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2007年6月23日 (土)

ふたたび、いろいろ

本日、これに行って来ます。

http://kawabegawa.jp/

人吉新聞で「高橋ユリカのダム取材10年の証言」も必読http://www.hitoyoshi.co.jp/dam/index.html

川辺川その他、いろいろな川で変化が起きていますが、それはまた。

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2007年6月15日 (金)

穴あきダムは本当に環境にやさしいか?

先月のグローバルネット第7回(20075月号)の転載です。

すみません、まだ関係者に掲載誌を送っていません。お許しを。

穴あきダムは本当に環境にやさしいか?

1996年度以来、日本では105のダム事業が中止された。2002年臨時国会では、扇千景国土交通大臣(当時)が「2003年度から、一切新規ダムを中止」と答弁した。その2003年国会では、ダム開発が目的の特殊法人水資源開発公団が独立行政法人水資源機構に改組され、業務を「水の供給量を増大させないものに限る」と限定した法律が通過した。農水省も新規利水ダムを作らない方針だ。今後、国交省の治水ダムと砂防ダム、および農水省の治山ダム以外にはどんな新規ダム計画もありえない。この時代にあたかも生き残り策として各地に登場したのが治水専用の「穴あきダム」だ(表)。「anaakidams.doc」をダウンロード

国交省内での扱いが奇妙なダム

国交省はウェブサイトで「通常時はダムに水を貯めないため、流入水とほぼ同じ水質が維持されます」と宣伝を始め、「水がたまらないので環境にやさしい」というフレーズをまことしやかに打ち出すようになった。問題は、その根拠が一向に示されないことだ。

「環境にやさしいという科学的根拠はあるんですか?」と取材に行って驚く。担当者であると出てきた国土交通省河川局治水課からは「ちょっと分からないですね」という第一声が返ってきた。言葉を継いで「ま、通常時は水を貯めないので、ダムの上流については普通の川が流れる形になりますし、洪水吐(穴)を使って水を流すので土砂もほぼ自然に近い形で流すことができます」とウェブサイトと同じ文言が繰り出されたが、さらに「環境にはよいのではないでしょうか?どう思われます?」と逆質問を受けてしまった。さらに「利水目的がなくなれ治水目的だけになるのは自ずと普通の結論じゃないですか?」(河川局河川計画課)と奇妙な反応までが返ってくる。

勇み足で非専門性を見破られた元河川局長

奇妙なのは国土交通省職員の対応だけではない。環境影響を気にするあまり、「今が流行り」とばかりに穴あきダムを提案し、住民からひんしゅくを買い、勇み足を大臣や河川局職員からでさえ軽く受け流された「学識経験者」達も出現している。

2007214日、川辺川ダム問題を抱える球磨川水系の河川整備基本方針について審議する場で、元建設省河川局長や水資源開発公団総裁を歴任し、現在、財団法人水資源協会理事長の近藤徹委員長が、川辺川ダムを穴あきダムにしてはどうかと提案した。熊本県から遠路、ダム反対運動の住民たちが大勢傍聴に訪れていたことを意識してか、複数の委員が環境影響への懸念を述べていたからだ。ところが、河川計画課では「具体的なダムを決めるところではない」と対応せず、大臣でさえ記者会見で、「基本方針で穴あきかどうとかいうところまで整理するものではない」と受け流した。

委員長の発言を、新法の枠組みも理解せぬまま「環境への影響を小さくできる」と垂れ流した報道機関もあったが、住民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)は見逃さなかった。同審議会に送った意見書で、「穴あきダムが急浮上したのは、川辺川ダムを建設した場合の環境への影響を委員会としても懸念せざるをえなかったに他ならない」と逆手にとって批判し、さらには「穴あきダムは決して「環境にやさしいダム」ではない」と反論を行った。

意見書で同会は、水は貯めずとも、景観や生態系へは破壊され、流木や土砂で穴が詰まる可能性などを列挙。川辺川流域で04年と05年の豪雨で起きた大規模な山腹崩壊で、穴あきダムに似た構造の巨大な樅木(ルビ:もみのき)砂防ダムと朴木(ルビ:ほうのき)砂防ダムに堆積した土砂からシルトが流出し、濁水が半年以上続いた事例を元に、穴あきダムも濁水の流出源になるのではないかとの可能性を示唆した。また、従来計画は放流ゲートを操作するアーチ式コンクリートダム計画であるのに対し、穴あきダムは自然調整式の重力コンクリート式ダムであるという根本的な矛盾も指摘した。

県営ダムで続々と「穴あきダム」

もともと、穴あきダムが取沙汰されたのは、2002年に長野県で田中知事(当時)が県営浅川ダムを中止すると宣言をした頃だ。代替案として「河道内遊水地」という名で穴あきダムが検討されたが、結局は「普通のダムと変わらない」と批判を受け撤回された。その後、村井知事が就任し、穴あきダム計画が再浮上しているが、肝心の洪水想定地域で水位5ミリの減災効果しかないことが明らかになっている。

