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2009年7月16日 (木)

自民党へのメッセージ

国会はもう閉幕も同然。
トッピングが誰であろうと、そんなことは選挙後でいいから、
都議選の敗戦処理も内部で勝手にやってくれればいいから、
自民党は今のうちに、国民に向けて、総括をすべきではないか。

●結局、郵政の民営化で何を実現しようとしたのか?
●何が実現できたのか、できなかったのか?
 本来、第二の国家予算と言われる財投の透明化が
 郵政改革の本丸であるべきだったが

徹頭徹尾、彼らがやったことはそれ以外のことでしかなかった。
 では何を成し遂げたのか?
◎その副産物として
 小泉チルドレンを生み、3分の2以上の議決で
 何本もの法案を乱暴に仕上げたことに道理はあったのか?

●結局、道路公団の民営化で何を実現しようとしたのか?
●何が実現できたのか、できなかったのか?
 40兆円の赤字を切り離して、健全経営させる建前だったが、

 考え得る限り、道路公団の民営化は、
 自民党による「私物化」でしかなかった
 民営化したはずの高速道路を、
 選挙目当てで、勝手に1000円にした。
 40兆円の赤字はいくら減ったのか?
 通常料金-1000円の差額は誰に払わせるのだ?将来世代か?

●結局、道路行政改革もウソだった。
 採算が取れない道路は作らないはずが
 なんでもかんでも復活させて、その借金誰が払うのか?誰が維持管理するか?

●プライマリーバランス、年金、医療・・・・・・

このリストは、延々続く。
小泉、安倍、福田、麻生とグルっと回る間に、
 結局、アナタたちのやりたかったことは何だったのか、
 何を成し遂げたのか?
その総括をしてからにして欲しい。
特にこの1年、「選挙をやりたくない」というメッセージ以外
ほとんど何も、伝わってこなかった。

●もちろん、ダム事業もそうだ。
たとえば、拙文「自民党は失われた半世紀にどう報いる」
(週刊金曜日08年12月12日)ではこう書いた。
~~~~~~~~~
責任政党と自負するのであれば、自民党は今のうちにツケを清算し、2015年までに使う予定だった八ツ場ダム予算を地域再生に振り向けて、予定地住民の失われた半世紀に報いるべきではないか。
~~~~~~~~~

それにしても、次の政権与党にしたって、
ハチャメチャな敗戦処理から始まることになる
(現政権が、あと40日だかで「立つ鳥跡を濁さず」状態にして
 去っていくとはとても思えない。
 迷惑な置きみやげ(バラマキの経済対策とか・・・自治体議員からは
 「『そんなお金恐くて使えない』という予算まで来ていて
 モラルハザードが起きている」と聞いている)が、
 そこここに置いてあるのを掃除するところからはじまるわけで)

明らかに誰の目から見ても「選挙対策」と分かる「バラマキ経済対策」までやって
(そんなものの恩恵にあずかれる人はごく一部だと気づいた既得権を持たない人々が浮動票となって選挙権を行使するのだと、気づかないのか?)、
そこまでやらせておいて、その後いまさら、都議選の責任とか、アソー降ろしとか・・・

だから、そんなことするヒマがあるなら、
あと40日で、最低限、郵政と道路・・・、きちんと総括してから城を出ていくべきだ。

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2009年7月13日 (月)

やんばダム推進議連会長の都議も落選

「八ッ場ダム推進議連1都5県の会」会長まで落選、と聞いて、

東京都の選挙管理委員会のページで見ると
http://219.109.9.35/togisen/h21gik_kai.html

●葛飾区選挙区
公明 38460
民主 37084
民主 33782
自民 26301 ↑当選
ーーーーーーー
自民 24317 ↓落選(八ッ場ダム推進議連1都5県の会・会長)
共産 23574

あともう一人の自民党都議も、
あと2728票で共産党に負けていたほどの勢い。
一票は重いって本当だなぁ。

葛飾区の人々が、この候補が遠く離れた群馬県の八ツ場ダムを推進する会の会長だったと知っていたのかどうかは分からないが、そうだったのだと、今、知って欲しい。

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2009年7月 8日 (水)

何事も最初は見真似(思い切り地点)

この辺の続きです。

次の政権与党が「よりよい自然・生活環境を次世代へ引き継いでいく」と
決意と意図を示したとする。
(どこの政党も抽象的にはこんなこと言っているとは思うが
実効ある法制定・法改正が伴うとして)

