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2009年12月27日 (日)

ダム事業の行方

一連の流れを記録しておく。

●今後の治水対策のあり方に関する有識者会議(12月3日)
http://www.mlit.go.jp/common/000052891.pdf
▲第一回配付資料
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2009e72efe45a416bd2cf6d1d7ddaf848bdcaef08ab1e.html
▲第一回議事要旨
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2009efee42f2be4389d825b03973a4284c04cb168875f/%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%9B%9E%E3%80%80%E8%AD%B0%E4%BA%8B%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf
▲今後のスケジュール
平成22年夏頃 有識者会議中間とりまとめ
  引き続き、有識者会議で討議
平成23年夏頃 有識者会議提言

●「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換に対するご協力のお願い(12月15日)
http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000212.html

▲2009年12月15日前原国交大臣会見(関係部分のみばっすい)
(答)年末の予算編成、最終段階になると思いますが、143のダム事業のうちで継続すべきものと凍結すべきものを分けさせて頂きます。
そしてこの補助ダムについて、今回手紙を出させて頂く都道府県の知事の皆さん方に対してはその検証の対象、つまり凍結をして検証の対象となるものについてはということでお願いをさせて頂くということになっています。
具体的にはそのお手紙の内容を見て頂ければありがたいと思いますけれども、ということは何を申し上げたいかというと、直轄事業にしても補助事業にしてもある線引きをして、これまでは線引きは、具体的な時に申し上げますが、143の中では継続をするものと検証の対象にするものを年末までに分ける話になります。
そうすると、継続すべきというものの中にも中には補助ダムも当然あります。
それはどうぞ続けてくださいという話になると思いますし、それに見合った予算の範囲の中での補助を国として出させて頂くことになろうかと思います。
繰り返し申し上げているのは、予算の範囲の中でやるということになりますので、まずは継続する事業に対しての国としての補助を優先的に出させて頂くということになって、所謂検証するものについて、しかしこれは自治体が主体的に決められることでありますので、検証の対象だけれども自分たちは続けたいよという自治体もあるかもしれません。
それについては予算の範囲の中で、我々としてはどう補助金を付けるかというものは今後検討させて頂きたいと、このように考えております。

●「新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方について」(12月25日) http://www.mlit.go.jp/common/000055943.pdf
143ダム計画のうち89計画が検証の対象になった。

しかし、実際についた予算を見ると、検証対象となったものは「凍結」されたとは言い難い。
▲事業実施中の国土交通省所管ダム事業一覧【直轄・水資源機構】
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h22/h22damyosan.pdf
単に人件費なのかなんなのか、膨大な予算だ。その上、たとえば関係知事からすらNOを突きつけられた「大戸川ダム」にも予算がついている。

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「ひもつき補助金」から「ひもつき交付金」?

先日、12月23日に流れてきたニュースにギョッと驚いて、慌てふためいた。道路、河川、海岸、下水道などへと配分していたいわゆる「ひもつき補助金」を公共事業に限って「一括交付金化」するという。【今後数年に渡って議論になると思われるので、誤解のないよう長いですが、最後まで読むか、最後から読んでください】

●国交省、1兆円の交付金創設へ 公共事業が対象(朝日新聞2009年12月23日)
http://www.asahi.com/business/update/1223/TKY200912220533.html 
● 地方向け交付金:1.1兆円を創設 補助金など原資に--国交相方針
(毎日新聞 2009年12月23日)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091223ddm008010013000c.html 
●国交相、新交付金の創設表明 1兆円強(日経新聞2009年12月23日)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091223AT3S2202J22122009.html 

慌てて、一部の知人に★「警戒警報」みたいなメールを送り、その後にいただいた「説明情報」をもとに、★「一応警戒解除」みたいなメールを送った。しかし・・・。

★@@@最初の「警戒警報」@@@
ビックリです。国交省への「ひもつき補助金」を公共事業専用の「交付金化」するというニュースです。民主党が2010年度予算案へ盛り込んだ要望に前原大臣が応じたと報道されており、これでは「ひもつき補助金」が「国交省ひもつき交付金」になるだけではないか?

民主党のマニフェスト(注1)とも違うし、事業仕分けで議論したこととも違う。事業仕分けで議論した「自治体に任せるべき」という判断は、「一括交付金」という意味であり、公共事業枠を確保することとは正反対。国土交通省や農水省で国による政策誘導や予算の固定化を行うのではなく、社会保障など本当に必要な分野に自治体の判断で予算を付けることができるようにという意味だった。

確かに、事業仕分けでは、種々のハコモノ事業すべてについて「自治体に任せるべき」という統一的な結論が出たわけではなく(国としての事業を「廃止」と明確にしたわけではなく)、あるものは縮小、あるものは自治体へとバラバラな判断が出ました。また「自治体に任せる」といったときの意味も「一括交付金化」と明示化したわけでもありません(本来なら評価シートにそのような選択肢があるべきでしたが、評価シートに誘導(議論が矮小化)されることなく、仕分け人側で気づいて明示すべきでした)。「自治体に任せる」というときの明確な定義づけを行わなかったことにも大きな問題があったと思います。

それらの多くの反省も踏まえた上で、これらについては今回判断が示されたような「ひもつき補助金」から「ひもつき交付金化」への変更ではなく、あらゆる分野への「一括交付金化」にすべきではないかと、一仕分け人を務めた者としても一国民としても、改めて問いかけたいと思います。

そうでなければ単なる「ハコモノ事業一括ひもつき交付金」となってしまいます。それが国交省用と農水省に確保されたのでは意味がありません。

さらに言えば、これではこれまでの行革のデジャブです。縦割りを排するために公共事業関係の審議会を「社会資本整備審議会」とひとつにまとめても「分科会」やその下の「小委員会」で細分化され以前と変わっていません。

