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2006年4月15日 (土)

基本高水と森林の保水力

(前回の続きです)近藤徹・小委員会委員長は「住民討論集会を追体験したい」から次回までに国と県に整理するようにと命じました。ただ命じたのではありません。明確に二つの点において「これまでの議論と資料」を整理するように言いました。

     基本高水

     森林の保水力

についてです。

そこに至るまでの経緯の一端を補足しておきたいと思いますが、その前に、「河川整備基本方針検討小委員会って何だっけ?」と思われている方も中にはおられると思うので、少々解説します。

97年改正河川法に基づき(一級河川に限って整理します)以下二つの手続きがあります。

1. 河川整備基本方針(国交省が決める)

2. 河川整備計画(国交省が決めるが住民参加も国交省が必要と思えばさせる)

1. は「社会資本整備審議会」に意見を聴いてから策定するという手続きで、この審議会は道路も河川も都市計画もなんもかも入っているので、小分けしてあり、この審議会の下に河川分科会があり(昔の河川審議会)、その下に、「河川整備基本方針検討小委員会」が設置され、413日に開催されたのはそれです。

2. は「流域委員会」などが、住民参加の一形態として淀川で設置されたのをはじめ各地で行われていますが、実は、1の手続き前に「任意」で行われるものから「シャンシャン」と形式上やったことにするために開いたものまで千差万別です。

川辺川の場合、非常に「異色」なのは、「住民討論集会」という形で、河川法の法定手続きとはまったく別に、一種の住民参加が行われたことです。熊本県の潮谷義子知事はそれを、「河川法を体現する形」という言い回しをされ(一瞬だったので聞き逃した記者は多いと思います)、うまい言い方をするもんだと思いました。

知事が強調したのは、これまで県で住民達がやってきたことを「無」にしないでくれという点です。

ただし、人吉市の福永市長がストレートにダム推進の立場を明快にした一方で、「知事がどちらの方向を向いているのか分からない」という発言が委員からあったり、小委員会後のエレベータホールでの記者会見(ぶらさがり形式)で、「川辺川ダムについて知事の考え方は?」という質問があったりしたのに対し、小委員会でも記者質問に対しても知事はストレートには応えず、「住民討論集会で行われた基本高水や森林の保水力の問題を反映させて欲しい」「小委員会は方針を決めるところであり、ダムがこれによっては決まるわけではない」という遠まわしで中立的な立場を守られました。

ただし、そこで、この二つ

     基本高水

     森林の保水力

について、反対派と推進派でどのような議論があったのかを知りたいという委員が現れはじめ、委員長が最後に発言された「追体験」ということになりました。

この二つを次回の「小委員会」での重要課題に押し上げたという意味で、住民討論集会でやってきたことを「無」にしないという最低限の、しかし、対国交省に対しては困難なハードルをクリアしたという意味で、実にうまいと思いました。

あそこで、知事が単純に「自分の考え」を述べていたとしたら、それが県民を代表する意見として、そこで終わっていて、小委員会で『「基本高水」「森林の保水力」の二つに関して討論集会で出てきた議論や資料を共有する』という流れにはならなかったと思います。

つまり、知事が自分自身のダムへのスタンスを曖昧にぼかすことによって、そこで聴いていた者にとっては煮え切らない(私の感想)という印象を与えたとしても、県内で行われてきたことを、小委員会の審議のテーブルに載せたという意味で、最小限かつ最大限(つまり、これ以外にはありえないギリギリの選択肢=どう他に転んでも、あとは、「シャンシャン」と決まるパターンしかありえないというのが私なりの考えです)の成果を勝ち取ったといえます。2時間10分間にわたる「緊張」の闘いだったと思います。

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