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2005年12月 4日 (日)

情報スッポンポン(第二ラウンドの前提)

 続きです。研究者がそれぞれの知見を共有することで、研究会中に、面白い発見がありました。基調講演を行った東工大の桑子敏雄先生は、淀川流域委員会の、「木津川上流住民対話集会」で、住民意見反映のための集会の設計と運営をされた貴重な経験を持つ。合意形成マネジメント協会の理事長でもある。
日頃から、いかに従来の日本の「キーパーソンの根回し型合意形成」から「不特定多数の合意形成」へと変化していかなければならないか考えておられる。

 「淀川流域委員会は、『情報を小出しにすると、まだ何かあるのではないか。隠しているのではないかと疑われる、だから表現は下品だが、情報スッポンポン、パンツまで脱ぐ』と国交省が言って始まったんです」と笑いを取って講演が始まった。

3つの立場
 その桑子先生の的を射た整理の仕方で最も興味深かったのが、3つの立場の合意について。3つの立場とは、「学識経験者」「関係住民」「都道府県長/市町村長」。
 河川整備計画策定の際、その3者の意見を聞くようになったことは、とても意味がある(下記参照)。なぜなら、学識経験者と、住民と、代議制によって選ばれた人々の意見は常に同じとは限らない。代議制で選ばれた人は個々の事業のスタンスだけで選ばれたわけではない。個別の事業について関係住民が意見を述べる場が確保されていることは大きな意味を持つ、というお話だ。

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(河川整備計画) 第十六条の二
3  河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
4  河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
5  河川管理者は、河川整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。
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 逆に「河川整備基本方針」では、この3つの立場の合意は前提になく、河川整備計画の策定の仕方と比べるとアンバランスであると言う。
 
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(河川整備基本方針) 第十六
3  国土交通大臣は、河川整備基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。
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 ここで、私の意見を加えると、社会資本整備審議会での河川整備基本方針を決める場には、必ず、関係首長(ほとんどその代理)が呼ばれているので、住民以外の2者は確実に、意思決定過程に組み込まれている。

肘川流域委員会ケース
 さて、一方、愛媛県の肘川流域委員会を事例研究に取り上げた大学院生の途中経過によれば、肱川水系流域委員会の規約では、その設置の根拠は「第十六条の二の3」(上記参照)だと言う。ところが、流域委員会のメンバーは14名中7名が流域自治体の首長。しかし、首長たちは「第十六条の二の5」(上記参照)で意見をいうことができる。流域委員会のメンバーに首長が入るのはおかしいのではないかと指摘。

 とても適正でスルドイ指摘だと思いました。(他にも興味深い考察がありました)

 このお二人の話と最近、私が傍聴している社会資本整備審議会の模様を思い浮かべて考え合わせると、確かに、河川整備基本方針・整備計画を策定する上で、最も重用されているのは「学識経験者」で、また、首長も実質的にその双方に関わっている。それぞれ、2つの場での関与が確保されている。
 一方、「第十六条の二の4」(上記参照)では、「必要があると認めるときは」となっているので、住民はゼロ~1回しか、関与することができない。

 そして、パネルディスカッションの第二ラウンドへと進んでいきました。

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
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