次に必要なのは、
「気候変動の経済学」や「生物多様性の経済学」や「成長なき繁栄」から学び、
「ダム日記2」的に言えばこういうことだ。

次世代型、ダムに替わる新しい産業を目指す
水:
電気:
治水:

大規模ダムにかわる技術はもうそこにある。
そして、何よりも、そうした技術にさえ頼りすぎることなく
実現可能で、より経済的に便益の高いローテクな
温故知新の知恵や工夫もあったが活かされずに来た。

たとえば、水。
東京でも、千葉でも、地下水が豊富な自治体まで
わざわざ、まずい八ツ場ダムに参加することは、明らかに不経済だ。
高名な経済学者に依頼しなくても、小学生だって話せばわかる。

実際に山形県の月山(がっさん)ダム周辺では、ダム事業に参加した結果、
オイシイ水が放棄され、地域の水道料金が上がった。

彼らが行うべきだったのは、
味的にも経済的にもオイシイ地下水を守るために
何が必要かに思いを巡らすだけのことだった。

そのかわりに、彼らがやってしまったのは
一部の土木建設業者だけが経済的に持続可能な利益を享受させ、
彼ら自身が、未来に向けたより将来性のある産業に転換する機会と勇気を奪った。
気づきを遅らせた。
「変わらなくてもまだ大丈夫」という間違ったメッセージを送り、
自分の首と次世代の首を同時に絞めさせてしまった。
この教訓を、たとえば東京と千葉では、繰り返そうとしている。

決意を示して、経済・産業構造の転換を迫り
 政治的な決断に続けと
 「転換」を今の産業界に迫ることによって
時代の変化にまだ気づこうとせず、
「自分の世代はまだ大丈夫」
「今さら変わることができない」と思っている旧態依然の思考を
未来へ向けさせることが求められていると思う。

今、謳われている「地方分権」で心配なのは
 旧態依然の経済・産業構造を、
 地方の思うままの予算配分で牛耳りたいという思考が
 見え隠れすることだ。

次の政権与党を担おうとする人々、
また、「地方分権」を叫ぶ人々は、
最低でも、「気候変動の経済学」「生物多様性の経済学」
「成長なき繁栄」を書かせた「政治家の決意と意図」に触れ、
ターニングポイント「思い切り地点」の作り出し方を
中身と共に真似て欲しい。

まさのあつこ

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2009年7月 7日 (火)

知事の顔入り「愛知県広報」と設楽ダム

ダム事業に対しては、今、どこも世論の逆風が吹き荒れているが、
これに対して事業者からの反撃も激しい。

7月5日(日)、全国紙の愛知県版を開くと、
愛知県がド~ンと半ページを費やして国土交通省が進める「設楽ダム」
の宣伝を広報していたそうだ。

「すぐ涸れ、すぐ溢れる東三河流域の問題を解消するために、
ずっと必要とされてきたダムがあります。」って。
平成32年完成を目指してと・・・。(愛知県の広報紙No.936)

見つけました(7.8加筆)↓

http://www.pref.aichi.jp/koho/paper/pdf/kohoshi936.pdf

一方・・・

●Actio2009年8月号は
http://www.actio.gr.jp/2009/07/01155056.html
特集「ダムに負けない村」(八ッ場ダム・渡辺洋子/設楽ダム・市野和夫/川辺川ダム・土森武友/元国交省職員・宮本博司)だそうだし、

「設楽ダムの建設中止を求める会」のサイトを見たら、なんと「ネコギギのうた」ができていて、ダウンロードできるようになっていて、聞いてみたらなんとも可愛らしい歌だし。(ネコギギはヒゲの生えた魚で天然記念物なのだ)

●新しいリーフレットもできていて
http://no-dam.net/leaflet_uso_shitara_dam_light_090316.pdf
「1 水道用水需要が1.3 倍にも増える?」わけないじゃん。
「2 工業用水需要は2.3 倍にも増える?」わけないじゃん
「3 農業用水が不足する?」わけないじゃん・・・
と、このダムの不要性がすぐに分かるようになっている。

●これからの時代に、県民負担を増やすだけのダムが必要だという一方的な情報を、広報の左肩に自らの顔を載せて脳天気に流すことより(まるで国交省の下請けみたいだ)、知事は本当に必要なダムかどうか、慎重に議論できる場を作ることが先決ではないか。他県民でさえそう思う。

