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2009年6月11日 (木)

公文書管理法 修正案、主なポイントと課題

昨年から丸1年間追ってきた公文書管理法案。学会なる場所、ジャーナリストとして、一国民として、メディアワーク(メディアへの情報提供)も含めて、やれることは皆やった。とりいそぎここでは一ブロガーとして、昨日、衆議院内閣委員会を通った与野党共同の修正案の主なポイントと残された大きな課題を整理しておく。

○目的の主語に国民が加わった。(第一条)
一方的な政府の説明責務に、国民からの利用が加わった
「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源とし
て、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」

まさの感想
これは大きい。行政法の目的の「主語」に初めて?
「主権者である国民が」を主語に持つ行政法が誕生したのではないか?
これはちょっと内閣法制局に取材したいなぁ。

○作成すべき文書の範囲が拡大し、例示された(第4条)
「行政機関の職員は、この法律の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならないものとすること。
1 法令の制定又は改廃及びその経緯
2 1のほか、閣議、関係行攻機関の長で構成される会議又は省議の決定又は了
解及びその経緯
3 複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対し
て示す基準の設定及びその経緯
4 個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
5 職員の人事に関する事項

まさの感想
例示は例示として「その他」がついた上で、政府案では「意思決定」と「実績」だったのが
「意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」と入ったのは大きい。

しかし「処理に係る事案が軽微なものである場合を除き」は余計。衆議院の審議の中でも、民主党逢坂議員、社民党重野議員、参考人福井秀夫教授から問題にされていた。

他にも運用段階で大きな意味を持つ修正が多くなされたが、一方の残された最大の課題は、

○文書廃棄の判断は依然として行政に残ってしまった。歯止めの仕組みは盛り込まれたが(第8条)

行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならないものとすること。この場合において、内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は、当該行政文書ファイル等について、新たに保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。/内閣総理大臣は、行政文書ブァイル等について特に保存の必要があると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等について、廃棄の措置をとらないように求めることができるものとすること。

まさの感想
政府案では「行政機関の長」が国立公文書館への移管か廃棄かを判断することになっていたのに比べると、「内閣総理大臣」の同意が必要になり、「内閣総理大臣」から廃棄しないよう求める権限も備わった。しかし所詮、行政。例えば行政から独立した国立公文書館・記録管理院の長官の承認なしには捨てられない米国と比べると劣る。審議の中、および附帯決議で、修正案提出者、また民主党の西村議員から、将来を見越した理想像は提示はされた。

上川初代大臣いわく「立法府の意思」として修正案は提出されたが、政府答弁は、あいかわらず「政令で定める」「公文書管理委員会へ諮問する」を連発。

参議院で、行政が死守したがる傾向にある行政の恣意が利く幅に縛りをかける審議が、さらにどこまで行われるかが一つの見どころです。

まさのあつこ

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