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2008年2月10日 (日)

地方財政を救えるだろうか

「地方財政」ってこうやって悪くなってきたんだなと思う法改正に遭遇しました。

1月15日に朝日新聞がこんな記事がありました。

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80自治体、税収減で赤字地方債 戦後3度目の異例措置

http://www.asahi.com/politics/update/0114/TKY200801140210.html

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八ツ場ダム事業をはじめとして、あらゆる公共事業は国と同時に、地方財政にたいへんな負担があります。そこで調べてみました。

実はこの改正案、「地方交付税法等の一部を改正する法律」の中でくくられて、すでに1月末に衆議院を2月6日に参議院を通過して成立してしまったのですが

簡単にいうと

07年度の税収が思ったよりも上がらなかった(景気は上向いたが、予想よりは上向かなかった)ため、立てた予算では足りなくなって、「赤字」となることになった自治体が80自治体ぐらいあることが分かったというのが上記の記事です。

ご存じのように地方債は、地方財政法に基づき、ハコモノなど限られたものにしか発行が許されない。そこで上記の改正案が必要だとして、政府が提出し、民主党も賛成してしまったわけです。

問題は、「地方債を発行できずに赤字になること」と「地方債を通常の経費のために発行できるようにすること」について、どちらが未来世代にとって罪深いかということです。

新聞記事には、発行できなければ「赤字に転落する」と自治体の窮状を煽るように書いてありますが、赤字になったらどうなるんですか?と自治体に聞くと、こともなげに「次年度予算の先食いになる」と言うのです。つまり、昨年度足りなかった分、今年は切りつめようねというわけです。

 

たとえば、ある県では平成14年、15年に赤字だったが、平成16, 17,18年に景気が好転したのでその先食いを償還したと言います。

これがもし公債を発行するとどうか?公債は30年償還という自治体が一般的で、より遠い未来に借金返済をちょっとずつ分割で先送りすることになります。

赤字を解消しようと近い未来で切りつめようとする「赤字」の状態と、「30年で償還する公債を発行して赤字にならないように取り繕う」状態と、どちらが健全かという問題です。

さらなる問題はここからです。この法案、衆議院でたった1日の審議で通過する際、実は「修正」されました。

総務省は、この改正が、本来の地方債の発行の理念(というか良識)に反するものだという自覚がありますから、法案では、その赤字補填のための地方債発行を許すのは、「平成19年に限り」となっていました。ところが、野党まで一緒になって「当分の間」と修正してしまった。「当分の間」ほど恐ろしい言葉はありません。

「暫定」税率が半世紀続いた日本です。「当分の間」はいつまで続くのか。地方債発行のタガをはずしてしまったわけです。パンドラの箱をあけてしまったというか。

政府提出法案に共産党は反対しましたが、反対討論の際、この「当分の間」には賛同すると言い添えていました。

ある県によれば、実は、このような期限を区切っての地方財政法の改正は史上3度目だが、改正しなくても、どこの自治体でもだいたい、赤字補填のための地方債は発行していたと言います。法律で規制してあるのにどうやってそんなことが可能だったか?と聞くと、公債発行が可能なハコモノ予算につけかえて発行していたというのです。それがなぜ、今年はできないかといえば、ハコモノ予算自体が削られてきたので、その枠内に修めることさえできなくなった。つけかえる余裕さえなくなったというのです。

いままで公債発行をハコモノなどに限ってきたのは、ハコモノなら未来世代も使える。「世代間の公平負担」という理屈でした。たとえて言うなら、借金を一緒に払えと、同居前提の二世代住宅を親が勝手に建てたような(これはこれで子どもに選択肢を与えない)考え方です。

ところが、今、衆参両院ともあっさり通過・成立させてしまった今回の法改正は、同様の例えでいうと、今親が住んでいる賃貸住宅の家賃を払えなくなったからといって、将来にわたって子どもに負担してよ、というようなものです。総務省は「今年だけだぞ」とタガをはめたのに(それでさえ罪深いのに)、国会が「当分の間」子どもに押し付けていいと。子どもは子どもで自分の家が将来必要になるのに、親が過去に払えなかった2007年度の家賃を払わせられる。

こんな魔法の法律が、いま、地方自治体の手中に入りました。自治体議会は、このような種類の「赤字補填債」の発行を認めさせるべきではないでしょう。07年度の「赤字」を08年から13年先食いするところまでは許したとして、それより先にツケ回すことは避けるべきだと考えるべきだと思います。

まして、ハコモノばかりか必要経費まで地方債で賄うことを表玄関から「当分の間」可能にしてしまったわけです。

「今の地方の窮状を作ってきたのは国の政策だ」とよく言われますが、これは、その新たな例ではないかと思います。よもや、国の政策に無邪気に乗って「赤字補填債」という形で遠い未来まで「必要経費」をつけ回すことをさせない覚悟が、自治体議会に必要だと思われます。

国会のチェック(および報道)をすり抜けてしまった悪い法律の運用を防ぐのは、自治体の議会しかありません。

80自治体に該当すると思われる自治体の議会は、ぜひ、地方財政法(附則)33条以降と今回の改正・修正文を熟読して、現状・未来分析を行って、適切な判断をされることをお勧めしたいと思います。

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2008年2月 2日 (土)

ねじれ国会だから

ねじれ国会だからこの際、言っておきたいことが一杯あるのだが、

国土形成計画案のパブコメが1月15日で締め切られていた。

↓このページの最後の方にある。

http://www.mlit.go.jp/pubcom/07/pubcomt133_.html 

これがその案だ。

http://www.mlit.go.jp/pubcom/07/pubcomt133/01.pdf 

原案は国土審議会計画部会で議論されていた。http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/keikaku/keikaku_.html

見ると、平成1811月から16回から26回まで丸一年以上、議事録が掲載されていない。

国民に対してなんちゅう失礼な。

そんなことにも気配りできない審議会委員はこの人たち。

http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/keikaku/26/01.pdf

この「計画」の根拠法は昭和25年にできた「国土形成計画法」だが、http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/keikaku/1/shiryo3-2.pdf 

それ自体が廃止されるべき法律で、

2003年、その前身である「国土総合開発法」が国土形成計画法に名称が変わる際、衆議院には全野党の賛成によって国土総合開発法の廃止法案が提出され、審議もされた。

 

この根拠法や計画の存在意義自体を国会で法案審議の中で問われていたこと自体を、果たしてこの審議会委員たちは知っていただろうかと、ふと思う。

ねじれ国会だから、この際、民主党はもう一度、「国土形成計画法」の廃止法案を出して参議院で審議すべきではないではないか?この国土審議会計画部会およびその運営に係る費用、そして法律を所管する国土計画局のこの部署が要らなくなる。

ところで、先日、参議院予算委員会で田中康夫議員が首相に対し、「この先、どれくらい人口が減るかご存じか」と聞いて、首相は答えられず、ごまかした。

首相、そんなのあちこちの政府関係資料に出てきます。

たとえば、この国土審議会計画部会の資料の2頁目にもでてきます。

http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/keikaku/21/05.pdf

見ておきましょうね。

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