●「設楽ダムの建設中止を求める会」の代表、市野和夫さんが、今回の全国紙の愛知県版に推進広報を打ったことに対し、次のように考えるのもさもありなんです。転載許可をいただいたので、張り付けます。

===「設楽ダムの建設中止を求める会」の代表、市野和夫さん曰く===

こんな広報を載せる、マスコミ各社も問題ではないかとおもいます。
設楽ダムに関しては県民の意見は大きく割れています。
お上の意見広告によって、一方的な情報を垂れ流す・・・広報費用について
違法な公金の支出として、住民監査請求する方向で検討してみます。

反論の主な内容

1)豊川は、不連続堤・遊水地が生きている川であること・・・堤防の不連続部分から溢れることによって破壊的な水害を防いでいること、それによって、ほとんど水害は発生していないこと、道路の冠水などは道路を盛り土してかさ上げすればすむことである、(細かいことでは、愛知県は遊水地への溢水がおきることを洪水と呼んでいるようであるが、このことは豊川の正常な営みであって、水害には直結しない)

2)豊川総合用水事業が完成し、完全運用されるようになった平成15年度以降の6年度のうち、17年度を除いて節水はゼロであり、平成17年は観測史上最少雨量を記録した例外的な年であったこと、さらにこの年も断水などの被害はゼロであったこと、需要を大幅に上回る水供給施設が完成していること、

3)環境と調和するダムなど真っ赤なうそであること・・・「寒狭川頭首工・導水路建設と併せて国土交通省が実施した流況改善事業によって、寒狭川の下流は、アユも住めない川になってしまった」こと、愛知県内に最後に残された自然豊かな寒狭川上流部が設楽ダムによって、酷い環境破壊を受けることは明らかであること、三河湾まで影響は及ぶ可能性が高いこと
==============
転載終わり。

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2009年7月 5日 (日)

屁の突っ張り完成

ここここで、2006年という古いレビューの読み方をこうだ!と嬉しげにかいてしまったが、その後も、英国では「持続可能開発委員会」という独立した助言機関が、今度は、「持続可能な開発」を政府の中心政策として、「the Prime Minister, the First Ministers of Scotland and Wales and the First Minister and Deputy First Minister of Northern Ireland」への報告として、2009年3月に「Prosperity without Growth?(成長なき繁栄)」http://www.sd-commission.org.uk/pages/redefining-prosperity.html を出している。

一方、ドイツでは、生物多様性ではわが国がイニシアティブを!という戦略なのか(聞いてみたいものだが)、ドイツ環境大臣とECの環境総局環境担当委員の依頼により、、「生態系と生物多様性の経済学」
http://www.sumitomotrust.co.jp/csr/innovation/biology/pdf/STB_TEEB_081202.pdf
が2008年5月に出されている。

実は、この二つのレポートの存在を教えてもらって「生態系と生物多様性の経済学」を読み始め、どうもそれにインスピレーションを与えたらしい「スターン・レビュー」が気になって、改めて「どんなレビューだったけ」と読んだわけです。

それもこれも、モトはと言えば、いくつもの背景があって、書いていると晩ご飯が作れなくなるので、ひとつの筋だけに止めておく。

「サンルダム(北海道)にはカワシンジュガイが、川上ダム(三重県)にはオオサンショウウオが、川辺川ダム(熊本県)にはツヅラセメクラチビゴミムシといった絶滅危惧種等が存在するが、これらを真正面から保護できる法律がない」と『環境自治体白書2009』にhttp://www.colgei.org/hakusho/2009/index.htm書いた。

その原因を考え続けた。環境問題に関していえば、すべての疑問は最終的にここに到達するというところまできた。それは、結局のところ、環境保全を優先しなければならないという決意を、政権与党が今のいままでやってきていないからだと、いうところに到った。

環境保全を優先すべき時代であるという決意をした上で、あらゆる価値観や背景を持つ人が参加して最終的な決定を行うことができるフェアな制度がいまだにない。

それは何故か。それは、フェアな制度ができることが、本来はそれを先導しなければならない立場の既得権益(それが司法、立法、行政、報道、学問の世界のすべてに存在した)を握る人々によって、不作為でもしくは意図的に阻止されてきたからではないか。

