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2009年7月 5日 (日)

オオサンショウウオその後

こちらでも何度か書いてきた水資源機構の川上ダム(三重県)のオオサンショウウオのその後です。

扇千景さんが国土交通大臣の時、「着手済みのダム以外は、新規の開発事業は行いません」(衆議院特殊法人等改革に関する特別委員会2002年11月14日)と宣言をしたので、いわば、水資源機構は、着工してあったダムを、これ幸いと惰性で進めているというのが本当のところだ。

●こんな姿を露呈しながらですね。
 水資源機構 天下り2社、参加の入札9割受注
 http://www.asahi.com/national/update/0704/TKY200907030615.html

あの時、本来であれば、政治決断によって、「着工したものを含め、水余りに鑑みて、水利権を整理統合することのよりすべて中止する」と言ってもよかったところだ。そうすれば、今ごろ、現地は、世界に冠たるオオサンショウウオ研究(なんせシーボルトによって初めて世界に認知されたのは日本のオオサンショウオだったそうだ)の場になっていたのかもしれない。

5月30日に、「Foreverオオサンショウウオ」シンポジウムにいったとき、主催者から「水資源機構も呼んだのに断られた」と聞いた。
断りの理由は、なんでも川上ダムに批判的なシンポジウムになりそうだからとかなんとか。
だったら余計に必要性を訴えに来ればいいのに。
ケツの穴が小さい、と思った。

それで今日になって、自分たちが主催者として、こんなことをやっている。

●川上ダム建設事業における環境保全報告会
(1)川上ダム建設事業における環境保全の取組について
(2)講演「川上ダム予定地周辺の環境について
~オオサンショウウオを中心として」
講師:京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授 松井正文 氏
日時:7月5日(日)13:30~16:00
場所:青山ホール(伊賀市阿保1411-1 TEL0595-52-1109)
問い合わせ:(独)水資源機構 川上ダム建設所 TEL0595-52-1661

●6月16日には、参議院環境委員会で問題提起されている。以下、議事録から抜粋。議事録では答弁者の肩書きがよく分からないので、議事情報から加えさせてもらう。

参議院環境委員会 平成21年06月16日

○川田龍平君 
・・・・次に、ちょっとオオサンショウウオについて質問させていただきます。(資料提示)実はこういうパネルで、オオサンショウウオのこれが写真ですけれども、このオオサンショウウオが実は千匹近く生息していると言われている川上ダムというのが、三重県に建設を予定されているところの、こういう非常に護岸もコンクリートで埋め立てられていなくてまだ自然のままの川が残っている状態で、ここに、こういった状況のところにオオサンショウウオが多数生息しているということなんですけれども、このオオサンショウウオが、これは国の天然記念物、また特別天然記念物というものに指定されていますが、この特別天然記念物というのはどのような意味を持ちますでしょうか。

○文化庁文化財部長 高杉重夫君 文化財保護法におきまして、我が国にとって学術的価値の高い動物等を天然記念物として指定しております。その中でも特に重要なものについて特別天然記念物に指定することができるということになっておりまして、このオオサンショウウオにつきましては、日本固有の動物でございまして、全長が一メートル以上に成長をする、現存する世界で最大級の両生類であるということから、学術上貴重で特に価値が高いということで、文化財保護法に基づきまして昭和二十七年に特別記念物に指定をしているものでございます。

○川田龍平君 ありがとうございます。そして、これは国の宝として私は保護すべきと考えますが、環境庁が絶滅危惧種Ⅱ類に指定して、また三重県伊賀市でもレッドデータブックで指定をしています。このオオサンショウウオの生息を脅かしている主な要因としては何がありますでしょうか、環境省、お願いします。

○環境省 自然環境局長 黒田大三郎君 オオサンショウウオでございますが、かつては食用として捕獲をされていたということもございます。また、ダムあるいは堰の建設それから護岸などの河川工事、さらには土砂崩れなどの災害などによって生息環境が影響を受けてきたと、このように承知しています。

○川田龍平君 ありがとうございます。実は、先ほどのダムの建設によってこういった生息環境が破壊されたことによってやっぱり生きにくくなっているというオオサンショウウオの多数生息している川上ダムの問題で、実は奈良県と兵庫県の西宮市がこのダムの利水を予定していたんですけれども、今は撤退をしていて、実はこの川上ダムによる利水を今求めているのは三重県の伊賀市だけであります。
 それなら、水が余っている大阪府であるとか大阪市が同じ三重県の青蓮寺ダムというところに持っている利水権を譲ってもらえれば実は事足りるわけですけれども、これは国土交通省の方で流域委員会も言っています。この流域委員会は、昨年二月に宮本博司前流域委員長が伊賀市と大阪市に出向いてこの提案をしていますが、実は、元の国土交通省の官僚の方が出向いてやってきたことが今の現職の官僚ではできないというところには実は所管の壁がこの省庁の中にあるからだと思うんですが、その壁を越えることができるのがやっぱり政務官のお仕事だと思うんですが、国土交通政務官、実はこの水利権の転用について、伊賀市と大阪市、大阪府が協議を行うように是非英断を振るっていただけないかと考えますが、いかがですか。

○国土交通大臣政務官 谷口和史君 今御指摘のありました件でありますけれども、まず一般論として、ダム等のこの水源施設というのは、それぞれの利水者が費用負担をして確保したということで、そういう利水者の財産でありますので、水源の保有については、将来の需要量とかそれから利水の安全度を見極めて、まずは利水者が決めるべき、検討すべきだというふうに考えております。
 そういう中で、御指摘のありました淀川水系の青蓮寺ダムに関してでありますけれども、今お話ありましたように、大阪市は引き続き保有をしたいということでありますので、前段で申し上げましたように、まずは利水者が検討すべきでありますので、ここは今のところは水利権の譲渡の協議の場を考える、設けるということは今考えておりません。
 ただ、国交省としては、この利水者の水の需要等について適切な機会をとらまえて、適宜見直しを検討して、そして精査をして、そして適切に水利権の許可を行うなど、適切にしっかりと河川行政を行ってまいりたいというふうに思っております。
~~~~~~~~~~~~
以下、勝手に省略(続きが読みたい方はこちらからhttp://kokkai.ndl.go.jp/)。
なぜなら、水利権の転用について質問されているのに、国土交通省の河川局次長が、オオサンショウウオの保全対策を実施しますと答えたから。

「この利水者の水の需要等について適切な機会をとらまえて、適宜見直し」と答えた政治家を抑え込んで(情けないことだ)、オオサンショウウオの問題にすり替えた。

淀川流域委員会による水利権の転用の提案は、大阪市と伊賀市がWinWinとなる提案だった。その考えを支持しないのは、国交省と水資源機構にとっては「負け」になるからだとしか思えない。本当の「価値」は納税者からの支持のハズなのだが。彼らは視野狭窄に陥り、あるべき未来像から目をそらしている。

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