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2007年7月11日 (水)

ダブル談合バックマージンの世界

コンサルタント業務が関わる談合事件を取材した。被告側の会社の関係者に電話取材で聞き出した話だが、裏が取りきれずに(また、これがメインの取材テーマではなかったため)原稿の中ではうまく使えなかった。しかし、構図自体は共有しておきたいので、メモをしておく。

複合的に行われる談合の構図。

Aコンサルティング会社とBプラント会社がつるむ場合。

A社が設計業務を安値で入札する。

A社が手がけるプラントの設計はB会社にしか建設ができない。

B社は事実上独占的に高く受注する。

そして高く受注した分をAにバックマージンとして渡す。

 

この話をしてくれたのは、現実の世界ではC社だった。

C社は「自分たちは談合をもちかけたが、ダンピング常習のA社が現れたので、談合が成立せず、結局A社が受注をしたではないか、自分たちは無罪だ」と言いたかったのだ。

 

だが、A社はダンピング常習者とばれてはずされ、2番目に安い札をいれたC社が受注し、B社がプラント建設を行った。

C社は、A社とB社がつるんでいたのだということを臭わせたが、D社によれば、「C社がどうしても受注しないといけない理由があった。それはB社が受注しなければならない理由があったからだ」と言った。誰がほんとうのことを言っているのか?つるんでいたのはC社が言うようにA社とB社なのか、D社が言うようにC社とB社だったのか。C社がA社とB社だという動機は分かるが、D社がC社とB社だというならD社の言うことが正しいかもしれない。もしもD社が言うように、B社が受注しなければならないなら、その理由は、その口ごもりようから、政治家とのつながりなのだろうかと思った。

そこで、めぼしい政治家の政治資金収支報告書を調べた。しかし、政治資金収支報告書はザル法なので、そのかかわりを見つけだすことはできなかった。この線は、この先を追うことができなかった。改めて分かったのは政治資金収支報告書がいかにザルなのかということぐらいだ。

ところが、このとき、念のために見たある政治家の政治資金収支報告書に、思わぬ献金の事実を見つけた。これはもともと追っていたメインテーマにもかかわる内容だったので、それを記事化した。しかし、ゲラチェック段階でこの政治家は、まもなく自殺した。

それで、もう一本の記事を書くことになった。それで書いたのが、

松岡農水相の自殺が物語る「政治資金規正法」

安倍内閣6人が談合組織から献金

週刊金曜日 第658 20070615 p.18~19だ。

 

談合組織から献金を受け取った6人のうち1人は、阿部首相が臨時の農相に任命した若林環境大臣で、6人のうち1人は、赤城農相だった。

なんと脇の甘い任命者だろう。「自殺」の直接の原因は、この談合の全容が明らかになっていくことを防ぐことにあったのだろうと私は考えていたので、わざわざ同じ談合組織から献金を受け取っていた政治家を後釜に据えなくてもいいのにと思った。案の定、問題が吹き出してきた。大臣のすげ替えを含め、応急措置はともかくも、恒久的な対策として最低でも政治資金規正法を「入」と「出」を1円から報告するという改正をするしか、国民の信頼は回復できないだろう。

ところで、裏取りが挫折して立ち消えたもう一方の線だが、その後、A社は別の地域での別の事業での談合が摘発され、すでに司法によって裁かれていた。

世の中のほとんどの人間は、良い者、悪者と分けることができないが、この世界、こと談合を可能にしているメカニズムに組み込まれている人間のほとんどは悪者ではないかと、冷めた気持ちにさせられる結末だった。

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