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2007年8月31日 (金)

政治資金の監視方法をハイテクに

暑くてもエヘラエヘラと遊んでばかりいられない。アタマに来ること連続。「怒りのエネルギー」は「伝えるエネルギー」に昇華、変換するに限るので、環境行政改革フォーラム総会で2コマ吠えた。

一つは「審議会行政の終わらない闇」。雑誌などですでに書いたが、口頭でもドンドン伝えるため、コンパクトにまとめてプレゼン。パワーポイントファイルをそのままここに掲載します。「eforum2007.ppt」をダウンロード

もう一つは「政治資金の透明化は国家財政を救う」。以下は総会資料に載せた要点というかサワリ。

政治資金の透明化は国家財政を救う

まさのあつこ(ジャーナリスト)

政治資金問題は"疑惑""疑惑"のまま終わるのが常だ。領収書を「出せ」「出さない」で時間を浪費し、貴重な国会審議も無駄にし、解決を要する山積みの問題が先送りされる。TVや新聞報道も同様で、権力を監視する時間と労力が、「法律に基づいて適正に処理している」という空虚な返答でどれだけ浪費されてきただろうか。

「法律に基づいて適正に処理している」と答える政治家は、その法律自体がザル法であることを百も承知である。この現象は国家財政の浪費であり、報道機関の人材と時間の浪費であり、いまや“疑惑報道遊び”とも言うべき国民の娯楽と化したのではないか。

ザル穴をふさぎ、疑惑を未然に防いで、透明性を確保するには複雑なルールは要らない。政治資金規正法第一条の目的に書かれた「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」には、金の「出」と「入」を1円から記録させ、領収書の添付を義務化すればいいだけの話である。

【透明性以前の問題】

 それ自体は単純な話であり、透明性以前に、政治資金収支報告の監視を複雑にしている事柄を最初に整理しておこう。今のままでは、透明性が確保されても、複雑もしくは抜け穴が大きすぎて、監視をしにくいからだ。

監視を難しくさせている一つは企業献金のあり方だ。細川元首相の方針を受けて2000年に施行された改正政治資金規正法は、政治家個人への企業献金を禁止した。そして、これによる政治活動資金の不足分を補填するため、政党助成金の交付が先に始まった。ところが、結局、政党や政党支部への企業献金の道を残したため、政党助成金の支払いを申請しない共産党以外は、「二重取り」の焼け太りに終わっている。

また、共産党以外では、与野党に限らず、政治家個人の政治資金管理団体や政治団体と別に、政党支部を立ち上げ、企業献金はそちらで受け続けているため、全体像がつかめない。

 たとえば5月に自殺した松岡利勝農相(当時)は、個人の政治団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」を総務省に、「自由民主党熊本県第三選挙区支部」を熊本に届けていた。他にも関係した政治団体があったかもしれないが、政治家の名前で他団体を名寄せすることは現在不可能である。

また、「パーティ券の対価支払い」というザル穴もある。政治家個人でも上限百五十万円までなら企業からの支払いを受けることができる。

複雑さの代表格のもう一つは、政治団体や政治資金管理団体の間でも献金はできるため、政治資金管理団体以外からトンネルさせれば、企業献金のマネーロンダリングができることだ。

そこで、透明性を確保するためには、それ以前に政治家一人につき、政治資金の入と出を一つに統合できるようにする必要がある。

【ローテクな監視方法】

複雑さに加えて、第一条「国民の不断の監視と批判」を阻む最も大きな穴が、政治資金の監視を阻むカラクリである。この情報化時代にあって、政治資金収支報告書の届け出先は各都道府県の選挙管理委員会と総務省に分散している。どこに届け出てもいいため、前述の松岡利勝の場合は、総務省(東京)と熊本県の両方に足を運ばねばトータルな監視はできない。

たとえ総務省と熊本県庁の両方を訪れる時間と金が、監視をしようと思う者にあったとしよう。しかし、それでも、その場ではコピーはとれず、閲覧しかできない。開示請求をすればさらなる金と時間がかかる。デジカメや携帯電話で気軽にどこでも写真が撮れる時代なのに撮影も禁止だ。手で書き写すというローテクな監視方法しか許されていない。

しかも、先述したように政治家によってはいくつもの関連政治団体を持つので見落としも出る。

 松岡の後任農相・赤城徳彦に至っては、自分の政治資金管理団体「徳友会」に、解散した他の政治団体「つくば政策研究会」が経費を計上していたことを知らなかったとし(この後出しのストーリーが本当だとすれば)、さらには虚偽報告までが判明したが、このように政治家本人が自分の政治団体がいくつあるのかすら分からないと言い訳ができてしまうほどに「監視」が難しい。こんな状態で国民に監視せよという方が無理だ。

政治団体の名前もザル穴の一つだ。たとえば廃止されたという「つくば政策研究会」が今でもあったとしても、一目で赤城の政治団体だと分かる者はいまい。また、「徳友会」という名前が分かっても、総務省と茨城県庁のどちらに届け出ているのかを知らなければ、閲覧にいっても無駄足になる可能性もある。

【ネット上で公表を】

 監視を可能にする仕組みを考えるのはさほど難しくはない。

 米国では、非営利組織「C-SPAN」が米国連邦議会の議員の名前で検索をかけると、献金をした組織、個人とその額などが分かるデータベースを構築している。日本からでさえ見ることができる。

私が知る限りで最も優れた政治資金データベースを構築しているのは、米国ウィスコンシン州議会を監視している非営利組織「ウィスコンシン・デモクラシー・キャンペーン」だ。政治家名だけでなく献金者名からも検索が可能で、しかも、その献金者がどのような背景(利権)を持った個人なのか、ロビイストなのかもたちどころに分かる。

良い仕組みは真似ればいい。政治家の名前ごとに、政治献金情報をデータベース化してインターネットで公開し、誰もが常時監視できるようにすればいいだけの話だ。誰からいつ監視されているか分からないという緊張感が政治家には必要だ。

【盗人からカギを取り上げるには】

 この単純な改正がこれまで行われてこなかったのは、政治資金規正法を審議成立させるのが国会議員自身だからだ。「盗人にカギ」状態を脱するには、国民が自分たちの置かれた状況を自覚し、「これでは『監視』も『批判』もできない。改正せよ」と強く声を上げるしかない。

与党自民党は、現在のところ領収書添付の義務づけについても「事務が煩雑になり、政治活動の自由に支障が出る」という屁理屈で、反対の立場を取っている。

納税者はその煩雑な作業を行っていることを知ってのことだろうから、傲慢としか言いようがない。知らないのならその非見識を嘆かざるを得ない。また、このような屁理屈を通用させてでも、不透明性を死守することに躍起になっていると思わざるを得ない。

参議院選の応援街頭演説で、衆議院の田中真紀子が言っていた。「年金を払ってもらいたければ領収書を出せ出せ出せと国民に言う。そんなに言うなら閣僚が出せ!」

つまりはそういうことだ。1円からの領収書の添付、1円からの報告によって情報をさらすことにより、献金を起点とした政治家の口利きや政官財の癒着を防ぎ、マージンなどの形で国家財政が環流していく無駄を防ぐこともできる。政治資金規正法一本を変えたところで即刻かわるものではないが、この根本的な第一歩を踏み出さずには、ますます、多くの国家財政や人材や時間が浪費されることだろう。(敬称略)

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