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2007年2月17日 (土)

球磨川(川辺川)10回目の審議

214日、国土交通省河川分科会の河川整備基本方針検討小委員会で球磨川水系について10回目の審議が行われました。

熊本から駆けつけた赤木光代さんが、以下のレポートをメーリングリストでされていました。とても簡潔かつ的確な報告だと思いましたので、転載の許可をいただきました。赤木さん、どうもありがとごうございます!

~~~赤木光代さんの報告~~~~~~~~~~~~

ただいま帰宅しました。帰路は博多まで新幹線、博多から熊本まで特急「つばめ」です。受験シーズンのせいか、宿がなかったのです。高価ホテルならあるということでしたが、1度新幹線で帰ってみたかったのです。やはり、最速で5時間40数分の所要時間で、航空機の方が早いです。

本題、本題。

  「掟やぶり」と「違法行為」のちがいですが。掟とは、明文化されていない暗黙のきまり、法とは明文化されたきまりと考えます。近藤委員長の議事運営は、明らかに、掟やぶりどころか、違法行為です。国交省河川局が監修した、新河川法の解説書によっても、そうだといえます。

  今回の検討小委員会で、近藤委員長は環境を議題としました。県民の会と52団体は、今回の小委員会に向けて、環境を議題とすることはダムを前提にした議論であるので、河川整備基本方針策定を目的とする検討小委員会は、中止することを求めるよう委員である潮谷知事あての要望書を、2月9日県庁に出向いて提出しました。21人が参加して、要望しました。

   基本方針はあくまで、水系の抽象的長期プランであるべきで、具体的洪水調節施設まで踏み込んではいけないはずです。

   このような批判に対し、近藤委員長は今回の小委員会で環境を議題とすることを、委員からも「ダムができたら・・・」という質問が多々あった、知事も「いま議論されていることには、川辺川ダムの影が見え隠れする」と言われたと、ダムを前提とする環境の議題に入ることを、自らの責に帰さないようないい方で、踏み込んだのでした。

  委員長は、たとえそのような発言があったとしても、議長として、抽象的長期プランに議論を戻す義務がありました。なのに、そうしなかったのです。

   知事が「川辺川ダムの影が見え隠れする」と言ったのは、基本高水流量や計画河道流量の設定を、過大に設定しよう、設定しようとする、意図的な議論がすすめられていることへの知事の違和感を言ったまでのことなのに、言葉尻りをとらえて、「次回は川辺川ダムの計画があることを無視できない」と言って、治水、環境について(その前提でーーこれは委員長は言葉としては言わなかったが、事実上前提で)議論しましょうと言い、話をすすめたのでした。老獪(ろうかい)というか、元河川局長という、他に責任を転嫁する点で、官僚の鍛えられた気質・性癖を感じました。官僚で昇進する方々には、例外なくこの性癖が見られます。責任転嫁の性癖。

  しかし、私たち住民側が九州地方整備局に、環境を議題とすべきではないという要請をしたことや、知事あてに委員会の中止を求めるよう要望した努力も報われた場面もありました。

  今回、国交省事務局の説明が終わった後、委員長の議論への導入の言葉が終わるか終わらないうちに、潮谷知事がさっと手を挙げて、要員から素早くマイクを獲得し、環境の議論に入ることへの異議申立を発言しました。その発言に沿ってまとめたのが、このメールの冒頭に述べた違法であることの論拠です。

  また、今回、驚いたのは知事を除く他の委員全員が、ダムを是としているのではないということです。