1995年以来、これらすべての世界と接点を持ち~すべての世界と接点をもったり中に入り込んだりすることは決して計画的なものでも意図的なものではなかったが~、最終的には、複数の取材の重なりの末に、行政の一角である「検察」なる存在の姿も若干その片隅が見えてきたところで、なんだか、日本という国の「入れ物」が身をもってわかったような、スッキリした気持ちになっている。

ルービックキューブの形が立方体だ、と分かった程度。
屁の突っ張り程度。

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192人都議選候補の八ツ場ダムアンケート結果

7月12日の都議会選挙の候補者192人に向けて
「八ツ場ダムをストップさせる東京の会」がアンケート調査を実施した結果が
ここに掲載されています。
●都議選立候補予定者アンケート結果ダウンロード 
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo/togisen.pdf
http://www.yamba.jpn.org/ ↑
・八ツ場ダム建設事業への関心度、賛否、その理由、
・東京都が正規水源とは認めていない「地下水」の問題
(八ツ場ダムに参加すると、おいしい地下水を放棄してまずいダムの水を取水することになる)
・ 八ツ場ダム中止の場合の、地元再建のあり方

などについて回答者、無回答者、全議員について載っています。

●「八ツ場あしたの会」は政党と無所属向けにアンケートをやっています。
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-eb2b.html

両者とも、こうしたエネルギーはどこから来るのか。

「わたしの人生は わたしの書こうとした詩
 わたしは それを生きることも 口にすることもできなかった」と

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー.は言ったそうですが、
彼は結局、書いたのだろうし、人々の強い思いというのは、
いつかは現実となっていくような気がする。

ときに報われない努力もあるが
形を変えてでも、その努力は必ずなんらかの形で実を結ぶ。

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外交ってこうやるんだなぁ

この続きです。
今更ながらスターン・レビューを読んでいくと、次の政権与党に学んで欲しいところはもっとある。

結局、スターン・レビューがいわんとしているとこは、EU ETS(EU 排出量取引)という世界最大の炭素市場の第3期(2013年~2017年)を視野に入れて、「EU ETSを将来の国際炭素市場の中心に据えるため、長期ビジョンを明確に描く」好機である、というものでもある。「投資家に対するより大きな予測可能性を保障する」ためのものとしてこのレビューがある。

この枠組みの中で、日本がどう扱われているかと見ていくと、「EU ETSを、最近現れてきた排出両取引(米国や日本における)と結びつけられるようにし、発展途上国における排出削減量も利用できる仕組みを維持・発展させることは、市場の流動性を高め、世界炭素市場の中核を作るのに役立つ」

つまり、米国・日本を取り込んで、炭素市場をEUがリードしていこうというメッセージを、どのEU諸国よりも早くイギリスが発することで、世界のみならず、EUの中でもリーダーとなろうという外交戦略でもあるんですね、きっと。

「スターン・レビュー」というニュートラルな研究者の名前を全面に出しているが、本当は政治的なメッセージ。国内外の政治シーンをリードする強力な力を持つことを狙った。いや、温暖化対策で有利になろう(世界をリードしよう)というイギリス産業界に対するメッセージ(産業界よ、次の時代を準備せよと発したメッセージ)でもあったのか。

時代に乗り遅れまいとする産業界は、このレビューをつぶさに見て、その判断についていくかどうするかを、独自に判断すればいいわけでもあるし、このレビューがいい加減だと思えばついていかない選択肢もある。

政策判断の根拠が全然わからないわが国の現・政権与党とは全然違う。

2006年10月に出た「スターン・レビュー」のこんな読み方に今ごろになって気づいたワタシもナニですが、ぜひ、次の政権与党や、そのための1票を持っている皆々様には、こんな読み方もあるってことを知って欲しい。

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政権与党と博士の関係(英国)

飯田哲也さんからの情報を辿り、2006年10月に出された「スターン・レビュー」http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=9176&hou_id=8046 と呼ばれている報告書「The Economy of Climate Change」を読んだ。「気候変動の経済学」と訳されている。日本での取り上げられ方を見ると、この報告書の内容に目が行っている。