また、事業ごとの特別会計も、「社会資本整備特別会計」の名で一つにまとめただけでその傘の下に「勘定」と名を変えてすべてが温存されている。

今度も「社会資本整備交付金」とでも呼ぶつもりでしょうか?それでは全く意味がありません。その傘の下に見えないミシン目で枠を設けてしまうことになるでしょう。

官僚の悪知恵に、新政権までが騙されてしまうのか、とガッカリです。前政権では「官僚の抵抗」で済まされていたことも、新政権に対しては「ブルータスよお前もか」という「政治不信」に直結するのではないかと思います。自らも広く発信していかなければならないところですが、とりいそぎ、皆様にこの状況と感想を共有させていただきたくメールしました。

(注1)民主党マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/txt/manifesto2009.txt 
○新たに設立する「行政刷新会議(仮称)」で全ての事務事業を整理し、基礎的自治体が対応可能な事務事業の権限と財源を大幅に移譲する。
○国と地方の協議の場を法律に基づいて設置する。
○国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
○「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する

@@@以上、最初の「警戒警報」メール@@@

★@@@2通目に送った「一応警戒解除」メール@@@

お騒がせします。その後、この懸念に対して連絡をくれた政府側の議員がいました。要点をかいつまめば、

・いずれすべてまとめて「一括交付金」にするが、この短期間ですぐにはできない。
・22年度予算ではまだ変えないつもりだったが、各省でまとめるなら一歩前進で、ご懸念にはあたらない。(党からの要請におそらく各省で対応できる形で対応した形だが、方向性は間違ってない、途上であるというニュアンス)
・継続中のものもあり、一気に変えれば地方からの反発もあるので、制度設計は丁寧に(段階的に)やっていきたい。

ということでした。(少なくともそのように理解をしました)
しかし、この間の「民主党」の動きは、「選挙モード」に見えてしまうものが少なくなく(何事も一朝一夕には変わらない。選挙モードも宿命なのでしょうが、声なき国民の期待とはズレて見えます)、党内・政府内で慎重に行う場合、なぜ慎重に丁寧に行っているのかの説明がなければ、民意はあっと言う間に離れていってしまうと考えておくべきではないでしょうか、と、また関係者には送らせていただくことにしました。
@@@以上@@@

さて、その2日後の12月25日、予算案とその関連資料が公表された。
●平成22年度国土交通省関係予算のポイント
http://www.mlit.go.jp/common/000055941.pdf
この17~18ページ目を見ると予想どおり、
この新たな「ひもつき交付金」の名称は「社会資本整備総合交付金」。
しかし、その額は22日に発表された1.1兆円の2倍で、2.2兆円!
道路も治水も海岸もまちづくりも下水道も住宅も港湾も問題だらけな事業で、しかも特殊法人、独法、公益法人も相まって問題だらけなまま、思考停止し、体質も変わっていない地方公共団体にハコモノの中でご自由にお使いくださいというのは、何を意味するか?一つには住民が賢くならなければならない、ということに他ならないのだが。。。

10月13日に開かれた総務省政策会議で、原口総務大臣が「地域主権とは、地域で間違った首長を選べば、その失敗の責任は地域で負うという厳しいシステム」であると語っていた。http://www.soumu.go.jp/main_content/000041056.pdf
それならば、そのシステムのセーフティネットとして、住民が監視、参加、介入できる仕組みを充実させ、住民参加、住民監査、住民訴訟、住民投票を機能できるようにしないと、国民は素手でその「厳しいシステム」と闘うことになってしまう。

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2009年12月21日 (月)

八ツ場ダムの死亡事故をどうとらえるか

>十字架の橋脚で有名になった付け替え県道湖面二号橋の工事現場で
>死亡事故があった

との知らせを週末に受けた。

●「八ッ場ダム関連工事、パイプが落下1人死亡」
2009年12月18日読売新聞社会面
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091218-OYT1T00918.htm
●「パイプの下敷きに 湖面2号橋で撤去作業中の男性死亡」
2009年12月19日毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20091219ddlk10040115000c.html

「八ツ場あしたの会」によれば八ツ場ダム関連工事での死亡事故は3件目。

一件目は、ダンプトラックによる交通事故。林地区の八ッ場ダム工事用進入路(現国道の信号「第一小」から長野原第一小学校へ通じる道)でトラック横転によるものとのこと。

二件目は、以下に情報が蓄積されている。↓
○「落盤で作業員死亡 八ッ場ダム関連工事 トンネルを掘削中
県水源地域対策事務所 事故予期できず」2007年12月19日上毛新聞
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=354
○「八ッ場ダム関連工事の落盤死亡事故 責任者2人書類送検」
2009年1月15日上毛新聞社会面
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=517

▼地質に関していえば、
八ッ場ダム住民訴訟弁護団による果敢な情報開示と現地踏査によりリスクが指摘されてきた
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/gunma/gunma_g_junbi_7.pdf 
(八ッ場ダム訴訟HP・群馬県原告準備書面・ダムサイト予定地の危険性について)
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/gunma/gunma_g_junbi_8.pdf 
(八ッ場ダム訴訟HP・群馬県原告準備書面・ダム湖予定地周辺の危険性について)

▼ 今回は強風

どれも回避できた事故ではなかったのか?

