し、諸調査の協力依頼を行い、それ以降、継続的に東電と協議してきているところである。
 お尋ねの東電に対する減電補償の額については、「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」(昭和四十二年二月二十一日閣議決定)等に基づいて算出するものとされているが、その見込み額については、今後、任意による交渉を経て契約に至らなければならないものであるとともに、個別企業の経営上の問題にかかわるものでもあることから、具体的な数値をお示しすることは差し控えたい。
 また、事業費の内訳として公表している「特殊補償」の額には、東電に対する減電補償の見込み額も含まれている。

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以上。東電は、現在も、今年の春終了予定の大がかりな隋道工事をしているとの情報が入りました。つまり、東電では、新たな投資を続けているわけです。写真は八ッ場ダムを考える会提供です。DSCN5780.jpg

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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