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2005年8月30日 (火)

川辺川ダム:収用取り下げ勧告

各紙でも取り上げられていますが、大きなニュースです。

 2005年8月29日、「川辺川ダム」事業推進のために進めてきた「土地収用手続」で、熊本県の収用委員会が国土交通省に対して「取下げ勧告」を出したのです。

 川辺川ダムを作るには、ダム本体着工による漁業への影響への補償交渉に応じてもらうことが必要でした。しかし、それに応じない漁協に対し、「土地収用法」を適用して、漁業権の収用をしたいと国交省(河川管理者)が、国交省(収用のための事業認定者)に申し立てたのが、最初。

【収用手続】
 土地収用の手続は2段階に分かれており、1段階目は、収用するに足りる公益性があるか(公共事業としてふさわしいか)どうかを国交省が判断、2段階目は各都道府県にある「収用委員会」で補償などについて話し合うというもの。

 川辺川の場合、一段階目は「右手(国交省)で申請、左手(国交省)で認定」とよく言われるように、もちろん、認定。川辺川ダム反対派にとってはピンチでした。

【農家が漁師のピンチを救う】
 ところが、その間、川辺川ダムから水をひく予定だった国営川辺川土地改良事業に対し「ダムの水はいらん」裁判が起きて、そちらでは、死者からの同意までカウントされていたことが判明し、結局のところ、この「国営川辺川利水裁判」によって事業自体が違法と判決され、国はまさかの敗訴をしました(あっさり確定しました)!

【落としどころに落ちる】
 こうして、川辺川ダム建設の主要な目的の一つだった「灌漑」が、いわば、ふっとんで、収用委員会は、この間、ストップしていました。

 「収用手続」の中には、この利水事業がきっちりと書き込まれていました。その書き込まれていた事業が「違法」と裁判所に判断されたワケで、本来、国交省(河川局)は、この時点で、自主的に「取り下げ」をしているべきでした。ところが、その落とすべき落としどころを落としたまま、国交省からは、昨日まで先延ばしで来ていました。

 それで、落ち着くべきところに落ちた収用委員会から国交省への「取下げ勧告」です。

 その歴史的な「取下げ勧告」をした収用委員会の傍聴に行かれた小丸さんから許可をいただき、以下、転載です。(小見出しつけさせていただきます。)

    ***

 お昼頃に会場に着いたのですが、雰囲気が和やかでしたので、聞いてみたら「取下げ勧告」が出たとのことで、思わずガッツポーズです。

 そういった意味では午後の審議は「結末がわかった推理小説」みたいなものでしたが、やっぱり感動しましたね。

【国交省の主張】
 まずは、国交省からの意見陳述。要点は「もう少しで、新利水計画が策定されるので、待ってちょうだい。ウチには違法性はないのだから」というもの。

【収用される側の主張】
 続いて「権利を主張する者」代理人の弁護団からの意見陳述。「福岡高裁判決以来、長期にわたる引き伸ばしは、土地収用法・憲法の理念に反する。収用委員会は速やかに却下の判断をするべき」というものでした。

【収用委員会の判断】
 この意見陳述の後、塚本会長からの判断が示されました。「収用委員会としては、起業者に収用裁決申請取り下げの勧告を行う。来月22日までに、取下げがない場合は、次回9月26日の審議において却下の裁決を行う」という宣言でした。

 思わず傍聴席からは、拍手(本当はだめですけど、今日は制止がなかったな)でした。

 収用裁決申請の取下げの勧告とは、平たく言えば「取下げすれば、今回の収用案件はなかったことにしましょう」とことです。しかし、取り下げなかったら却下しますとまで言及したことで、事実上の「却下」ともいえます。

 というわけで、最終判断は国土交通省に委ねられましたが、九州地方整備局で判断できる問題ではありませんので、霞ヶ関にいる大臣の最終判断でしょうね。

【意味】
 収用裁決申請の「取下げ」もしくは「却下」って大きな意味を持ちます。確かに収用手続自体は、事業そのものの是非ではなく、事業者が行う土地や権利の取得に関するものです。ただ今回は却下の理由が「利水事業」というダムの公共性そのものが揺らいだためです。

 振り返れば、川辺川ダムに関する収用案件審議は、異例づくめでした。全国初の漁業権収用、審議途中での利水判決、そして今回の「申請取下げ勧告」。
 収用制度だけでなく、日本の公共事業のあり方に大きな一石を投じた今日の「取下げ勧告」ではなかったかと思います。

~~転載おわり~~~~~~~~~

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp

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