確かにその中身は気候変動問題に取り組む人々にとって追い風になっている。
たとえば、抜粋すると次のようなもの
・気候変動に対する強固かつ早期の対策を行うことによる便益は、そのコストを上回る。
・気候変動の影響は均一に起こるものはなく、最貧国とその国に暮らす人々が、いち早くまたより大きな影響を受ける。そして、被害が顕在化してしまった時には、すでにそのプロセスを止めるには遅すぎるのである。しかがって、我々はかなり先を見据えて対策を実施しなければならない。
・資源コストの予測値は、CO2換算550ppmでの安定化に向かう排出削減にかかる2050年までの年間のコストの上限値が、GDPの1%であろうということを示唆している。
・低炭素経済への転換は競争力という点からは大きな挑戦ではあるが、一方で経済成長への好機でもある。

つまり、温暖化対策はコストがかかるけれど早く取り組めば、その投資をしただけの便益は返ってきますよ、ビジネスチャンスにだってなりますよ・・・などなど。よく読むと、温暖化に取り組む人々への応援歌というよりむしろ、産業界から温暖化対策へのネガティブキャンペーンに対する説得材料に読める。

しかし、ふと気づいた。迷走し続けている日本が学ぶべきところは、単にこの報告書の中身ではない。注目すべきところは、この報告書がどのように産出されたかだ。

報告書そのものと一緒に
●スターンレビューのシンポジウム
http://www.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=373
も読むと、このニコラス・スターン博士がレビューを始めたのは、2005年7月に英国で開催されたグレンイーグルスサミットの後に、当時財務大臣だったゴードン・ブラウンから依頼を受けたからだったことが分かる。
報告書に戻ってみると、たしかにブラウンの依頼の内容として、次の3点が挙げられている。
1)中長期的視点、行動を起こす際の時間軸の影響、政策および制度の選択に焦点を置き、低炭素世界経済へと移行する経済学
2)様々な気候変動適応策に対する多様なアプローチのポテンシャル(可能性)
3)既存の気候変動に対する目標における、英国への明確な教訓

ブラウンの指令は、2006年秋までに、首相(当時はトニー・ブレア)と財務大臣にレビューの結果を報告するようにというもの。

●つまり、政権与党が気候変動問題に立ち向かうという「決意と意図」が先にある。その上で、その決意と意図にもっとも近い知見と価値観を持つ科学者を選び、上記3点の依頼を行ったと考えるべきではないだろうか。

英国が進むべき方向性(=国民全体を説得する必要がある方向性)を裏付ける根拠として、このような報告書が欲しいと考えた。

日本とはベクトルが違う。官僚が「審議会」に専門家を並べて、諮問から答申までシナリオを書き、政治家をてのひらにコロコロ載せてうごかす(前コマで書いた国土交通政務官と河川局長次官はその一種ですね)のとは違う。

面白いのは、こうして、決意と意図を見せ、英国国内だけでなく、国際社会にインパクトを与えた「スターン・レビュー」を依頼した本人が、次の首相になったこと。

そのブラウン政権は、閣僚の経費スキャンダルで揺れてはいるが、国民が誇れる実績を何もあげていない首相が3人も解散もできないまま敵失だけを待っているどこかの政権とは全然違うと思う。

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オオサンショウウオその後

こちらでも何度か書いてきた水資源機構の川上ダム(三重県)のオオサンショウウオのその後です。

扇千景さんが国土交通大臣の時、「着手済みのダム以外は、新規の開発事業は行いません」(衆議院特殊法人等改革に関する特別委員会2002年11月14日)と宣言をしたので、いわば、水資源機構は、着工してあったダムを、これ幸いと惰性で進めているというのが本当のところだ。

●こんな姿を露呈しながらですね。
 水資源機構 天下り2社、参加の入札9割受注
 http://www.asahi.com/national/update/0704/TKY200907030615.html

あの時、本来であれば、政治決断によって、「着工したものを含め、水余りに鑑みて、水利権を整理統合することのよりすべて中止する」と言ってもよかったところだ。そうすれば、今ごろ、現地は、世界に冠たるオオサンショウウオ研究(なんせシーボルトによって初めて世界に認知されたのは日本のオオサンショウオだったそうだ)の場になっていたのかもしれない。

5月30日に、「Foreverオオサンショウウオ」シンポジウムにいったとき、主催者から「水資源機構も呼んだのに断られた」と聞いた。
断りの理由は、なんでも川上ダムに批判的なシンポジウムになりそうだからとかなんとか。
だったら余計に必要性を訴えに来ればいいのに。
ケツの穴が小さい、と思った。

