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2006年6月 1日 (木)

過大な基本高水の話の続き

5月29日に 「基本高水が過大と言われるようになった背景のひとつ」を書いたら、そのタイトルから「想定した話とは違った」というフィードバックをいただきました。

      「言われるようになった」→誰に?

      「ダム反対運動の歴史を振り返ってみて、その焦点がいつ頃から、基本高水問題に移っていったのか」という話なのかと想起したら、違う話だった(ガッカリ)。

      (確率処理というムズカシイ言葉を使った質問を私なりの言葉に置き換えると)「基本高水が過大なのってこの話の前に始まっているんじゃないの?」という質問

この3つは全部絡んでいますが、寄り道しながらひとつひとつ答えていきます。

基本高水流量を誰が過大と言っているか?

      ダム反対運動をやっている人は、自分たちだけが「過大だ」と言っているだけだと思い込みがちなのかもしれないのですが、科学の限界を知っている優秀な研究者(優秀ということは、科学や知識を過信しないということだと思うんですよね)は、基本高水流量が過大になってしまうカラクリ(=いくつもの「変数」を持った計算なので、その設定によって如何様にも恣意的になりえること)を知っているので、結果として過大になることがあることも知っている。

計算途中のいろいろな段階で、少しずつ「安全な側」に想定するので、結果として、とんでもなく水ぶくれた数値が、基本高水流量として出てくる。(これはまた別の機会に)

      ダム事業者(国交省など)ももちろんそのことを知っている。だから、「過大」だと言われると、「私たちは過大だとは思わない」と否定はするが、「余裕」とか「安全度」とかいう言葉は使う。「余裕」「安全」=「過大」だよね。だから、「過大だ」と歯に衣着せずに言うのはダム反対運動の人々かもしれないが、研究者も事業者も皆、知っている。過大なものなのだ。だから→

      だから優秀な研究者の中には(私も最近、気づき始めたことなのですが)、社会的な要請をきちんと受け止めて、過大となってしまう不確定要素を低減させていくことが研究者の責務だと考えて、研究している人がいるんだね!これが!そういう人は昔多分、出世できなかったタイプなんだろうけど、もうそういう時代ではない、折り返し地点に来はじめたと思うね。うん。

      だから先日、講義を聴きに行ってこちらにも書いたように、「SLSC」とか「ジャックナイフ法」とか、過大に出てきてしまう結果の方を見越して、過大なものをできるだけはじく手法を編み出した人だっているわけです。(それを国交省がきちんと使っていないだけの話で)

      あえて言えば、知らない(知らないフリも含めて)のは、食わなければならない建設業者と、その建設業者に煽られる政治家と、世渡りをするうちに「科学の心」を忘れた研究者と、不勉強な記者(かつての私も含め)と、そして良心的であっても限られた情報しか得られず、科学ゆえに過大になる事実に確信を持てていない政治家でしょうか。そして残念ながら一般国民(かつての私も含めて)。

では、なぜダム事業者は過大に(余裕を見て)設定するか?

ダム事業者が国民のために良かれと思って・・・なのですが、その背景には、「洪水被害が出て訴えられたら大変」と言うのがあります。これは元河川局長などが公の席でも言うことで、「洪水被害が出たら、あなたたちは責任が取れるんですか?訴えられるのは私たちなんですよ」と。でもこれに対して必ず、反論が出ます。「それで、洪水被害が出たからと言って、あなたたち(国交省)は責任を取ったことがあるんですか?」

でも、一方で、非公式な席も含め「今まで『ダムを作れば安全』という言い方で河川行政をやってきたのは間違いでした」と潔く認める河川行政マンも現れてきています。良くも悪くも、河川局は、自分たちで責任を背負い込むばかりで、だから、「過大」な(余裕をたっぷり見て)ダムができて来た。その惰性で(先輩たちの仕事を否定できずに)まだ作ろうとしている。

だから、「過大」さ(余裕)を率直に認めて、そのリスク管理を含め、もっと住民に参加をさせて治水を一緒に検討する(“利水”の闘いは扇千影大臣の時に「新規の利水ダムにもう作らない」ともう終わったからね。継続中の闘いは残っているけど)方向に展開していくべきだね(だから、河川法を改正しようョ)。

●ようやくこのブログの目的に近づいてきた(2年もかかりました)

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