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2006年12月16日 (土)

吉野川の場合

1119日、徳島に呼ばれていってきた。吉野川みんなの会が開いた「第3回 吉野川車座会議」~住民意見を反映させるために~に。15分ほどプレゼンをした内容は徳島住民向けなので、ここでは車座のみんなの話を聞きながら、その場でも話したことを含めて書く。

9年という周回遅れで「住民の意見反映」という新(もう古いぜ)河川法に基づいて各地で始まった手続きは淀川ではこんなことになっているし、利根川ではこんなことこんなことになっている。そして吉野川では、四国地方整備局が“「吉野川の河川整備」(但し、抜本的な第十堰の対策のあり方を除く)” について、「吉野川学識者会議」「吉野川流域住民の意見を聴く会」「吉野川流域市町村長の意見を聴く会」と3つに分けて意見を聞くというやり方(PDF)で進めている。

住民の不満は高い。その原因は次のようなものだと、皆さんと話をしていて気づいた(古い蛍光灯並)。

●危ないってウソだったのか

整備計画は20年から30年の計画と言われているにもかかわらず、「但し、抜本的な第十堰の対策のあり方を除く」とされていること。この行政用語を解説すれば、「改築と称して、1752年にその骨格が出来た第十堰を撤去して、長良川河口堰みたいなものは作るようなことをしません」ということなのだ。

これは悪いことではない。でも、何かがおかしい。記憶と辿ると、県民の意志として第十堰を撤去したりしないとする県知事たち(大田正、飯泉嘉門)が選ばれ始める前、国交省が第十堰について、耳にタコができるほど言っていたのは「第十堰は老朽化して一日も早く改修(可動堰に)しないと危ない」「(第十堰が原因で)深掘れが起きていて危ない」だった。

ところが、住民投票や選挙によって住民の意思が明確になった途端に、「生命と財産を守る」を盾に言っていたことが息を潜めた。今回の整備計画は第十堰のことは横へ置いて立てるという。

やっぱり、第十堰を可動堰にするというのは、住民の選択や、政治判断、行政の裁量でどうにもなることで、生命財産を守るためではなく、工事のための工事だったのか、とシラケタ気持ちが沸いてくる。「うわ~、よくゆ~わ」みたいな感覚が私の中にもよみがえってきた。97年、98年当事、建設省と住民が論戦するのを最も身近に目撃していた一人からだ。

●コモンズって誰?

人間には向上心があるので、淀川流域委員会のような例が出てくると、それがスタンダードとなるべきだと考える。「お金が沢山かかった」と淀川流域委員会について国交省がブーブーいっている問題は、いかようにも工夫によって安くできる。いいところを伸ばし、悪いところを改善し、というのが向上心に応えるやり方だ。淀川流域委員会の進め方でいいところの一つは委員長を無記名で選挙によって決めて進めていったところだと言われている。多くの人が信頼をおく人が、会を運営することが、その会の成功を大きく左右することは言うまでもない。

吉野川流域住民の意見を聴く会では「ファシリテーター」としてNPO法人コモンズという存在が出てきた。ところが徳島では、誰も聞いたことがないNPOで「誰それ?」状態だったのだ。

そこで、意見を聴く会では、「意見を聴く会」の請負額はいくら?というような質問が飛び出し、そこでは決まっていないという回答から始まって、その後、コモンズもきっちり答え(PDF)ている。

1ヶ月前に突然「来てね!」と徳島へ(何故か)呼ばれた私としては、一通りの資料をざ~っとネットサーフしながら読んで行ったわけだが、びっくりしてしまったのは、この中で明らかになったコモンズと国交省の関係だった。直接の関係はなく、いであ株式会社というダムをメシの種にしていたコンサル会社(東京)が合併してできた大阪支社の業務委託、つまり孫のような存在で、国土交通省四国地方整備局→コンサル企業→NPO法人という図式に、なんだか居心地の悪さを感じてしまった。(いであ(株)が受け取るマージンはいくら?と思ったり・・・)

NPO法人コモンズが住民に信頼されるファシリテーターになろうと努力していることは、その業務委託の契約書 (PDF)を公開したり、車座会議のゲストとしてきちんと出席して真正面から議論したり、前日までに、運営について、国交省に宛てて、説明責任を果たすべきだということや、プロセスを明示すべきだということや、その他、国交省と住民との間でコミュニケーションを図るべきだと考えることなどについて、ファシリテーターがファシリテーターとしての役目を果たせるようにするために必要だと思われることを公開文書で意見(PDF)をしたことからも、とてもよく分かる。

残念ながら、私はここまでしか、フォローできていない。これからも、フォローし続けないといけないだろうと思っているので、まずは第一報です。

吉野川河川整備計画(概要)案はこちら(PDF)

全文はこちら

 

こうなるまでの経過は姫野雅義さんの吉野川日記で!

6月1日(木)晴 国土交通省四国地方整備局長 北橋建治様

6月11日(日)曇  「第十堰また官主導が首もたげ」

7月12日(火)曇  腹が立った時には10数えよ

8月4日(金)晴  あす吉野川流域住民の意見を聴く会

8月6日(日)晴 住民の意見を聴く会は「吉野川方式」になるのか 

9月28日(木)晴  「30日にぶっつけるか」

10月2日(月)曇  国交省はなぜ議論に応じないのか

 

まさのあつこ

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コメント

コモンズ以外にも、「いであ」の「エヌピーオー戦略」は着々と進んでいる。

http://www.gecollege.or.jp/index.htm

→理事長が いであ の会長。合意形成やファシリの受け皿を自前でつくり、それっぽい市民用語を使う話のわかりそうで誠実そうな専門家をハケンして、反感を抑えながら融和政策を進行させるとゆー、遠回りだがカクジツな方法。あと、同社社長の都丸氏は技術士会の会長です。このNPO作戦は、いであ1社だけの思惑じゃないな、たぶん。

投稿: 酷度好痛症 | 2006年12月19日 (火) 11時17分

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