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大阪で生まれた「妊活」を松江で広める

11月8日と12月5日、大阪と松江でフニンについて話をしてきた。
大阪では「不妊治療における自己決定~納得の選択をするために~」
松江では「ありのままの不妊と一生懸命な選択」
という題で、ほぼ同じ話をした。

→配布資料「Ninkatsu.pdf」をダウンロード

前者は大阪府の財団法人、後者は松江市。普段は行政に噛みついてばかりで、公的機関で呼ばれて話をすることは、記憶にある限りなかった。「ええんかいな」と思いながら行ってきた。

心のヒダをビヨ~ンと伸ばし、他人から見れば「くだらない」と一言で片付けられるだろう瑣末な感情をたぐり寄せた。私にとっては感情の共有が立ち直りに不可欠なクスリだったから、お返しでもある。

大阪での質疑応答で「パワーポイントで『フニン』がカタカナですが、何か意図が?ひょっとして『不妊』という言葉に抵抗が?私もそうで、『就活』とか『婚活』みたいに『妊活』って言うのはどうでしょう?」と提案があったので、「いいですねぇ!では広めましょう」とお約束。

松江でさっそく「不妊治療」を「妊活(にんかつ)」、「不妊相談」を「妊活支援(にんかつしえん)」と呼んで広めましょうと言い換えてお話をさせてもらった。地元紙が「妊活」という言葉と共に報じてくれ、市からも「より良い『妊活支援』を提供していきたい」とお礼状をいただき、そのノリの良さが嬉しくて、思わずガッツポーズ!

ただ、だから『妊活しよう』ではない。『妊活しない』という選択肢もある。女性達よ、男性達よ、しっかり選択しよう!ただし、迷いに迷って妊活してもしなくても、後悔があってもいい。「どんな選択をして、どんな結果がでても、あなたはきっと大丈夫」です。

というわけで、さっそく大阪発の「妊活」という元気な言葉、
日本海側でデビューしましたよ~。(って読んでないかな?)

細切れ時間で移動中に書いたりしているので、あれやこれやテーマが飛んで、申し訳ない。
まさのあつこ

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「核のない世界」と沖縄の米軍基地

普天間・辺野古についてのマスメディアの論調が一辺倒で気になっていた(少し変わってきたが)。やっと少し時間に融通の利く身体になり、書く書かないは別として取材に回った。結局、こちらに書く。12月11日にハシゴした4件のうち、二つはこの関係。

1件目は沖縄県宜野湾市長の伊波洋一市長の話に耳を傾けに。
一連の資料は宜野湾市のこのページの下方に↓
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/37844.html 

4件目は東京アメリカンセンターで開催された「軍縮・核不拡散センター」のジョン・アイザックス専務理事の講演「オバマ政権下における核不拡散への取り組み」。

その二つを念頭に、週末にある関係MLで次のように投げかけた。ざっくばらんなメモだが書き換える手間を省いてほぼそのまま載せてしまう。

∞∞∞
1.冷戦後、米国は米軍再編を自らの意志で行い
2.オバマ大統領は「核のない世界」を描き、ノーベル賞を受賞した。
3.もともと沖縄の米軍基地は極東有事を想定している。

1と2と、大きく軍事戦略・平和戦略の変更を行ったのが米国です。
3にも変化があって当然です。

海に投げた小さな石でも波紋は広がっていきますので。
ましてや米国の「核のない世界」です。

そこで、米国関係者に聞きました。

「核のない世界は、より平和な国際社会を目指すものと理解している。
 沖縄の米軍基地は極東有事を想定していると理解をしている。
 核のない世界に伴って、
 沖縄の基地という観点から米国はどのような平和戦略を目指すべきか?」

この日は、伊波宜野湾市長による議員会館での議論があったのと同じ日の午後。
つまりオバマ大統領のノーベル賞受賞スピーチの次の日。
米国関係者というのは、アメリカンセンターが招待した核のない世界を押し進めている米シンクタンク「軍縮・核不拡散センター」のジョン・アイザックス専務理事です。

彼の答えは次のようなものでした。

「戦後、60年以上経っているが、ドイツでも基地を保有している。地理的な条件で言えば、日本と韓国、日本と中国、中国と台湾の独立の問題などがある。コンフリクトがある間は米軍が展開した方がよい状況もある。軍隊を日本に展開する必要がないときが来るのかもしれないが、今撤退するのはよくはない。急激な変化はどの政府にとってもよくないと思う。特に、在日米軍に関してはすばやく決めるものではないと思う。中国については追加的な関係も深まっている。軍事的な競争よりも経済的な競争をする方が好ましい。米軍がいる必要性が低下し、いつの日か、撤退する日が来るのかもしれない。」

これに対する私の感想ととらえ方は次のようなものです。

・ほとんどが想定内の答え。沖縄の米軍基地は「極東有事」を想定しているもの。つまり中国と台湾の関係、日本と中国、日本と韓国、このどれをとっても「有事」はもはや想定できないほど、経済的な「追加的な関係」が深まっている。クロス外交を含め平和戦略により、沖縄基地は移設どころか、廃止でよい。

・・・・その後の他者への聴き取りにより、現在8000人とされている普天間の海兵隊のほとんどが今、イラクに駐留し、実際のところ、普天間に何人いるのかは不明という一面もある(米国政府に対してこの件を私自身は未確認)。

・私は質問の中で、一度も撤退という言葉を使っていない。しかし彼はあたかも米軍撤退に関する質問が出ることを想定していたかのように、手元のペーパーを見ながら答えていた(私の誤解でなければ)。つまり、米国政府関係者はすでに日本の国内世論として、沖縄からの米軍撤退を求める声が当然出ることを想定していたと言える。

・こんな時期でもあり、テーマは核のない世界でもあり、聴衆は「外交エチケット」をわきまえた人々ばかりであり、私もあえて、普天間という言葉も辺野古という言葉も避けた。「沖縄の基地」「平和戦略」というキーワードしか使わなかった。にもかかわらず、「いつの日か、撤退する日が来るのかもしれません」という答えが返ってきた。

・「いつの日か」「撤退する」のであれば、そのいつかを始めるのは政権交代をした今しかない。「普天間の移設」という固定観念を捨て、「極東からの米軍基地縮小・再編成」という考え方を、国際社会として議論すべき時期ではないか?