  小松利光委員のように、相変わらず、私見では「ダムありき」ではない、が、ダムを抜きにしては考えられないと、ダムを是とする変化球を投げた委員もいました。小松委員は言いました。昨年7月の洪水被災住民の聞き取りでは、川辺川ダムは不要だとなる。昭和40年7月3日の(洪水のとき)、市房ダムの職員が酒を飲んで麻雀していたとという不当な風評について、(市房ダムは県営なので)県が説明責任を果たすべきなのに、これまで果たされてこなかった。市房ダムの操作への不信感をとり除くことがなされてこなかったことが問題。第2の市房ダムは要らないということでしょう。と、初めて公の場で、麻雀云々が発言され、あたかも、「不当な風評」について説明責任がなされていれば、ダム不信が除かれるかのような発言をする委員も、まだいます。

  また虫明功臣委員(福島大理工学類共生システム理工学類教授)のように、ここで川辺川ダムの議論をすべきかどうかでいうと、すべきである。清水バイパスは排砂バイパスとして使えるのではないかと、国交省以上に積極的な提言をして、国交省が狂喜乱舞して喜びそうなことを発言する委員もいました。すぐさま、国交省が、清水バイパスは旭ダムの例があるが、排砂は微細な砂だけだと、呼応しました。

  が、谷田一三(大坂府立大大学院教授・生物学)委員は、つぎのように発言しました。

  球磨川は何度も歩いたが、予想以上に痛めつけられている。アユは海から上がって来る。まず、遙拝堰で止められる。漁道に多額を費やすというのも大事だが、まずは堰き止めをしないことが大切ではないか。利水を外して治水プロパーでいくなら、新しい視点の治水施設を考えていいのではないか。

  谷田委員のいう「新しい視点の治水施設」とは、この場合、ダム以外の施設と考えてもいいのかなあと思えました。

  福岡捷二委員(中央大研究開発機構教授)は、河川の土砂の動態について発言。荒瀬ダムの撤去にかんする委員会の委員もしているが、土砂の動態、移動が球磨川では・・・(聞き取れなかったが、激しいということか)疎石、礫、巨石(30cm以上の石)が、球磨川の安定に寄与している。川の応答は、

大きな石がないときには、局所的にはそこに水が集中し、深掘れしていく。大きな石の役割りは大きい。砂礫層、大きな石がないことによってダムの下流に置き土するということだが、排砂ゲート、排砂バイパスに注目する。と、これも穴開きダムを想定したような、ダムを是とする変化球のように思えました。

  欠席のため、文書で意見を寄せた森誠一委員(岐阜経済大経済学部教授)は、「ダムという環境面にとっては不可逆的な状況がもたらされる施設が想定される上では、より慎重さが求められる」「治水による安全向上と河川の環境保全を同時的に議論すること」といっています。「原始自然の状況を再現することを望むものではない」といい、「河床掘削の量と箇所は・・・・(中略)河道掘削が過度である場合、それは河川環境面からも慎重かつ回避すべきである」とし、代替案に注文を付けています。熊日インタビューにある「小委の委員はダム推進派ばかり」という「断定的文言」には、そうではないと抗議しています。

  このように、委員のトーンは均一ではないことが、今回徐々に明らかになっています。「国交省の資料のいう通り」という、あからさまな追認の発言が減ったという印象を受けました。

  このところ3回ほど連続して、国交省はその回その回の議題に沿った、県がまとめた住民討論集会の論点整理の資料を出しています。知事が、住民討論集会で国交省は、ダム推進の立場から発言している、それをそのまま検討小委員会に出しているのは、ダムを前提とした議論をしようすることであり不当だという意味の発言をしました。その見透かしにあっと驚かされる思いでした。いわれてみれば、その通りです。それ以外の資料も、住民討論集会での国交省の主張を、補強するものばかりでした。ダムという具体的洪水調節施設について、基本方針を策定する委員会には出すべきではないのです。その策定の後に、整備計画で出すべきものなのです。委員長と国交省がタイ・アップして、違法行為に走っている。このツケは、いずれどのような形で表れるでしょうか。その点をうやむやにされたくないと、強く思われました。

~~~

以上、転載でした。

この件は、熊本の地元紙、熊本日々新聞も伝えています。

まさのあつこ

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