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2007年1月14日 (日)

淀川

11日午後から少々熱を出しおとなしくしていました。皆さん風邪などひいていませんか?

さて、淀川水系の河川整備基本方針検討小委員会112日に再開されました。20051130日以来です。

単純に分かりやすいところを抽出すれば、112日に小委員会で国交省が示した「琵琶湖・淀川流域の基本理念(案)」を見ると、足元から議論を積み上げて作られた淀川流域委員会の提言から後退しているといわざるを得ません。

流域委員会では、「従来の治水や利水の考え方では限界があり、根本の理念を転換する必要がある」として、例えばダム計画については「ダムは自然環境に及ぼす影響が大きいことなどのため、原則として建設しないものとし、考えうる実行可能な代替案の検討のもとで、ダム以外に実行可能な方法がないと客観的に認められ、かつ住民団体・地域組織などを含む住民の社会的合理が得られた場合に限り建設するものとする」と提言しました。

しかし、「琵琶湖・淀川流域の基本理念(案)」(PDF)では「流域全体の協力の下でダムを含めた実現可能な対策を最大限講ずる」となりました。後退です。

もう少し長い経緯を含めて見るために、上記の小委員会を傍聴した水源開発問題全国連絡会共同代表(嶋津暉之氏/遠藤保男氏)からの情報を整理しました。

まず、小委員会が一年以上開けなかったのは、上下流の府県の主張に対立があったからだそうです。

前・滋賀県知事が、

1)淀川水系工事実施基本計画では、琵琶湖からの流出をゼロに計算することへの異論と

2)全閉操作を含む現在の瀬田川洗堰操作規則を平成4年に滋賀県は了承したが、そのときの条件(=今後10年をめどに宇治川の改修をする/天ヶ瀬ダムの再開発/大戸川ダムの建設)が守られていないことへの異論を唱え

3)そこで、河川整備基本方針/計画策定にあたっては、滋賀県としては瀬田川洗堰の全閉操作の見直しを求めた。つまり、「下流がもたないので洪水時には琵琶湖からは水を一適も出さない」というのであれば「それなりのことをやれ」=「下流(上流にも)にダムを造れ」というのが滋賀県前知事の言い分でした。

一方、京都府、三重県がそれぞれ、淀川上流の桂川の保津峡、木津川の岩倉峡の開削を求め、それらがいずれも淀川本流の洪水流量を増やすものなので、下流府県が反対した。http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai/shakai/051130/051130-2.html 

そこで、今回発表された基本理念案はその対立を解消するためのものだとのこと。

(計画論として)

 ・瀬田川洗堰の全閉操作は行わない。

 ・(上流部の)狭窄部の開削は極力行わず、流域全体の協力の下にダムも含めた実現可能な対策を最大限講ずる。

 ・その上で、なお安全度の確保が困難な場合は狭窄部を必要最小限開削する。

(実体論として)

 計画規模以上の洪水や整備途上段階で洪水が発生する場合を考え、実際の管理としては、流域が一体となって的確な対策を講じる。

この基本理念案に、小委員会では、滋賀県知事は賛成、大阪府、兵庫県、奈良県は賛意、京都府は反対、三重県は開削を主張したそうです。そして、上記の「流域全体の協力の下に」は「下流側がダム建設等に対して応分の費用負担をせよ」という意味であることを近藤委員長は解説した。

具体的なダム計画については

「基本方針としては、大戸川ダム、天ヶ瀬ダム再開発(放流能力を増強する計画)などはいずれも必要なものであると認識しているが、整備計画の段階で検討することであると、答えていました。」「当日の資料には丹生ダムの名前は一切出ておらず、話にものぼりませんでした」と嶋津氏。

嘉田知事は記者会見で、「瀬田川洗堰の全閉操作の見直しは100年間にわたる県民の願いがようやく認められた。琵琶湖をダム湖ではなく、自然の湖のように考え、水位調節も魚の産卵等を考慮して柔軟に行うようにする方針は画期的だ」という趣旨の評価をしていたそうです。」

しかし、これについては「計画論であって、実際にはその状況に応じて必要最小限の「全閉操作」「狭窄部の開削」も行うとしてあります」と遠藤氏。

また一方で、嶋津氏は、「知事の話を私は複雑な気持ちで聞いていました。琵琶湖の自然を大きく破壊したのは、1972年から1992年までに行われた琵琶湖総合開発事業です。琵琶湖の周辺に湖岸堤を築いて、水生植物群落を破壊し、さらに、毎秒40トンの都市用水を生み出すため、琵琶湖の水位を大きく変動させる水位操作を行うことになりました。この水位操作が琵琶湖の生態系に大きな打撃を与えました。そのことを予見した住民は琵琶湖総合開発事業に強く反対し、裁判で中止を求めました。私もその反対運動に多少なり加わって水需要の面で総合開発が不要であることを主張しました。しかし、五千億円以上という巨額の土木事業で潤う滋賀県が強力に推進しました。その先頭に立ったのが当時の武村正義知事でした。世間的には高く評価されている滋賀県の琵琶湖富栄養化防止条例は実はこの総合開発のマイナス面をカモフラージュするためのものであったと私は思います。琵琶湖の自然の回復について語るならば、何よりもまず、過去に行われた琵琶湖総合開発事業が琵琶湖の自然にどのような影響を与えてきたかの全面的な検証が必要であると私は思います。瀬田川洗堰の全閉操作の問題にしても、全閉操作を前提として(自然を破壊する)湖岸堤を琵琶湖に築いたのではなかったのでしょうか。いまさら、全閉操作の解消を主張するのは腑に落ちません」と述べています。

【参考】

57回河川整備基本方針検討小委員会資料一覧 (平成19112日)はこちらに

上記提言など、淀川流域委員会ってどんなものだったのだろうかと復習したい方は、その中の「参考資料4 淀川水系の治水計画等について(3回目小委員会配付資料) 」(PDF)の15ページ、そして16ページ以降が参考になります。

【参考2】

淀川を巡っては、関西限定で、19日、毎日テレビで淀川水系流域委員会休止の特集「脱ダム宣言撤回を水面下で画策する官僚達」が組まれたり、111日には「脱ダムネット関西」が淀川水系流域委員会の休止撤回を求める要望書を近畿地方整備局の布村明彦局長に提出したり(参考:07111日日経新聞)、さまざまな動きがありました。

というわけで、淀川流域委員会は、休止させている場合ではなく、今こそ、提言が履行されていくようにフォローアップし、開催されてこそ意味があるとおもいます。このタイミングで休止させるのは、「口封じ」とだということになるのではないでしょうか。

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