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2005年12月14日 (水)

元河川局長が公にした裏話

 背骨で発作的に後先を考えず書いているので、「研究者の役割」について書いたときに、「全研究者を敵に回すような書き方にならないよう慎重に」と忠告をいただいた。そのつもりはなく、それどころか、研究者は世の中をよい方向へ変えていく上で、必要不可欠だと考えている。ただ、審議会の御用学者(「サイレント・マジョリティ」の反対で「サイレント・メイジャー」とでも言おうか)のようにはならないで欲しい、という意味で、全研究者に対する挑戦と取ってもらっても構わないかなと思う。
 だって、政策形成過程に組み込まれていることの幸運を駆使しないなんて、組み込まれていない人から見たら、どれだけ口惜しいことか。

 さて、12月3日に行われた日弁連、近弁連、大弁連主催の「河川管理と住民参加」のシンポジウムの報告の最後です。自分にとって意味があったと思う論点だけを自分のためにまとめてメモしただけなので、これがシンポジウムの全容だとは受け取らないようお願いします。

大熊孝・新潟大学工学部教授の論点
・俯瞰して基本高水を考えるのではなく、虫の目で今ある川はどうなのかと考えるべき。一般論でなく個々の川の話であるべき。
・97年河川法改正で、第3条の河川管理施設に「樹林帯」という言葉が入ったときに僕は河川行政は変わったなと思った。人口密集値で破壊的な被害を出してはいけない。堤防を低くしてオーバーフローさせる治水を考えるべきだ。

元河川局長・竹村公太郎氏の論点
・(基本高水などを)住民が決定していいと言うが、被害が出た場合、訴訟はどこへいくか?法的な責任はどこが負うか。多摩川水害訴訟で国は負けた。敗訴の理由は固定堰を放置したということだった。

 (ここで私まさのは思いました。な~んだ、吉野川第十堰の撤去・可動堰建築という念願も、すべての川で基本高水を過大なままにしておくことも、「放置をしているわけではない、計画の途中である、意図はあるのである」と訴えられたときに責任逃れをするためなのか、と。)

・97年の河川法改正で「住民参加」を入れようとしたときに、各省から反対があるならわかるが、法の番人である(内閣)法制局がもっとも強く反対した。反対の理由は、今まで、住民参加を認めたのは、私権を制限するときだけで、関係住民に意見を聞くのはスタンダードな手続きではない、と言われた。

・河川局は孤立無援だった。それをどうクリアしたのかは言わない。無理してでもクリアしたわけだが、無理な業務を後輩たちにやらせているが、少しづつ歩んでいくのかなと。

(ここで私まさのは考える。竹村さんは「これまでに関係住民の意見を求めたのは、3つの法律しかない」とパワーポイントで以下を指し示したけれど・・・・

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河川法(河川整備計画)第十六条の二
 河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

都市計画法(公聴会の開催等)第十六条  
都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くのほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

土地収用法(公聴会)第二十三条
 国土交通大臣又は都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において、当該事業の認定について利害関係を有する者から次条第二項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。
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・・・・実際には、この同じ97年(前年の96年から)に、同じ内閣法制局で、環境影響評価法の策定作業が行われていた。そこには、生身の人間の参加とは若干違うけれど、私権を持つものや関係住民どころか、「環境の保全の見地からの意見を有する者」(第8条)が意見書を提出できることになった。

全世界の誰もが意見を言えるとする法律が、日本で同時期に成立したことを忘れてもらっては困るなぁと思った。

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環境影響評価法 (方法書についての意見書の提出) 第八条
 方法書について環境の保全の見地からの意見を有する者は、前条の公告の日から、同条の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に、事業者に対し、意見書の提出により、これを述べることができる。
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 シンポジウム終了後、竹村元局長のところへ、ススススと行って「あと、1、2分、内閣法制局の話を聞かせてください」と言ったら、「オフレコです」という。
「もう今日、言ってしまったではないですか」
「まさのさんには言わない」
「え。私のこと知っているんですか」(ま、そうか)
「まさのさんに余計なことしゃべったら、後輩たちに何言ったんだってしかられる。国交省研修では言っているんだけどね」
「じゃ、いいじゃないですか」
「オフレコ」
というわけで、国交省研修を受けた若者官僚からのチクリを募集します(笑)。

 それにしても、住民参加のことを「無理な業務」と言い、「無理な業務を後輩たちにやらせている」という発想はなんとも、いやはや、な発想だ。元河川局長が気にしているのは国交省の後輩たちのことであって、先陣を切って「住民参加」を導入した河川行政で、日本国民がどう日本の川を考えるようになったかではないのだ。

 他にも、多くの面白い論点がありましたが、また、機会と時間があるときに!

まさのあつこ atsukom@mrj.biglobe.ne.jp
ViVa!(ビバ!)はこちら

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