水没予定地の生活再建
9月17日、長野原町議会の取材に行きました。
八ツ場ダム中止は、二つの大きな局面をかかえています。
ひとつは「ダム工事の中止」。ひとつは「生活再建」。
閉会後に個別取材を開始。
ある一人の議員に、生活再建について話が及んだとき
「ダム湖畔での生活再建が国の約束だった」と繰り返す町議さんに、思わず「でも、いままで散々、国に騙されてきたんじゃないんですか?」と聞いてしまった。「工期延長だって補償交渉だって、約束されてきたことを反故にされて、何度も悔しい思いをしたんじゃないんですか?」
本音を知りたいと質問を繰り返すうち、質問が反論になってしまった。申し訳なかった。
それから3~5分、「私たちの57年をどう考えるんだ」と言うのを含めて、怒りの言葉を浴び続けることになった。逆質問に答え、その答えを遮られながら、「そんな程度の言葉しか持たずに長野原に来るな~~~~」と怒鳴られた。
以前、一度だけ、八ツ場ダムのことではないけれども自民党国会議員に恫喝された経験を思い出し、「大きな声」にはたった一度で免疫ができ(本当は2回で今回は3回目だ)、心臓に毛の生えてしまった自分を申し訳なく思いながら、町議の怒りを受け止めた。
長年の抵抗の末に推進を受け入れ、諦めて気持ちを切り替えた後に、今度は政権交代によって中止。積極的推進派にせよ、諦めの末の推進派にせよ、内心の反対派にせよ、心の置き場が宙に浮いたことは間違いない。
国の方針の急変(政権交代による変化)への言葉や理屈ではない反応はもっとも。「そうですね。本当にそうですね」と胸に手をあてて気持ちを受け止めた。部屋の外にいた人が大声に気づいて近づいてきたが、助け船が要るのかいらないのか見定めるように、やりとりを黙って見ていてくれた。最後は「じゃぁまたいらっしゃい」と素に戻られた町議さんの背中を無言で一緒に見送った。
町役場の駐車場で、運転席に座ってドアを開けたまま取材メモを作っていたら、その町議さんが通り、「お疲れさまでした~」と声をかけたら、「またいらっしゃい」と再び、横顔でほほえみ、後ろ姿を見せながら手を振ってくれた。
またお邪魔します。
帰ってきて気づいた。冷静だったつもりが、写真を撮り忘れた。
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