 石川県に計画された県営辰巳ダム計画では、①兼六園に水を送るために1600年代に建設された辰巳用水の取水口が沈む②データの捏造で洪水量が過大に想定されているなどの理由で根強い反対運動があった。これに対し石川県は、2004年に定めた河川整備計画で当初計画を変更し、辰巳用水が沈まない位置に穴あきダムを作ると発表した。奇妙だったのは、200511月になると、一坪地主運動に対し強制収用を前提に用地買収の交渉を持ちかけながら、その裏で穴あきダムの縮小模型を使い、「割り箸」を流木に見立てた実験を行っていた。模型実験結果を委員会に報告した職員が、「流木には根も葉もある。スクリーンを塞がないか?」という単純な質問にも回答がなされないなど検討不足は明らかだが、計画は粛々と進んでいる。これに対し、「辰巳の会」「犀川の河川整備を考える会」「ナギの会」など住民団体は、①流木対策に決め手がない。②文化財の目の前に巨大なコンクリート擁壁は許されない。③堤体上流部や副ダムでは、ダム固有の堆砂や水質問題が発生する。④上流では水位変動が激しく斜面崩壊が誘発される。⑤水位変動は中小動物の殺戮を繰り返す。⑥下流での中小洪水が減少し河川環境が激変する。⑦魚や川虫類の回遊を遮断し生態系の破壊を招く、など数々の問題を提示して中止を訴えている。

山形県も1991年から進めていた県営最上小国川ダムを、水需要が見込まれないとして多目的ダムを穴あきダム計画に変更した。200611月に最上流域委員会小委員会が「穴あきダム案」を知事に提出したが、「最上小国川の真の治水を考える会」(事務局長 草島進一)は流域委員会での議論不足、穴あきダムの環境への影響や治水上の欠陥、費用対効果の問題などを訴え続けている。

影響はゼロじゃない

冒頭に述べた取材で、治水課担当者は、穴あきダムの唯一の先例である益田川ダムでは木を切らずに湛水試験をやったため、目視しただけでも「竹などは枯れた」「影響はゼロじゃないと思いますよ」と率直に語った。「普通のダムもそれなりに環境にインパクトがあると思いますけど、それなりに環境に配慮しながらやっている。穴あきダムが100点で普通のダムが零点だという劇的な違いがあると思っているわけではない」と河川計画課担当者も言う。

それでは、環境に優しいという宣伝はまずは撤回してもらわねばならない。ゼロから100点の間で、従来型のダムと穴あきダムの環境影響とを徹底的に総括・検証した上でなければ、これ以上一歩たりともイメージ先行で「穴あきダム」を進めるべきではあるまい。

まさのあつこ

(無断転載はご遠慮ください)

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2007年6月 4日 (月)

神奈川の水源環境税

「労働大学出版センター『まなぶ』07年5月号から」許可を得て転載します。

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〝環境保全〟という建前と〝増税〟というホンネ

~神奈川県の水源環境税から透けるもの

ジャーナリスト まさのあつこ

「同じ河川に関わる事業であるにもかかわらず、従来の予算は見直さず、新しい財源が必要だと新税が創出されました。ほんらいは不要な公共事業を減らし、浮いたお金を環境保全に回し、それでも足りなければ、初めて新税の検討となるのが筋だと思います」

神奈川の水源環境税についてこう異論を唱えるのは、自然保護団体「相模川キャンプインシンポジウム」の氏家雅仁氏だ。「桂川・相模川流域協議会」(1998年山梨県・神奈川が設置)メンバーとして新税について説明を受けた際、さまざまな意見を投じて以来の実感だという。

「環境保全が必要といいながら、環境破壊を放置し、その一方で財源を確保するのであれば、今後も環境保全を名目に、市民は重税に組み敷かれることになる」と言うのだ。

 

 新税導入が、1)環境破壊型事業から保全型事業への転換につながるか、2)限られた財源の中で優先順序を組み替える行政改革の役割を果たすのか。この二つは新税が支持を受けるかどうかの分かれ道となりそうだ。

優先順序を組み替える行政改革となるか

 神奈川県の水源環境税は、2007年度から一人300円(均等割)と収入から平均控除額等を差し引いた額の0・025%が住民税に加算されて徴収される。たとえば、県民の平均年収543万円で計算すると、300円+1300円で1600円だ。

 元は岡崎洋知事(当時)が「確固たる財政基盤を構築したい」と神奈川県地方税制等研究会に諮問し、同研究会が2000年に「地方税財政のあり方に関する中間報告書」をまとめたことに源流をなす。その源流は税収確保だった。

 現在、水源や森林保全に関わる税を実施あるいは導入予定の自治体は24県ある。他県のほとんどが一律均等に300~1千円を課し、2~3億円の税収規模となるのに対して、神奈川県では38億円にのぼる。その意味で発案者の狙いはあたった。問題はその背景である。

