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2009年4月20日 (月)

八ツ場ダム推進の政治家の発言と「公文書管理」の関係

引き続き、「公文書管理法案」の話の続きです。

たとえば、これは行政文書として残るか。

4月10日、「八ツ場(やんば)ダム推進議連1都5県の会の設立総会」の取材にいった。

267名の都県議員たちの会が八ツ場ダム推進のために会を設立。報道せねばと駆けつけたが、出席者の発言を聞いているうちにだんだん気持ちが萎えた。

こんな発言だ。

●石原・東京都知事
造りかけたものを今さら止めようというのは、暴論に近いと思うし、まず造っておいて結果をみるのが一番肝要だと思います。10年、20年先を見据えて、このダムを着実に造ってゆこうじゃありませんか。

●大沢・群馬県知事
 最近、全国各地でダム建設事業に関する議論がなされておりまして、八ッ場ダムを中止すべきだという意見もあるようですが、これは地元の声やこれまでダム事業の歴史を一切顧みないものであり、怒りすら覚えるところであります。

●森田・千葉県知事
知事選のその争点に八ッ場ダム、ありました。反対の大合唱でござました。でもね、皆さんね、これね、やっぱりたとえば千葉県だけで考えたとしても、治水利水の両面から考えて、やらなきゃダメですよ!皆さん!私はですね、それを基本的な姿勢として訴えてまいりました。

● 金子恭之・国交省副大臣
首都圏を貫流いたします利根川は、首都圏の貴重な水源である一方で、カスリーン台風に代表されるように、一度氾濫を起こしますと大災害を起こす暴れ川でございます。

●笹川尭衆院議員
今日は奇しくも天皇皇后両陛下ご成婚五十周年記念の式典を午後2時から開始をする、しかも地元の八ッ場ダムの推進に関して皆様方に長い間お待たせをし、あるいはまた水没する皆様方にも多大なご迷惑をかけながら、どうしてもこれは推進をしなければならない。

●小渕優子衆議院議員
八ッ場ダムの地元の国会議員であります小渕優子でございます。色々なところで、報道などで反対の声が挙がっているとのこと、そんな声を聞くたびに本当に不安な思い、心配な思いであるということであります。

●山本一太参院議員
どっかの政党が八ッ場ダムの中止をマニフェストに盛り込むようですから、次の選挙は絶対に負けられない、都議会選挙も国政選挙も絶対に勝たなければいけない。皆さんと力を合わせて八ッ場ダムを推進していきたい。

● 南波和憲県議・自民党群馬県連幹事長
昭和39年の東京オリンピックの年はたいへんな水不足の年であったと記憶しております。そして2016年の東京オリンピックでは八ツ場ダムができている。それで水は大丈夫という中で東京オリンピックを迎えたいというふうに思うわけでございます

次々と発される時代錯誤発言。

報道する気を失ってしまった。(根性なし→ワタシ)

・・・というわけで、国土交通省からは副大臣を頂点に、河川局長、関東地方整備局長、会場には随行者の席が設けられ、ぞろぞろと職員が座っていた。国土交通省職員もいただろう。私も取材メモを取ったが、彼らも「メモ」を取っただろう。

アメリカの公文書管理の制度では、職員が職務時間内に、職務に関連してとったメモは、たとえ何処にいようと、Public Records(公文書)。そのように「行政文書」が定義されているからだ。

一方で、日本の現在の情報公開法(および、現在、政府が提出している公文書管理法案)では、こうした「メモ」は、たとえ随行した職員が作っていたとしても、そしてそれを国民が開示請求したとしても、「個人メモ」としてかたづけられる可能性が高い。

疑問に思う人は、「4月10日に八ツ場ダム推進議連1都5県の会の設立総会の、国土交通省河川局職員による会議記録メモ」という開示請求を行ってみては?

ただし、与党議員と国交省職員がズラリと並んだ「接触した」会議だから、以下の法律が機能している場合は、出てくるかもしれない、とふと思う。

納税者が払う国家公務員の給料の職務時間に出席した会議だから、この法律が機能していれば、当然、開示されなければならない情報となるのではないか。どう思いますか?

== == ==
★国家公務員制度改革基本法 
(議院内閣制の下での国家公務員の役割等)
第5条  3項1
職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するために必要な措置を講ずるものとすること。この場合において、当該接触が個別の事務又は事業の決定又は執行に係るものであるときは、当該接触に関する記録の適正な管理及びその情報の公開の徹底に特に留意するものとすること。
== == ==

いずれにせよ、八ツ場ダムが完成したとしても必ず水はその分だけ余る。なぜなら、すでに保有水源は使用実績を上回っているから。推進根拠のなくなった八ツ場ダムを推進した「責任者」(政治家)の責任は明確に記録され、残されていかなければならない。余った水もタダではない。結局は「それを使わない1都5県の人々」が水道料金として払わされ、負担金も払わされ続ける。

その責任は、最低でもその負担を払わされる末期の代の人間が、あの政治家の責任だった、と言えるよう、こうした公的記録は残されるべきなのだ。

また、その政治判断を誤らせるだけの不的確な行政情報を与え続けた黒幕としての官僚の責任も問えるよう、過程の情報が開示されるよう、そのために保存管理されるよう、そのためにまず作成されるように制度設計をしなければ。

それが抑止力となって、的確な情報、的確な判断がやがて行われるようになるはず。これすらも理想論でしかないが、今提出されている公文書管理法案は、その理想論すら語れない惨めな制度設計になっている。

まさのあつこ

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