・単に沖縄、単に日本ではなく、極東アジア諸国の一つとして、「米軍基地のない極東」を目指すときがきたのではないか?フィリピンだって台湾だって米軍を撤退させた。日本に残っている合理的な理由はもはやないのではないか。日常会話の中で、米軍基地について議論を始めるなら今しかない。

・オバマ大統領が打ち出した「核のない世界」とは、そうした波紋をも想定したものであるはずだ。

以上が、自分の行った質問で得た感触です。

ところで、こうした講演会には必ずといっていいほど外交通のメディアや学者や議員が来ている。実際、私の二つ前には某大手TV局記者がQ:「オバマ大統領は広島・長崎に訪れることがあるだろうか?」A:「8年の間にそういうこともあるはずだ」という私から見れば脳天気な質疑を行っていた。

また、ある議員は、トマホークの退役や、北朝鮮が核保有を視野に入れていることを考えた場合、トマホーク退役後の「核の傘」の具体的な手段は何になるのか?と「トマホークのオルタナティブ」を請うような質問をしていた。(うわぁ、恥ずかしい、と思った。)これには「日本が憂慮するのは分かるが、アメリカの核の抑止力は強い。爆撃機、潜水艦、多くの形で北朝鮮の攻撃、核の攻撃も抑止できる。なぜ心配されるのか。1945年に落とした核爆弾が米国には4000ある。日本は心配する必要はない。核の傘がなくなることはない。トマホークがなくなれば、それがあったことすらすぐに忘れるだろう」との答え。「核のない世界」との矛盾を感じながらも(まぁ実現までに相当な時間差があるだろうから)、ごもっともな答え。

この日の講演は、「核のない世界」というテーマに絞られていたので、実は、沖縄の基地についての質問は馴染まないかと思い、躊躇していた。しかし、こんな米国万歳、核抑止力万歳みたいな声が日本の国民の世論だと思われてしまうのは心外だし、オバマ大統領の「核のない世界」の足をも引っ張り兼ねない。国際平和は、まず個人の一歩からなのだ。エイヤっと手をあげて、上記の質問をしたわけですが、質問してみてよかったと思いました。

「核の傘」を質問した議員は、私の質問の途中から、何故か激しく席を立って出ていった。ひょっとして、私の質問が彼には恥ずかしかったのだろうか?謎である。

まさのあつこ

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2009年12月12日 (土)

6都県知事への反論に反論なしか?

10月19日、一都五県の知事が「八ッ場ダム建設事業に関する1都5県知事共同声明」を出した。
http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=85431
参考資料「八ツ場ダムの必要性」がついている。
http://www.pref.gunma.jp/h/12/download/yanba/sankoushiryou.pdf

これを見た「八ツ場あしたの会」など市民団体が「事実誤認がある」と反論を行っている。
詳しくはこちらに図解説明されているが
http://yamba-net.org/modules/problem/index.php?content_id=25
大雑把に解説すると次の通り。

その1:これまでの河川改修の成果はどこへ?

たとえば、知事たちは「現時点でカスリーン台風と同規模の洪水が発生した場合には利根川の至る所で堤防が決壊する可能性」があると主張し、上記資料で、カスリーン台風のときの氾濫面積が440km2だったが、今、同規模の洪水が来るとそれが530km2に拡大するとしている。「濫面積がむしろ拡大するなら、河川改修の成果がゼロどころかむしろマイナスであることを意味する」との市民の理屈に、誰が反論できるだろうか?

その2:堤防の漏水対策は、堤防の補強ではないか?

たとえば、知事たちは「漏水はそのまま放置すれば堤防決壊につながる可能性がある非常に危険な現象である」と主張する。「それでは、放置せずに堤防補強で対処すれば?」というのが市民の反論だ。

その3:水利権の制度を変えればダムは不要!

たとえば、知事たちは「完成しているダム等のみでは安定的に供給できない」という。ところが、知事たちも書くように「八ッ場ダムに参画することを条件に、毎秒10.93立方メートルの暫定水利権を既に取得し給水している」のが実際の話だ。有り体に言えば、「毎秒10.93立方メートル」を「既に取得し給水している」が、水利権の仕組み(ダム開発をしなければ新たな水利権が生まれない)で「暫定水利権」と呼んでいるだけで、水は水。実質は安定水利権と変わらず、国交省が水利権許可制度を改善すれば新たなダムは必要がない、というのが市民側の考え方だ。

その4:「取水制限」と煽るが実際は「給水圧の調整」

たとえば、知事たちは「平成に入って以降において6回もの渇水に見舞われ、渇水に見舞われ、中でも平成8年には夏冬合わせて117日もの長期の取水制限が実施されている」と渇水の危機を煽る。しかし、実際には「給水制限は給水圧の調整にとどまり、断水にはほとんど至っていない」というのが市民の主張だ。

その5:渇水対策効果は現実を無視したもの

たとえば、知事たちは(平成8年の取水制で)「仮にその時に八ッ場ダムが完成していたとすれば、取水制限日数を100日減少させることができる」というのだが、これは現実を無視しているというのが市民団体の反論。なぜなら、渇水が起きる夏は、八ツ場ダムでは洪水調整のために水位を下げる計画となっている。具体的に計算をしてみると、その量は2,500万m3で、利根川水系の11基の既設ダムの容量約4億5千万m3に対して約5%に過ぎない。「100日短縮できたという話は現実を無視した架空の計算だ」というのだ。

より緻密かつ詳細な元の資料は、八ツ場ダムをストップさせる埼玉の会のウェブサイトにも載っています↓
http://yambasaitama.web.fc2.com/pdf/2009/chiji--hanron.pdf

その後、知事たちは戦法を変え「再検証」や「代替案」を大臣に求めているが
●「国による八ッ場ダム建設事業の再検証に対する1都5県知事の緊急申し入れ」(平成21年11月13日)
●「八ツ場ダム建設事業に係る1都5県知事の緊急申し入れ」(平成21年12月2日)
 上記を含む群馬県の八ツ場ダム関連情報サイトはコチラ↓
 http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=84518

知事たちも自分たちが主張した「必要性」への反論に反論ができるのかできないのか、検証してみるべきではないのか?