 当時から実質5年半にわたり新税成立まで舞台回しをした平松博神奈川県企業庁経営局長(06年度末で退職)は、「所得の多い人には応分の負担をしてもらう思想だ」と他の県では見られない課税方法の表向きの理由を説明したが、取材が進むにつれ、本音も漏らした。

「均等割だけでやると施策をドンドン広げていこうにも無理ですよね。神奈川県の場合は所得割なので、県民が納得すれば税率を上げる」ことができるという。それでも、先述した1)と2)の効果があれば批判は受けまい。

 ところが、税の使い道は従来から行われていた森林、河川、環境の3分野に配分されている(表参照)。平松氏によれば、一般財源はそのままで、新税が増えた分だけ事業をスピードアップするのだという。赤字財政を立て直しながら、環境保全を優先事項とするのではなく、環境を名目にして得た財源で、従来どおりのハコモノ事業を維持・拡大するというのだ。人口減少が進む山間部でより合理的だとされる合併浄化槽には3%しか配分しない一方で、2割強が下水道に配分されている(表参照)ことがそれを裏付ける。

一方、新税成立過程では、水道料金の徴収業務を行う横浜、川崎、横須賀市などの地元自治体も反対した。当初は水道使用量に対して課すことが議論されたため、水道料金の値上げと同様だ、という理由だった。横浜市水道局は「環境税の目的とする事業はすでに水道料金に含まれている」という理由も挙げた。水源保全の費用として水道料金1㎥あたり6円程度を徴収しているという。また、水源確保の目的は宮ヶ瀬ダムの完成で果たされたとし、ダム湖周辺の水質改善対策事業として年約3億円、隣接する山梨県道志村の生活排水処理事業への助成に2001~2012年度で約26億円、合併処理浄化槽687基の設置などを計画している。地域によっては二重徴収のおそれもある。

市民参加はだれが担保するの?

 県が批判に耳を傾け、意見を反映させていくかどうかも課題だ。今年度から公募委員、関係団体など30人で構成する「水源環境保全・再生かながわ県民会議」を設置し、新税による施策の実施状況を点検・評価させることにしている。こうした会議がどれだけ県民の意見を反映し、信頼を得ることができるかも重要だ。市民の意見を聴く仕組みは珍しくはないが、聞き置いて終わりの事例がほとんどだ。

 たとえば、表にある事業メニューは市民参加によって変わりえるのかとの問いに、県税務課の金子浩之主幹は、「5年間は手探り状態。進めていく中でモニタリング結果をフィードバックして翌年の施策を見直す」という。この言葉がどこまで実行されていくのかが一つの試金石だ。

「県は市民参加による新税議論を進めてきたと宣伝するが、県にとって都合のいい人を入れるだけではお手盛りとなる」と早くも過去の経験から警告を発するのは、先述の氏家氏だ。水源環境税の議論を行った地方税制等研究会生活環境税制専門部会の市民メンバー就任の打診を一度は受けながら、話が立ち消えたことがある。同氏はかつて宮ヶ瀬ダムや相模大堰の反対運動で県と対立した経験をもつ。打診をしてきたのは会の運営を県から受託していた民間コンサル会社だったが、最終的に人選を行った県土地水資源対策課に理由を確かめると「そんなこと説明しなくても分かるでしょう」と妙な返答が返ってきたという。

失政のツケを地方税で払うの?

 新税の目玉である「水源の森林づくり」にも問題が散見される。県は森林整備の遅れの原因が木材価格の低迷だと大雑把に括り、この財源で買い取による公的管理や補助金のかさ上げなど公的支援を拡充する方向だ。

 一方で、無策だった国の林野行政では、森だけを見て作っていた施策を転換し、市場までをつなげて効率化やコスト削減を図り、国際商品としての木材の競争力を高めようという流れをつくろうとしている。

 県が国の林政の失敗を地方税で尻拭いし、公的資金への依存体質を維持拡大し、国は市場を意識した新しい林政を試みることになる。消費地に近い神奈川の森林行政が、緻密な過去の総括なしにチグハグな施策の元で進む。これでは税をドブに捨てることになりかねない。

 また、「かながわ森林づくり公社」の累積債務252億円(04年度末)問題は、新税を検討した県や諮問機関などの報告書、パンフレットでは触れられていない。「新税での返済を目論むなら詐欺的行為だ」(NPO法人森づくりフォーラム)等と以前から示されていた懸念は払拭されていない。

 今後も森林環境税の導入は波及してくだろうが、新税措置の「本音」はなにかを見抜く力が市民や議会になければ、説明責任を伴わない単なる増税に終わると肝に銘じておくべきだろう。神奈川においても、市民参加で、県施策の優先順序が変わり、環境破壊型のムダな公共事業が減ったと県民によって実感されなれば、環境保全は建前でしかなかったと結論付けられることになる。

(無断転載禁)

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