« 第二回「閣議決定違反」大賞 | トップページ | 続・ラオスのダム開発-日本が問われるもの »

2007年5月11日 (金)

審議会は誰のもの?

419日社会資本整備河川分科会。 

心理戦は始まったばかりだった。休憩が終わると、国土交通省が出してきた球磨川河川整備基本方針事務局案を、なんとしてもシャンシャンと通し、両論併記を避けようと考える委員たちが束になって知事の押さえ込みにかかった。その様は見ていてなんというか、「うわ~」としか言いようのない、異様なものだった。

★ 心理戦その1【揺さぶり役?越澤明(北海道大学大学院教授)】

休憩前と打って変わり、突如、「知事に先に発言してもらったほうがいいのではないか」と発言し、知事も「突然言われたので緊張しますが」と、結局、知事から始まった。休憩前に「最後」と言っておいて、突然、「最初」にして慌てさせる「フェイント作戦」かぁ~?と、たまげてしまった。

★ 心理戦その2【脅し役?櫻井敬子(学習院大学教授)】

自称(いや、職業としてそうなのでしょうが)「法学の専門家」だと枕詞をおき、「凍結できたけれども行政が停滞していることで得られるリスク」という言い回しを使い、直接、次のように言っていないが、「県の反対でダムを作らず、洪水が起きた場合、損害賠償の対象となって、県は負ける」というニュアンスが伝わってきた。それから「知事が了承しがたいというのは、方針に反対するということか。消極的賛成ということか・反対なら、知事の任期中は、想定する方針はできないことになる。結論を引き延ばすのは(施策の)執行者としていかがなものか」と。総じて言えば、両論併記にこだわらずに、消極的賛成というところに収まっておけば、知事個人にとって最悪の事態にはなりませんよという言外のメッセージがプンプンしていた。

それでも最後まで「了承しない」と意見を変えない知事に苛立ったように(その苛立ちぶりをあえて表現すると「何が得かを筋道を立てて整理してあげたのに屈服しないなんて、つける薬がない、もう私だってお手上げですよと」でも言いたそうな)、後の方の発言で、「予定調和的な河川分科会の中で想定外」とまで言った言葉がほとんど捨て台詞に聞こえました。

ふ~ん、「予定調和的な河川分科会」なんだ~。そういうつもりで審議会に出席するのか、と思いました。

★ 順不同ですが、心理戦その3【侮蔑役?越澤明(北海道大学大学院教授)】

小委員会と分科会は議事録から発言者名を除いたものを公開しているが、今回は発言者名をつけての公開をしたらどうか、提案した。ダメなら知事だけでも、「選挙のこともあるだろうから」発言者名とともに公開してはどうかと。

聞いていてムカっと来た。「選挙のため」だって?国土交通省の影に隠れて、「学識経験者でございます」といいながら、発言者名を伏せてもらっている「学識経験者」が、その専門家よりはるかに河川事業や基本高水について審議してきた知事に向かって、「選挙のため」ですって?

結局、これは分科会長が、「審議会全体に関わることなので、発言者名入りの議事録公開はしない。知事さんの名前だけでよければと」まとめた。

そこで、なぜ、「学識経験者」の名にかけて、言い出しっぺとして、「自分の名は知事と一緒に公開してくれ」と言わないのか?今からでもおそくはないから、そうして欲しい。国民の税金から謝金をもらっている学識経験者として、次の時代へのページを開いて欲しい。

★心理戦その4【挑発役?水戸部浩子(荘内日報社 論説委員)しかし自分を貶めただけ?】

人吉の河床を掘り下げることができない、ということを自分の言葉で言いたいがために、「もはや禿げ頭と言ったら失礼ですけども、もう禿げかけているようなちょっと見るに忍びないような、もうこれ以上掘っちゃえばおそらく年増女が化粧落として見られないぐらいの」と表現。あまりにお下品。

★ 心理戦その5【ムードメーカー役?山岸哲((財)山階鳥類研究所所長)】

「さっきから知事さんダダをこねているけど」の発言。「さっきの知事の話でフラッとしたけど、やっぱり小委員会の報告どおりでいいや」とも。一端は知事の話に説得力を感じたが、最終的には近藤委員長の話に納得したという意味なのでしょうが、委員長の報告は、一回や二回聞いたところで理解できる内容ではない。納得したというなら復唱してもらいたい。それにしても知事に向かって「ダダをこねている」とは稚拙な侮蔑でした。この人も自身の品格を貶めたと思う。

★ 心理戦その6【お墨付き役?福岡捷二(中央大学研究開発機構教授)】

私は河川工学が専門である。専門家である私は、委員長報告どおりでよいという。その理由は・・・・・と。専門家ではないほかの分科会委員にはまったく理解できないであろうことを、長々と述べて(このような場で中学生にも理解できる言葉で説明ができない人を私は専門家と認めたくない)煙に巻き、「専門家がそういっているんだから」とお墨付きを素人委員に与える役を演じた。中身が分からないのに委員をしている委員のための「良心の呵責引受人」ともいうべきだろうか。

★ 心理戦その7【結論への誘導役:岸由二(慶応義塾大学教授)】

「小委員会で意見が対立したものの、分科会での扱いを最初に議論したい。委員長報告は専門的な意見、知事の異論はポリシーとしてのご異論かな」と勝手に整理。実は、継続降雨時間や森林の保水力など専門分野の論点についての両論だったにもかかわらず、そのこと自体がこの教授には理解ができていなかった。オソマツ。にもかかわらず、二つを「専門分野と政策」の二つに分類してしまい、知事意見を除外する役割を果たそうとした。あまりにもムリがある。(無理を通して道理をへこますの典型)

ちなみに、熊本県知事が県民討論集会などを通して自ら培われた(鍛えられた?)専門的知識は、熊本の土木業者でさえ、「よく勉強している」「あの点は確かにそうだなと思う」と感心しているぐらい(先日取材をした)、素人の域を出ている。

★ 心理戦その8【お墨付き役?2号、3号:池淵周一(京都大学名誉教授)、虫明功臣(福島大学教授)】

河川が専門。池淵「基本高水の算出は合理的」虫明「ダム反対の論点は計画流量が過大、森林保水力」と整理し、「知事は文科系の方だから」理解できなくて当然というニュアンス。またまた侮蔑。げんなりだった。この時点で心がとても疲れた。この侮蔑には文科系の櫻井教授が反論するほどだった。

★ 心理戦最終【良い子ぶりっ子?:近藤徹((財)水資源協会理事長)】

「小委員会に出席していた皆さんは皆ご存知だか、私はいつも最後に発言してきた。私が出した結論ではなく、専門家の皆さんの結論だ」と聞くにおよび、本当に心の中が痛くなった。どうしてこんなことがいえるんだろう?あんなに誘導していたではないか?

ということで、419日の分科会では、熊本県知事が「了承しがたい」と発言することを見越し、知事が消極的賛成に歩み寄るよう試み、そうなりそうもないとなって、「専門家がダムを作らないと水害のリスクがあると言っているのに、政治家として結論を引き延ばして何かあったら、知事さん、あなたの責任ですよ」と脅しておこう、というシナリオがあったようだと感じました。

そんなシナリオがあったかどうか、真相は知るよしもありませんが、聞いていて異様な作為を感じる審議でした。

|

« 第二回「閣議決定違反」大賞 | トップページ | 続・ラオスのダム開発-日本が問われるもの »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/82688/6381633

この記事へのトラックバック一覧です: 審議会は誰のもの?:

« 第二回「閣議決定違反」大賞 | トップページ | 続・ラオスのダム開発-日本が問われるもの »