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アホむき出しのプテラノドンで

やなせたかしさんの詩で「プテラノドンの希望」という詩がある。
 あんまり変わりたくない。(略)
 火をふく山の上を歯をむきだしてとんでいたい
という詩。(ぜひ現物全部を読んでください。)
やなせ氏の詩の中で最も好きな詩なのだが。

いつになっても「穴があったら入りたいし、なければ掘って入りたい」と思う後悔を繰り返せるアホでいたい。そんなわけで、最近のアホ・エピソード。

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が始まり、気づくと、司会役の官僚の後ろに私は立っていた。その官僚が「会議は非公開」であることを告げはじめたとき、迷わず、「非公開の理由を教えてください」と背後からリクエストしてみた。(内心では「カメラが壊れた。困ったな」と思いながら)

それでも平然と先を続けようとするので、「非公開の理由を教えてください」と再び背後霊的な位置からリクエスト。(内心「ICレコーダーをオンにしなければ」と慌てながら)

それでも進行。大臣が喋り、中川委員長が喋り、
「それではこれで報道の方は・・・」と追い出しにかかられたので
「大臣、公開してください」とリクエスト。
前政権からおなじみの広報課の役人が恐い顔をして私を追い出しにかかり、
前政権の非公開会議「ダム事業見直しタスクフォース」のデジャブでした。
当時、私が絡んだ相手は金子副大臣(自民党)でしたが
あんまり事態は変わっていない。(資料も実は重なっている)

仕方なく、会議終了後、政務官による記者会見にオブザーブ参加した。国交省記者クラブには、外部の記者でもオブザーブができますが質問ができない、というルールがあります。

記者を記者会見場に入れておいて質問させないという異常を続けている記者クラブというのもナニですが、それはともかく、今後改善を要請するにしてもルールはルール。守ろうとは思っていました。

しかし、会見にあたった政務官に対し、どうしても記者が質問をしなかった点をルール違反承知で最後に質問し、その答えではどうしても分からないので、会見後、追いかけていって質問しようとすると、廊下で立ちはだかる人がいました。

その人はこう宣ったんです。
「記者クラブでオブザーブの人は質問ができないルールを知っていますか?」
「あ~、はい」(私)
「知っていて破ったわけですね」
「あ~、はい」(私)
「じゃぁ、もう二度と参加できなくていいんですね」
「いやです。ルールの改善を要請しようと・・・・」(私)
ここで、相手の態度がどうも変だなと思って
ムンズとIDをつかんでみると記者じゃない。
なんと国交省広報課の役人でした。
「あなたは記者クラブの人ですらない。あなたが私の質問を止める権利はない。
私は政務官に質問があるから、中じゃ悪いから記者クラブの外に出てきたわけで」
というと
「ここだって国交省の廊下ですから」
「そうですよ。国交省の廊下です。国交省の建物は国民の財産です」(私)
というと逃げていきました。
その間、政務官はいなくなってしまった。ぶら下がり質問をブロックすることが目的であったのは明らかでした。

政務官が入ってくる前から、不自然な形で、不自然に連絡を取り合いながら、変な人々がたくさんコソコソと廊下に立っていました。政務官への質問をガードするためなんでしょうが、国交省の広報課の生態は、もはやヒドイを通りこして、エピソードとして使える笑いのネタを提供してくれていると思って楽しむしかありません。

これもあれも含めて、新政権の産みの苦しみと、学びのプロセスになっていけばと思っているのですが、そういうふうに受け取ってくれる前に、うるさい存在へとなっていくんでしょうね(元からか)。それはそれで歯むきだしのプテラノドンは気にしませんが・・・。虚しさを覚え、あとから考えると、「あ~、またやってしまった」と穴を掘りたくはなるのでした。

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非公開で議事録公開のワケ

【最初に蛇足】
公開だ非公開だというのは、治水対策をどうすべきか、という本質論からすれば空中戦に属し、このことを主張すれば主張するほど、中身の議論からは遠ざかり、官僚にとっては思うツボである。しかし、民主主義の通貨(曰くラルフ・ネーダー)として、公開されていることが、中身の正当性を最低限、担保する術である。基礎の基だ。

「非公開にして議事録を出す」官僚にとっての意味
前のコマでリンクを張らせていただいた「徳山ダム建設中止を求める会」事務局長が、議事録も出すのに「なぜ非公開か」と問うた問題に関して、一つの視点と、二つのエピソードを共有しておきたい。

根深い会議規約(案)による官僚コントロール
12月3日、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」終了後、
会議の中身の報告ということで、国交省記者クラブで政務官がブリーフィングを行い、
会議に使われた資料が配布された。↓コチラ
 第1回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議 配布資料
 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html 

ガックリきたのが会議規約(案)の第4条。「7 会議における議事録については、あらかじめ委員に確認の上、発言者氏名を除いたものを国土交通省ホームページに公開するものとする」という文言だ。http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2009e72efe45a416bd2cf6d1d7ddaf848bdcaef08ab1e/%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%8D2_%E8%A6%8F%E7%B4%84%EF%BC%88%E6%A1%88%EF%BC%89.pdf