それで今日になって、自分たちが主催者として、こんなことをやっている。

●川上ダム建設事業における環境保全報告会
(1)川上ダム建設事業における環境保全の取組について
(2)講演「川上ダム予定地周辺の環境について
~オオサンショウウオを中心として」
講師:京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授 松井正文 氏
日時:7月5日(日)13:30~16:00
場所:青山ホール(伊賀市阿保1411-1 TEL0595-52-1109)
問い合わせ:(独)水資源機構 川上ダム建設所 TEL0595-52-1661

●6月16日には、参議院環境委員会で問題提起されている。以下、議事録から抜粋。議事録では答弁者の肩書きがよく分からないので、議事情報から加えさせてもらう。

参議院環境委員会 平成21年06月16日

○川田龍平君 
・・・・次に、ちょっとオオサンショウウオについて質問させていただきます。(資料提示)実はこういうパネルで、オオサンショウウオのこれが写真ですけれども、このオオサンショウウオが実は千匹近く生息していると言われている川上ダムというのが、三重県に建設を予定されているところの、こういう非常に護岸もコンクリートで埋め立てられていなくてまだ自然のままの川が残っている状態で、ここに、こういった状況のところにオオサンショウウオが多数生息しているということなんですけれども、このオオサンショウウオが、これは国の天然記念物、また特別天然記念物というものに指定されていますが、この特別天然記念物というのはどのような意味を持ちますでしょうか。

○文化庁文化財部長 高杉重夫君 文化財保護法におきまして、我が国にとって学術的価値の高い動物等を天然記念物として指定しております。その中でも特に重要なものについて特別天然記念物に指定することができるということになっておりまして、このオオサンショウウオにつきましては、日本固有の動物でございまして、全長が一メートル以上に成長をする、現存する世界で最大級の両生類であるということから、学術上貴重で特に価値が高いということで、文化財保護法に基づきまして昭和二十七年に特別記念物に指定をしているものでございます。

○川田龍平君 ありがとうございます。そして、これは国の宝として私は保護すべきと考えますが、環境庁が絶滅危惧種Ⅱ類に指定して、また三重県伊賀市でもレッドデータブックで指定をしています。このオオサンショウウオの生息を脅かしている主な要因としては何がありますでしょうか、環境省、お願いします。

○環境省 自然環境局長 黒田大三郎君 オオサンショウウオでございますが、かつては食用として捕獲をされていたということもございます。また、ダムあるいは堰の建設それから護岸などの河川工事、さらには土砂崩れなどの災害などによって生息環境が影響を受けてきたと、このように承知しています。

○川田龍平君 ありがとうございます。実は、先ほどのダムの建設によってこういった生息環境が破壊されたことによってやっぱり生きにくくなっているというオオサンショウウオの多数生息している川上ダムの問題で、実は奈良県と兵庫県の西宮市がこのダムの利水を予定していたんですけれども、今は撤退をしていて、実はこの川上ダムによる利水を今求めているのは三重県の伊賀市だけであります。
 それなら、水が余っている大阪府であるとか大阪市が同じ三重県の青蓮寺ダムというところに持っている利水権を譲ってもらえれば実は事足りるわけですけれども、これは国土交通省の方で流域委員会も言っています。この流域委員会は、昨年二月に宮本博司前流域委員長が伊賀市と大阪市に出向いてこの提案をしていますが、実は、元の国土交通省の官僚の方が出向いてやってきたことが今の現職の官僚ではできないというところには実は所管の壁がこの省庁の中にあるからだと思うんですが、その壁を越えることができるのがやっぱり政務官のお仕事だと思うんですが、国土交通政務官、実はこの水利権の転用について、伊賀市と大阪市、大阪府が協議を行うように是非英断を振るっていただけないかと考えますが、いかがですか。

