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2006年8月11日 (金)

川辺川これまでのあらすじII

そんなわけで、球磨川水系の審議二回目(平成18年5月10日)三回目(平成1866)のテーマは基本高水における森林の保水力ということになった。

そして、委員長が、最後に、次のようにまとめた。

「本時点ではこの委員会では、保水力がないとは全く言っていません。保水力はあるんですが、もっともっとあるぞというのにちょっとはてなと。中には、このまま放っておいたら保水力はなくなるぞということに近いご意見もありました。したがって、森林整備はしっかりやっていただくということは当然で、おそらくだれも争いがないところだと思います。
 私も、前に林政審議会の委員もやりましたけれども、河川と森林は喧嘩相手かなと思われていますが、私は森林の整備に国民の税金を使うことは当然だと。それは国民の宝であり、それを前提に我々は生きているんだからということで意見を申し上げたこともあります。ただ、それは現況以上に期待できるのかというところは、慎重に学問の分野で研究していただきたいし、立証活動もしていただきたいというのが委員長の見解でございます。そういうことで、本日は事務局の提案の保水力の問題について、現時点で、担保できるのはこの程度ではないかということで取りまとめたいと思うんですが、皆さんよろしゅうございますか。」(議事録
のまま)

と、さんざんハナシだけして、なんじゃそりゃ、というところに意見がまとまっています。

ところが、それも実は当然で、委員の人々は、要するに森林のことを審議できる下地がない人たちがほとんど(「まったくいなかった」というその筋の専門家もいる)だったからなのだ。

実際、森林の保水力を議論する上で必要なはずの点が、まったく整理されていない。たとえば次のような点。

現在の森林の状態は、旧河川法の元で工事実施基本計画(以下、工実)が策定された頃の現在ではまったく違った状況にある。洪水が多発し川辺川ダムが計画された頃の時代の森の状態とは現在は違うのだ。ところがその変化は認識されないままの議論だった。

そうかと思えば、あたかも現在は手入れされていない人工林だが、将来、森林に手を入れれば保水力が出るというような暗黙の了解があるかのような雰囲気の中で議論をしている人が一部にいた。つまり、話している前提が皆バラバラで、オハナシになっていない。

また、人工林と自然林の比較が審議の中に出てきたが、これもまたどのような状態の人工林、どのような状態の自然林のことを住民討論集会で話し合っていたのかは、国交省からも報告がなく、委員からもまた、この点においての確認も質問も何ひとつなかったため、皆目、一体、なにをベースに「保水力」の議論をしているのかが、定かでなかった。

球磨川の森林状態のことがまったく議論されず、たとえば次のようなハナシが虫明委員から一般論として話されたのみ。

「○○さんが非常にクリアな整理をされて、これをリファーしながら議論するのがわかりやすかろうと思います。
 ○○さんが引用されている、筑波大学の○○さんが代表者となっている研究というのは、実は科学技術振興機構の中で重点的な研究分野というのを三十数個選んでやっているんですが、その中の1つが水循環ということになっておりまして、私は実はその研究総括というお立場を務めております。つまり、水循環というのが科学技術の上で重要だということが認められて、そういう分野ができているわけです。
 その中で○○さんの研究というのは、今までの例えば○○先生の専門家としての常識がここに出ています。森林ではホートン流が起こらないと。ところが、ヒノキだけの林で、なおかつ手入れをしていなかったら、これはひどい状態になるんだというのが○○さん達の指摘。実際に彼の研究対象を僕も研究発表会などで見せてもらっていますけれども、全く下草もないし、ここで言うA層とかいうのは全然なくて、裸地化しているんです。木の根もあらわれているようなところで、彼が実験しているところは、花崗岩地帯の森林であるということがあります。
 そこで(略)、ヒノキ林でしかも非常に手入れの悪いところでの現象で、見るからに表土が裸地化しているんですから、これはホートン流が起こっても当然なわけです。

 そのメカニズムとして撥水性というか、水をはじくような層があるという議論があるんですが、そういうところをちゃんと管理するために研究することは非常に重要だと、そういうことを我々も認識したから、ちょっと語弊はありますけれども、○○さんの研究を採択したという事情があります。

 (略)ただ、ここでの議論というのは球磨川の議論なわけです。私も彼の研究はよく理解しているつもりですけれども、球磨川では少なくともそういうところはほとんどない、あっても局部的だというのが我々の認識です。共同検証として設定された幼齢林とか手入れの悪い人工林、それから自然林というところを見ても、そういう状態ではなかったところで実際に観測をやったわけです。」(議事録より)

ということで、結局、何を言うことによってどんな結論を導き出そうとしたのかすら、全然分からない。ところが、この委員以外は自分は「専門じゃない」を枕言葉に好きなこと(自分が話せること)をしたり顔で述べただけ。

それでこんな上記のような委員長意見に落ち着いちゃったという感じです。

森林のことが議論できる下地すらない人たちの中で、森林の保水力についての結論がだされちゃった。それだけは覚えておくべきではないかと。そしてそれが、この小委員会の限界だろうと、思うわけです。こんな無責任な決め方をするぐらいなら、地域住民に決定の機会を渡すべきではないだろうか。

そして、66日の審議では、最後に委員長から、「いただいた意見書の中に球磨川大水害体験者の会からの意見書がございます。市房ダムができてから水害が増えたという趣旨だったかなと思いますが、これらは大変重要な意見でございますので」と次回に審議することになった。

そしてこれについては先日お伝えしたので略。

実はこの日、知事が出した宿題があった。それが本日の審議のメインテーマとなった。(続く)

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