これは、河川整備基本方針検討小委員会で、口頭で会議の最後に断っていた文句だ。たとえばコチラ

「最後に本日の議事録につきましては、内容について、各委員のご確認を得た後、発言者の氏名を除いて国土交通省大臣官房広報課及びインターネットによって一般に公開することとします」と繰り返されていた。

「それなら情報開示請求をすれば発言者氏名のついた行政文書が出るなぁ」と思って、私自身、開示請求→不存在→不服申立/裁判へと雪崩こんでいったことにつながるのだが。(このときは、請求した途端、ルールが変わった。「最初から発言者名を入れないことにした」ので「不存在」となったのだ。)

規約(案)第4条を見ると、彼らは「学習」をしたらしい。発言者名入りの議事録を開示請求してもまた「不存在」というのだろう。これは私だけが分かる暗号(河川局からのメッセージ)か?と被害者妄想したくなったぐらいだ。

ちなみに、河川整備基本方針検討小委員会の運営規則には、発言者氏名を除く云々のがんじがらめの規則はなかった。以下の通り↓
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/011127/011127-rule.html
(議事の公開)
第7条  会議又は議事録は、速やかに公開するものとする。ただし、特段の理由があるときは、会議及び議事録を非公開とすることができる。
2 前項ただし書の場合においては、その理由を明示し、議事要旨を公開するものとする。 3 前2項の規定にかかわらず、会議、議事録又は議事要旨の公開により当事者若しくは第三者の権利若しくは利益又は公共の利益を害するおそれがあるときは、会議、議事録又は議事要旨の全部又は一部を非公開とすることができる。

高橋ユリカさんも書いていたが、政務官による「非公開ということを認めていただいた」という事後報告にも驚いた。有識者に「困る」と公開を阻まれたならともかくも、最初から主催者が非公開を頼んで了承されたことを示す。規約(案)を官僚に渡され、非公開にして議事録を公開することの意味を考えてもみなかったのだろう。

「自由闊達なご議論」を確保しても議事録は改ざんされる
先述した河川整備基本方針検討小委員会での利根川水系の議論の際、当時の近藤徹委員長(元河川局長→元水資源開発公団総裁=元水資源機構理事長→現・水資源協会理事長)と布村明彦河川計画課長(後の淀川地方整備局長、今はどこに?)との間で、利根川水系で作るダムは「八ッ場ダムで最後でございます」(課長)「いよいよ、首都圏でも脱ダムですかな」(委員長)というやり取りが、実際にはあった。

ところが、後日、ホームページで議事録が公開されたとき、このやり取りは跡形もなく消えていた。改ざんの理由は分かる。なぜなら、この小委員会で議論されていた利根川水系の基本高水流量をクリアするためには、「八ツ場ダムが最後」というわけにはいかないのだ。計算上、八ツ場ダムの他にさらに何基ものダムが必要となる非現実的な数値を定めるための小委員会だった。「八ッ場ダムで最後」「首都圏でも脱ダム」という二人のやり取りは、もはや利根川水系で八ツ場ダム以降、新たなダムを作る計画がないことを示す。それは何を意味するかと言えば、利根川水系における基本高水流量が非現実的で、達成不可能であることを、二人とも(元河川局長と河川計画課長)が認めたことになる。「八ッ場ダムで最後」「首都圏でも脱ダム」って会話はそういうことなのだ。

当時、この重要な発言を取り上げたメディアがなかった。私自身は「未来世代にとって八ツ場ダムは必要か」(岩波書店「世界」2008年4月号)に記録したが、この会議はマスコミにも一般にも公開されていたから、私の他にも、この二人の発言を聞いた人は何人もいた。

自由闊達な議論があっても、議事録ではそれらが摘まれてしまう可能性がある。官僚にとっては「発言者の自由闊達」度を守るフリをして、言論統制をする力の源泉である。

この巧妙な力に新政権が抗うとしたら、すべてを原則公開にすることしかないのではないかと思うのだが。

公開されていたら廃止されていた法律もある。
ある学者が雑談の中でこんな話をしてくれたことがある。随分昔、水資源開発(ダム開発)の根拠である水資源開発基本計画(フルプラン)の根拠法「水資源開発促進法」はもう役割を終えたから廃止したらどうだ、とある審議会で語ったという。しかし、担当課長が飛んできて、「先生、この発言削除してください」というので応じてしまったという話だ。この法律がすでに用なしであることは、誰もが分かっている。勇気ある「有識者」の発言を社会は支持する力があることを信じて欲しいのだが、官僚に改ざんを要求され、主張を曲げることをヨシとしてしまう学者がいる。「御用」を続けたい有識者と「仕事を死守したい」官僚のこんな組み合わせが、社会が生まれ変わる力を削いでいる。

非公開にした上での議事録公開とは、結局、官僚によるコントロールを容易にさせることを意味するのだ。

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治水有識者会議(それぞれの発信/ユリカ・ゆり子・まさの)

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」について、いろいろな人が発信している。ここではほぼ同じ年数、ダム問題を見てきている3人の視点を順不同で並べます。

●高橋ユリカがブログで一連の流れを分かりやすくレポート
http://yurika-net.sakura.ne.jp/blog/index.php?mode=res_view&no=75

●「徳山ダム建設中止を求める会」事務局長ブログも面白い。
続・続  「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の怪
http://tokuyamad.exblog.jp/12433769/で、勝手に言えば、事務局長から泊宏河川計画調整室長への公開ラブレターといったところか。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota/tomari091130.pdf
最後に「議事録も出すそうです。
なぜ非公開なのか、一層「理解に苦しむ」」とある。