○国土交通大臣政務官 谷口和史君 今御指摘のありました件でありますけれども、まず一般論として、ダム等のこの水源施設というのは、それぞれの利水者が費用負担をして確保したということで、そういう利水者の財産でありますので、水源の保有については、将来の需要量とかそれから利水の安全度を見極めて、まずは利水者が決めるべき、検討すべきだというふうに考えております。
 そういう中で、御指摘のありました淀川水系の青蓮寺ダムに関してでありますけれども、今お話ありましたように、大阪市は引き続き保有をしたいということでありますので、前段で申し上げましたように、まずは利水者が検討すべきでありますので、ここは今のところは水利権の譲渡の協議の場を考える、設けるということは今考えておりません。
 ただ、国交省としては、この利水者の水の需要等について適切な機会をとらまえて、適宜見直しを検討して、そして精査をして、そして適切に水利権の許可を行うなど、適切にしっかりと河川行政を行ってまいりたいというふうに思っております。
~~~~~~~~~~~~
以下、勝手に省略(続きが読みたい方はこちらからhttp://kokkai.ndl.go.jp/)。
なぜなら、水利権の転用について質問されているのに、国土交通省の河川局次長が、オオサンショウウオの保全対策を実施しますと答えたから。

「この利水者の水の需要等について適切な機会をとらまえて、適宜見直し」と答えた政治家を抑え込んで(情けないことだ)、オオサンショウウオの問題にすり替えた。

淀川流域委員会による水利権の転用の提案は、大阪市と伊賀市がWinWinとなる提案だった。その考えを支持しないのは、国交省と水資源機構にとっては「負け」になるからだとしか思えない。本当の「価値」は納税者からの支持のハズなのだが。彼らは視野狭窄に陥り、あるべき未来像から目をそらしている。

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2009年7月 1日 (水)

八ツ場ダム行政訴訟と裁判員制度

6月30日、茨城の水戸地方裁判所での八ツ場ダム判決も住民敗訴。
八ッ場ダム訴訟 群馬も住民敗訴2009年6月26日東京新聞夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009062602000219.html?ref=rank
改めて「行政訴訟への国民参加」が必要だな、と実感。

そこで、5月21日から始まっている裁判員制度を改めて調べてみることにした。
http://www.saibanin.courts.go.jp/
根拠法は・・・と調べて、ビックリ。

●まず「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」という法律名でビックリ。
迂闊だった。そもそも「刑事裁判」限定の制度か!と初めて気づいた。

●対象事件を見てビックリ。
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/01.pdf
原則
①死刑又は無期の懲役・禁錮にあたる罪に係る事件
②法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係わるもの
とある。
この書き方・・・最初から有罪が決まっているようにしか読めない。
法律にもそのままそう書いてある。
裁判制度を誤解させないだろうか。

「日本は起訴されると99.9%が有罪になるんでしょ?」と先日海外の方に聞かれ、
日本の裁判制度の異常さが国際社会にとどろいていることを知ったわけだが
そもそも裁判とは、犯してもいない罪で人が裁かれるようなことがないようという軸足が重要ではないのだろうか。犯してもいない罪で17年も自由を奪われた菅谷さんの足利事件は裁判所にこの上ない教訓を与えたと思うのだが。

●法律そのものを1条から読んでビックリ。
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/02.pdf
その目的に「公正な裁判」という言葉が一つもない。
そもそも「趣旨」としか書かれていない。

「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ」(第一条)とある。原告や被告のための公正な裁判のためにあるのではなく、「司法に対する国民の理解の増進」と「信頼の向上」にある。

これ問題じゃないだろうか?いかなる裁判もそれに関する制度も、原告(被害者)と被告のための「公正な裁判」にあるべきじゃないの?国民の参加なんて、一手段に過ぎない。決めつけを排除して何が真実かを見つけだすのが裁判では?

これでは司法に対する「理解の増進」も「信頼の向上」は無理では?

たとえば、「誰が見ても水が明らかに余っている。将来はもっと余る」のに茨城県の主張を「著しく不合理とは言えない」と認めてしまうような判決を行政訴訟で出し、「誰が考えても冤罪でしょ」と分かったはずの足利事件の有罪判決を何年も放置し、その体質を顧みることもなく?「死刑にあたる罪」と決めつけた書き方で臨む刑事裁判のあり方に参加しろというのは、司法に対する「誤解の増進」につながらないだろうか。

というわけで、「行政訴訟への国民参加」以前の問題に愕然とした。何か問題解決をしようと思うと、問題解決のはるか遙か手前に別の問題がはだかっていて気が遠くなる。社会問題のセーフティネットがない。

誰だ、こんな国にしたのは?と思うが、通常国会終盤のこの期に及んで、閣僚を今から選挙態勢強化のために拡充するとか言っている「問題外」の首相も変(選挙のために閣僚?閣僚は選挙のため?私物化?国会審議に使わなかったトッピングを今から飾りつけ?そのアイスクリーム、もう溶けているよ)、それを垂れ流し報道しているマスコミも変。

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