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2005年12月 9日 (金)

司法による行政チェック(その2 永源寺第2ダム)

大阪高等裁判所はまだ、情報提供の質・量・スピードが最高裁には追い付いていませんね。でも、数年前と比べると大進歩。前は、過去の判決文が欲しいとなると、裁判所に電話をしても「分からない」と言われたものです。事件を扱った弁護士さんを見つけて・・とたいへんな遠回りが必要でした。今は、過去のものについては、下級裁主要判決情報の検索ページが出来ています。
 頑張れ裁判所!

 というわけで、その2は2005年12月8日 
 農水省が、滋賀県の愛知川で土地改良事業として計画していた「永源寺第2ダム」の事業計画決定の取り消しを求められた訴訟。大阪高裁が、「ダムの規模を誤って設計した重大な瑕疵」として、事業計画の決定の「取消しを免れない」としました。

 これは、川辺川の土地改良事業の利水裁判で、死者に同意のハンコを押させて、違法だと判決を受けて、国もぐうの音もでなかったのに続き、農水省の大チョンボですね。問題外というか、特にコメントありません(^^;)。
 原告のみなさんが訴えたからこその結果であり、原告と弁護士のみなさんにただただ敬意を表します。

 以下、ご参考まで(弁護士さんにいただいたものの転載です)。

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裁判要旨(骨子)
1 原判決主文第1,2項は相当であって、これに関する控訴を棄却すべきであり、同第3,4項は基本的に相当であるところ、一部相当でない点があるので、その点を変更し、同第5項は、控訴人目録3の控訴人溝上君江の夫の溝上捨吉、控訴人野田清司及び同野田哲夫宛の異議についての各決定の取消しを求める同控訴人らの請求は理由があるから、同各決定を取り消す。

2 すなわち、本件事業計画決定には、決定の時点で、ダムの規模を誤って設計した重大な瑕疵がある。この瑕疵は、ダムの貯水容量を算定し、また、ダムの規模を設計するために被控訴人側が定めた通達等所定の地形調査の一部やボーリング調査等の地下地質調査の一部を実施せず、事業計画の決定の際に把握すべきであった建設予定地の地形や地質が正確に把握されなかったことにより生じたものである。そのため、少なくとも、通達による投資効率の算定値基準を充足しない可能性が生じる結果となり、結局、経済性の要件についての適正な審査がされずに、その点が看過されたまま本件決定がされたというべきである。その点が看過されると、国や地方自治体の多額の公金を含む多額の費用の投入が予定されている大規模な国営の土地改良事業である本件事業について、法及び令が国民経済的な観点から規定した経済性の基本的な用件が無意味になってしまいかねないというべきである。

3 そして、土地改良法は、本件事業計画の決定が専門的知識を有する技術者の調査・報告に基づいてされなければならないとしているところ、本件事業についての調査・報告は、上記の諸点に基づく瑕疵について調査された形跡がなく、またその旨の報告もなく、不十分であり、土地改良法の趣旨に反するものといわざるを得ず、本件決定は、実質的に専門的知識を有する技術者の調査・報告に基づいたものともいえない。

4 このように、本件事業計画の決定には、極めて重大な瑕疵があり、それは適正手続に反するもので、その決定が専門的知識を有する技術者の調査や報告に基づかなければならないものと定めた土地改良法の趣旨に反し、いずれの観点からも違法であって、本件事業計画の決定は取消しを免れず、控訴人目録3の各控訴人の関係で異議申し立てについての上記の各決定は、取消しを免れない。
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まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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