これ、まさに知る人ゾ知る問題をはらんでいる点である。
「非公開にして議事録を出す」意味である
次のコマで、じっくり書きたい。

●ちなみに、昨日出た週刊金曜日(12月11日号)で私も書いた。

治水対策有識者会議開催 完全非公開、見えない審議
(ネットでも読めますが、買い支えていただければ幸い)
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=912
 「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換」との趣旨で前原誠司国土交通大臣が招集した「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長・中川博次京都大学名誉教授)が三日、国交省内で開催された。
 
 大臣は冒頭挨拶で、「ダムを中心とする河川整備をいったんリセットしたい」と語り、同会議で策定される「新たな物差しで、一四三のダム事業の継続、中止、凍結を議論していきたい」と意気込みを示した。辻元清美、馬淵澄夫両副大臣と三日月大造政務官も出席し、政治主導が演出されたが、早くもその骨抜きが懸念される。
 
 第一に、河川行政の大改革を行なうのであれば、国交省設置法に根拠を持つ社会資本整備審議会に諮問し、法改正が必要だ。それは河川局長が大臣に進言すべきことであり、私的諮問機関にとどめさせたことは改革への非協力に他ならず、局長失格である。
 
 第二に、行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫内閣総理大臣)の事業仕分けでは、報道・傍聴にかかわらず、録音・撮影の制限はなかった。ところがこの会議は冒頭を除き非公開。政策形成過程を公開する内閣の方針に整合性を持たせる目配りもせず後退させたことも、河川行政における大臣補佐トップたる河川局長の怠慢だ。

 第三に、肝心の中身だが、会議終了後の政務官会見の内容は、事務局を務める河川局河川計画課が事前準備した資料の域を出ていない。幅広い治水対策の立案手法、新たな評価軸、総合的な評価方法の検討、今後の治水理念の構築を目的とするという曖昧な筋書きだ。目的の絞り込みが甘く、官僚によるコントロールが容易である。「非公開にして自由闊達な議論を確保した」(政務官)と言うが、筋書きを離れる議論があっても外部からは見えない。規約には「発言者氏名を除いたものを国交省ホームページに公開する」と書き込まれ、発言の責任を持つ者がいない。
 
 保坂展人前衆院議員は六日、八ッ場ダム集会で「委員にはダム行政を混迷させてきた戦犯とおぼしき人もいる」と委員構成を批判した。会議の最終報告は二〇一一年夏だが、大臣は骨抜きと時間の引き延ばしに気づいているのか。
 まさのあつこ・ジャーナリスト
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東京新聞の連載【公共事業を問う 第一部】

他の人や記者が書いたものに発奮されることはよくあります。
この連載もその一つです。

●翻弄される人々(1) 八ツ場ダム計画中止 自然も生活も壊された
2009年12月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009120502000240.html
●翻弄される人々(2) 『現地再建』で懐柔 代替地遅れ 集落崩壊
2009年12月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009120602000193.html
●翻弄される人々(3) 生活再建のいま 『お金湯水のよう』
2009年12月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009120702000219.html
●翻弄される人々(4) 『見直し』対象ダム 崩れた村自立の夢
2009年12月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009120802000228.html
●翻弄される人々(5) ダムありき 『自腹なら造らない』
2009年12月9日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009120902000128.html
●翻弄される人々(6) 故郷去る住民 つながり壊れた
2009年12月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/koukyou/list/CK2009121002000052.html

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足もとからの脱ダム

物理的にも電子データ的にも、頭の中も、
情報と資料がグチャグチャになってきたので
各地の情報と頭を整理しておきたい。今日中に終わるとも思えないが・・・。

●陳情内容を精査/民主県連「地域戦略会議」
「大門ダム」など却下に (朝日新聞 奈良版 2009年12月07日)
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000320912070001   
理由の抜粋「ダム池の堤防は800年の歴史に耐えており、今あえて耐久年数100年のコンクリートダムを建設する必要がない」(民主党奈良県連藤野良次幹事長)

●大和沢ダム建設中止に 知事表明 方針、国へ伝達済み
(読売新聞 青森版 2009年12月9日)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20091208-OYT8T01362.htm 
理由の抜粋「下水道の整備で水質改善の役割が薄れ、県は8日、知事の定例記者会見で建設中止の方針を明かした。洪水対策については、県河川砂防課は「堤防の整備などの対策を検討する」とした。」

●湯西川ダム見直し 波紋広がる
(読売新聞 栃木版 2009年12月10日)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20091209-OYT8T01544.htm 
理由の抜粋「「ダム湖よりも自然の渓流を残してほしいという切実な思いがある。温泉街(湯西川上地区)の繁栄なしに湯西川の将来はない。合理性の高い考え方だ」(福田昭夫衆院議員)

●ダムに頼らぬ治水対策紹介 北大で河川フォーラム(北海道新聞11月29日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/202634.html

というわけで、足もとからの治水見直しは着実に始まっている。

これは明日(12月13日)の緊急集会の案内
●「八ッ場のこれからを考える-ダムなし生活再建への道」
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=728
◆日程: 2009年12月13日(日)13:30~16:50 (開場:13時)
◆会場: 高崎シティギャラリー コアホール

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2009年12月 3日 (木)

治水のあり方、有識者会議のあり方

今日、国交省において「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の第一回が行われます。

●諮問した前原大臣の意図はhttp://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000208.html
『「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき、今後の治水対策について検討を行う際に必要となる、幅広い治水対策案の立案手法、新たな評価軸及び総合的な評価の考え方等を検討するとともに、さらにこれらを踏まえて今後の治水理念を構築し、提言する』とはっきりしている。

