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2007年7月28日 (土)

河川分科会長、両論併記せず辞任

昨日、淀川水系河川整備基本方針を審議する社会資本整備審議会河川分科会があり、傍聴に行った。二つのことをメモっておきたい。まず一つ目。

冒頭、国交省事務局から「河川分科会長から『辞めたい』という話があって」と、その場で会長がシャンシャンの互選で(近藤徹小委員会委員長の推薦で誰からも異議なし)で交代があった。前分科会長に対しては、629日に「水源開発問題全国連絡会」(水源連)から抗議文が出ていた。辞任したということは、非を認めたということなのだろう。

水源連からの抗議の対象は、419日の球磨川水系の河川整備基本方針の審議の際(PDF)

、地元知事がある閣議決定をもとに、両論併記を求めたことに対し、西谷剛分科会長があっけなくそれを踏みにじったことだった。

両論併記とは審議会等の整理・合理化に関する基本的計画」 。これには「審議を尽くした上で、なお委員の間において見解の分かれる事項については、全委員の一致した結論をあえて得る必要はなく、例えば複数の意見を併記するなど、審議の結果として委員の多様な意見が反映された答申とする」という運営指針がついている。知事は「このように明文化されてございます。したがいまして、再度、私は小委員会審議会の結果におきまして了承しがたいという意見を述べましたことを併記していただきたい」と述べていた。

ところが、分科会長はそれを無視して、あっけなくその日419日のうちに社会資本整備審議会会長に、そして、同時にその会長から国土交通大臣に、球磨川水系の河川整備基本方針は国交省案どおりでヨシとする公文書を送っていた。

地域の「治水」が、地元住民の意向を無視してうまくできるわけがない。11回に渡る小委員会での審議のほとんどを傍聴したが、その間、知事が言い続けていたのは「この(川辺川ダムを前提とした)案では、熊本県民は了承しない」ということだった。それ以上でもそれ以下でもない。しかし、この意見がまったく重視されず、併記もされず、踏みにじられた。

ちなみに、審議会改革についての閣議決定は、これまで2回に渡って行われてきている。

ちなみに、こうした官僚主導の行政手法を改革する法律や閣議決定が出たのは、自民党政権がくずれたことを契機に起きている。そして、自民党政権になると、その閣議決定や、法律の運用が、また、官僚主導になっているのだ。このことは、今回の参議院選を含め、十分に考えていくべきことだろう。

さて、本題に戻る。

以下が上記にレポートした水源開発問題全国連絡会による抗議と、添付された付属資料だ。

許可を得て転載をさせていただく。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

2007629

社会資本整備審議会

会長 張 富士夫 殿

同審議会河川分科会

会長 西谷 剛 殿

 水源開発問題全国連絡会

  共同代表 嶋津暉之

  共同代表 遠藤保男

河川分科会長から社会資本整備審議会長への報告文についての抗議と要請

419日の河川分科会で球磨川水系河川整備基本方針についての審議結果が取りまとめられました。

その結果がその日のうちに社会資本整備審議会長に報告され(資料1)、それを受けた審議会長が国土交通大臣に意見書を提出しています(資料2)。

河川分科会長から社会資本整備審議会長宛の報告は、19日の河川分科会で西谷会長が提案し、潮谷義子委員が同意を与えた「とりまとめ」(資料3)に沿ったものでなければなりません。ところが、潮谷委員の意見を反映させた文がすべてカットされていることがわかりました。

球磨川水系河川整備基本方針検討小委員会における潮谷委員の地道な真摯な対応とその結果としての「了承しがたい」という意見が審議会の公文書として残らないことになったのです。

潮谷委員が繰り返し表明した「了承しがたい」という意見が社会資本整備審議会長に伝達されず、あわせて、国土交通大臣にも伝達されないのは、潮谷委員個人にとどまらず、潮谷委員が拠り所とした熊本県民に対する背信行為と言っても過言ではありません。河川分科会の議事での約束が守られなかったのはなぜなのか、西谷分科会長の責任はきわめて重大であるとともに、そこに審議会の答申をも意のままに操ろうとする国土交通省の許しがたい姿勢があります。

社会資本整備審議会会長への報告に「とりまとめ」を記載していないことは、419日の河川分科会に出席していた全員に対する河川分科会長の約束違反であり、潮谷委員に対する明白な「背信行為」です。

私たちはこのことに対して強く抗議するとともに、以下のことを求めます。

1:西谷河川分科会長は、国社整審(河)第4 号(平成19 4 19 日)文書を取り消すこと。

2:西谷河川分科会長は、419日の「とりまとめ」すなわち、「潮谷委員から了承しがたいというご意見もございましたが、当分科会全体としては原案を適当と認める。なお、河川整備基本方針については、当分科会として河川管理者に説明責任を十分果たすよう強く要請する。」を社会資本整備審議会会長への報告とすること。

3:張社会資本整備審議会長は国社整審第20 号(平成19 4 19 日)文書を取り消すこと

4:張社会資本整備審議会長は「潮谷委員から了承しがたいというご意見もございましたが、当分科会全体としては原案を適当と認める。なお、河川整備基本方針については、当分科会として河川管理者に説明責任を十分果たすよう強く要請する。」を内容とした報告が社会資本整備審議会長にされ次第、同報告を以って審議会意見とする文書を国土交通大臣に提出すること。

本件の連絡先

 遠藤保男 (ここでは略)

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付属資料1

国社整審(河)第4

平成19 4 19

社会資本整備審議会

会長 張 富士夫 殿

社会資本整備審議会

河川分科会

会長 西谷 剛

球磨川水系に係る河川整備基本方針の策定について

平成18 2 13 日付け国社整審第20 号で河川分科会に付託された標記については、当分科会において「適当と認める」と議決しましたので報告します。

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付属資料2

国社整審第20 号平成19 4 19

国土交通大臣

冬柴裁三殿

社会資本整備審議会

会長 張 富士夫

球磨川水系に係る河川整備基本方針の策定について

平成18 2 8 日付国河計調第71 号により当審議会の意見を求められた「球磨川水系に係る河川整備基本方針の策定について」については、社会資本整備審議会運営規則第8 条第2 項の規定1 により、当審議会河川分科会の結論をもって当審議会の意見とすることが適当と認めます。

資料3 419日河川分科会議事録抜粋

http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai/shakai/070419/pdf/070419_gijiroku.pdf 

より。

この議事録5253ページにかけて

【分科会長】...次のような取りまとめをしたいと思います。つまり「潮谷委員から了承しがたいというご意見もございましたが、当分科会全体としては原案を適当と認める。なお、河川整備基本方針については、当分科会として河川管理者に説明責任を十分果たすよう強く要請する。」

以上を取りまとめといたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。知事さんもよろしいですか。

【潮谷委員】私の意見をあったということで明確に位置づけていただいた上で、そのほかの委員の方々が了承されたという文言の整理でございますので、結構でございます。

【分科会長】ありがとうございました。

~~~~~

転載終わり。

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