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2006年12月10日 (日)

死の恐怖に駆られて

126日、東京アメリカンセンターで、米国大使館国際開発担当参事官チャールズ R アネンソンによる講演「日米における政府開発援助(ODA)改革」があり、招待を受け行ってきた。私が参加した目的はただ一つ。質疑応答の時間を待った。一人目の質問が終わり、えいや、と手をあげた。

「具体的な例で、米国のODA政策について尋ねたい。フィリピンでは政治的殺害が多発していて、政権に批判的な市民リーダーが700人以上殺害される事件が起きている。この件に関し、先日、麻生外務大臣は遺憾だとし、今後ODAを供与する際にこの件について検討を行うとアロヨ政権に伝えると国会で答弁をした。これについて、米国としてはこれまでに何か対応を取られたか、もしくは、今後対応をされる予定があるか」

参事官いわく(概略です)

「その具体的な事件について知っているわけではないが、そうしたことがあるなら、アメリカ政府はなんらかの立場を取らなければならない(We have to take a stance.)。似たようなことは過去にはあった。MCC(ミレニアム・チャレンジ・コーポレーション)、これは人に投資をする事業で、民主国家で、市場主義であるという3つの条件が満たされた国とはパートナーシップを組み、合意をもとにODAを供与するというものだが、以前、ある国と米国で合意文書を結ぼうとしたまさにその時、その国の政府は、他のすべての政党の活動を禁止し、報道機関に圧力を加えた。そこで、合意はない、ODAは供与しないと発表した。これには大変、満足している。(中略)いずれにしても麻生さんがそのような発言を国会で行ったことはとても嬉しい。私たちもまた、強い対応をとらねばならない(We have to take a strong stance.)

参事官はおそらく、本国政府、在フィリピン米国大使館などを通し間接的に、もしくは自己人脈を通じ、フィリピンの政治的殺害について、フィリピン政府に対し事実確認を行うだろう。またおそらく、日本政府に対しても、どのような対応を取るつもりかを確認することだろう。

9月のフィリピン取材以来、どうかもうこれ以上、「政治的殺害」が起きませんようにと動いた。私が取材した人々がそのせいで殺されたらどうしようというビクビクする気持ちがずっと続いている。

 

おそらくこの件に関わった誰もが、そういう思いだと思う。NGO(アムネスティ、国際環境NGOFoE」、キリスト教関係団体など)は、国会議員同席のもと、外務省・財務省などに情報を共有し、対応を求めてきた。

これを受け、117日の参院の「外交防衛委員会」で質問が行われたが、麻生外務大臣が気のない答弁を行ったことを週刊朝日1124日号の「頻発する暗殺に比政府も関与?」という短信で書いた。

その後、再び、1127日に、参院「政府開発援助等に関する特別委員会」で福島みずほ議員によって「日本のODA現場で殺害が起きている。殺害が起きるところではODA供与は考えさせていただくといえないか?(概要)」と問われ、麻生外務大臣が「日本のODA現場だけで殺人が起きているわけではないが、頻繁に起きることは、我々としては遺憾。ODA供与する上での検討の対象にしたいということは申し上げていきたい」と今度はしっかり答弁した。

疑り深い私は、外務省がどこまでフォローするだろうかと懐疑的で、直前で中止になったが1210日からセブ島で行われるはずだったASEANを意識して、「政治信条を理由に暗殺されるフィリピン」週刊金曜日 第633 20061201日を外務省に送った。ASEANを機に、「調査団を組んでフィリピンに来てください。国軍や警察の記録、被害家族の情報を求め・・・」と協力を求めるサトゥール・オカンポ下院議員(バヤン・ムナ党の党首だ)の訴えを書き、発売と共に、外務省に送ったのだ。

そして、さらに、冒頭の質問を米国大使館員たち及び日本の関係者、マスコミがいる前で行った。国会答弁を外務大臣が履行していく過程の目撃者をできるだけ多く作りたい。このブログもそうだ。

その席に自民党の竹本直一という衆議院議員がいることが、同議員が4番目の質疑者となったことで分かった。この議員が麻生外務大臣にこのやり取りを“直ちに”耳打ちしてくれることを願った。調べると衆議院財務金融委員でもある。

そして、麻生外務大臣は、その言葉を次のように具現化した。

日・フィリピン外相会談概要(平成18129日)

フィリピンに対する経済協力:麻生大臣より、第26次円借款積み残し案件の署名の段取りが整ったこと、第27次円借款の検討につき説明するとともに、左派活動家やジャーナリストに対するいわゆる「政治的殺害」への日本国内での非常に高い関心を伝えた。ロムロ長官からは、フィリピン政府の実態解明への努力を説明。

これはまだ始まり。

まさのあつこ

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