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2005年2月27日 (日)

「暫定」と「安定」水利権

水利権許可行政を見直すべし

 クライマックス第三弾でいよいよ、本日の最終レポートです。
 まずは解説です。「河川は、公共用物」(河川法第二条)なのですが、それを使うには、河川管理者(おおざっぱに言えば、一級河川が国土交通省、二級河川が都道府県知事)に「水利権」を申請し、許可されるという形で可能になります。今日、お伝えしてきた2月25日、衆議院予算委員会分科会での塩川鉄也議員の質問の最後は、この「水利権」許可行政を見直すべきではないかというものでした。

 国土交通省は、不思議なことに、「水利権は、ダムを作ると増える」と考えます。
 逆に言うと、ダム無しで取水できる水のことを「暫定水利権」と呼び、「ダムを早く作って解消して安定水利権にしましょう」という考え方をします。おかしいですね。
 実際に、川に流れている「水」には何も変わらない。それなのに、彼らは「安定」に対して、勝手に「不安定だ」と言います。 しかし違います。

 帳簿上で、「暫定」と呼んだり「安定」と呼んだりしているだけで、「安定」の反対は「不安定」という意味ではない。実際には、何も変わりません。
 なのに「ダム無し」で取れている水は、早く解消しなければと理屈を付けて、結局、これが、たとえば八ッ場ダムを作る理由になっています。

  いや、ほんと。そんなことが、八ッ場ダムを作る理由になっているんです。
 
 「暫定」か「安定」か、呼び名の違いだけで、ダムが要るという理屈になっています。でも、実際のところ、水は、足りている。そのことを、塩川議員は明らかにしました。
 
 ちょっと解説し過ぎかもしれませんが、国土交通省河川局長が、わざわざ、分かりにくく答弁しています(まったく日本語になっていないところがある)から、その意味でたっぷり解説させていただきました。

塩川鉄也議員:
利水について伺う。特に埼玉県にとって農業用水の合理化事業の問題がある。その水利権が暫定的なもので、非灌漑期の水源を別のダムにより手当しないと安定した水利権とならないとされている。しかし、現実には水は供給されている。安定した水利権として認めない理由はなんなのか?

河川局長:
農業用水の合理化事業について。灌漑用水はだいたい夏期に必要な用水である。夏の間の用水を合理化するようにして生み出される新たな水源は見直しの中で出てくる。冬期間については、そもそも農業用水の水利権がもともとない。したがって、冬期間の流況に対して、安定した水利権が与えうるかどうかは、実際の流況は、例えば平成8年、9年には、冬季に取水制限が行われるような渇水が起きてきている。安定的な水源とするためには、たとえば、八ッ場ダムの新たな水源開発に乗らなければ水利権を付与することができないとなっており、現在の暫定水利は、ダムが完成した時点で、安定水利になるという性格のもの

塩川鉄也議員:
しかし、もともと冬場は農業用水は使っていないから、河川の流量が夏期と比べて少なくなるとはいえ、都市用水の取水が困難になることはない。97年、98年の話もあったが、取水制限のときも余裕があった。冬場に取水制限が行われた97年、98年でも、実際には調整もなかった。20年間困難があったことはない。流況を調査したデータを見ても、現実には余裕があることが示されている。暫定水利は、「暫定」と言えるのかが、今問われている。これは機会を改めて議論したいが、暫定水利権の扱いを含めた水利権の許可制度について抜本的な検討が必要ではないかと考える。

最後に一つ大臣に伺う。水については首都圏では、水道事業者、水利権者はそれぞれあるが、水そのものは一つ。水の融通ということについて、もっと現実に即した対応が必要ではないか。例えば、水利権の転用についてもハードルが高いと言われている。工業用水から上用水への転用を円滑におこなえるよう求める制度見直しを認める声もある。

 日本工業用水協会のまとめた「今後の工業用水事業のあり方に関する研究会」報告書では、上水等への転用が円滑に行われるよう、たとえば転用に伴い、返還する工業用水事業補助金と、新たに交付される上水道補助金事業との相殺や、一定の要件を満たした場合の工業用水事業補助金の返還免除など制度の見直しの検討を求めている。経産、農水が対応するってこともあるだろうが、水利権者の間の調整や水道事業者相互の水融通について、もっと時代に合わせた柔な対応が必要ではないか。大臣いかがか?

国土交通大臣:
水利用の合理化は私も必要だと思っている。水利権の転用をはじめ、水道施設での漏水の防止、工業用水の回収利用の向上、下水処理水の再利用、雨水の有効利用等、水利用の合理化はこれからもしっかりと推進させていただきたいと思っている。利根川水系における水利権の転用は、実績は、昭和40年度から26件ある。そのうち転用先は24件が上水。

塩川鉄也議員:
利根川流域の実状に合わない水利用計画や取水対策を見直して、住民の声を反映した水計画を作ること、中でも八ッ場ダム計画の中止を改めて求めて質問を終わります。

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というわけで、見事な充実した30分の国会質問でした。

「現在の暫定水利は、ダムが完成した時点で、安定水利になるという性格のもの」という河川局長の答弁。これが「利水問題」のすべてです。

「暫定」(彼らが言う「不安定」)か「安定」か、というのは、ダムを作る「前」と「後」の名称の違いでしかありません。

水は、もともと、川にあります。
人間の、いえ、国土交通省の都合で名前が変わるだけ。
それが、「暫定」と「安定」の違いです。

おんどりゃ~。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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