思い切りダム推進派を入れ、「ダムにたよらない治水」を提言させることにより説得力を持たせようということだと理解している。

●「座長は、必要があると認めるときは、委員以外の者に対し、会議に出席してその意見を述べる又は説明を行うことを求めることができる」と柔軟性も持たせていることも理解している。

 第一回案内:
 http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000210.html
 内容、委員
 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/211120arikata.pdf

●しかし、理解しがたい点がある。
①なぜそれが非公開なのか?
②各地で時間経過と社会変化により不要となった事業が進められている中、なぜ結論が平成23年夏か?個別に早急に検討が必要な事業もあるのではないか?
③「ダム推進派」を入れるのは理解できるにしても、なぜ「ダムありきの河川行政に対し批判的なスタンスをとってきた有識者」を入れなかったのか?
④河川法の目的は「治水」「利水」「環境」と3拍子なのに何故「治水」だけか?また1997年に不十分ながらも入った「住民参加」はどこへいったのか?

●改善の余地があると思ったら、迷わず改善する大臣であって欲しい。

●たとえば②について言えば、
平成21年10月9日に発表した「平成21年度におけるダム事業の進め方について(補足説明)」http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000204.htmlにより、平取ダム、サンルダム、思川開発、木曽川水系連絡導水路の本体・関連工事、小石原川ダムの転流工、山鳥坂ダムの用地買収など、「新たな段階に入らない」という方針でこれらは止まっている。しかし、それ以外の事業は「新たな段階に入らない」という方針で容認されている。(中止を宣言した八ツ場ダム関連事業すら止まっていないのはその例。)「できるだけダムにたよらない治水」を選択した場合には、なかには整理・縮小が必要となる事業がありえるが、1年半をかければ整理・縮小の機会を逃して関連事業が進み、その結果「止められない」事業が出るおそれもある。組織の意識改革を含め時間が必要なことは理解できるが、個別に検討すべき事業をどのように扱うのか?

●③の顔ぶれについては、参考までに保坂展人さんが「どこどこ日記」で懸念を表明しているのでリンクを張らせていただきます。
「国交省河川局のダム見直し「逆流」委員会の顔ぶれ」
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/756e2ba3f59e680ebb59636426615fde

●①の「非公開」については、私がもっともガックリきていることであり、前原大臣に手紙を書きました。(以下の通り)。④を含め、理解ができない有識者会議のあり方により、あるべき治水対策のあり方が出されても、納得しがたいものとなる。どのようなスタンスを持った人にもその結論が理解できる方法はただ一つ。「何故か」という理由とそのプロセスが公開されていることであり、それが新政権に最低限期待されていることではないでしょうか。

===============
2009年12月2日
国土交通大臣   前原誠司 様

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の
公開または非公開の理由を明らかにしてください。

行政刷新会議の事業仕分け人として参加した政野淳子です。
事業仕分けのプロセスは、傍聴はもちろん、報道カメラからインターネット・メディアまで、ありとあらゆる方法で全面公開され、人々の関心と批判を同時に受けていることはご承知の通りです。引き受けたからには、その双方を受けて当然であるという認識で私自身は参加をさせていただきました。

今回、大臣が開催される「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、非公開と知り、驚きました。多くの国民から関心と批判を集めていることが分かっているからこそ、公開のもとに行われるべきではないでしょうか。有識者会議に参加をする委員は、このテーマが「公開」を覚悟で引き受けるべき内容であることを知っている識者でなければ、少なくとも国民が望む「有識者」像には合致しません。その正当性が疑われることになります。「有識者」の名誉のためにも公開されることを期待しております。

また、もしも非公開で行うのであれば、その理由は明らかにされ、かつ人々にとって納得のいくものでなければなければならないと信じます。少なくとも情報公開法で認められる非開示事由に相当する理由がなければ、ならないのではないでしょうか?
 ・個人情報が含まれるのでしょうか?(第5条1)
 ・企業秘密が含まれるのでしょうか?(第5条2)
 ・国の安全が害され、他国との信頼関係が損なわれるのでしょうか?(第5条3)
 ・犯罪の予防に支障があるのでしょうか?(第5条4)

これらはどれも当てはまらないことは明らかです。当てはまるとすれば、第5条5
 ・「国の機関(略)の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある」

でしょうか。しかし、事業仕分けでは、447事業の予算について、事業者と財務省、国会議員と民間仕分け人により公開で議論が行われました。その議論の中身や結論に対する混乱や批判はあっっても、公開に対する批判が一つでもあるでしょうか?旧政権下体制で成立した情報公開法の解釈すら飛び越える改革が、現政権によりすでに行われたとも言えます。

どのような過程を経て政策が決定されるのかを国民が知ることができる社会づくりへと、民主党政権はすでに一歩を踏み出しています。治水のあり方であれ、その歩みに逆行するのであれば、その逆行には正当な理由が厳しく問われます。民主党政権下で、「有識者」として任命を受ける委員たちもまた同様であると思われます。

ご承知の通り、私の本職はジャーナリストでもありますので、明日開催される有識者会議には取材に行かせていただきます。公開をお願いします。また公開できないのであれば、納得できる正当な理由をご用意いただきたく、厳しいお願いで恐縮ですが、よろしくお願い致します。
政野淳子(まさのあつこ)(連絡先ここでは略)
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最近のアウトプット

更新がまたまた滞ってしまいましたが、
以下は最近のアウトプットです。

●『週刊金曜日』最新号(2009年11月27日/777号)で
「語り始めた住民と旧政権にしがみつくダム流域の自治体」を書きました。
http://www.kinyobi.co.jp/consider/consider_newest.php
(以下は小見出し)
・実名と顔を出して
・「畜生、天下りのためだったんだ」
・町政さえも国交省の運営?
・ひな形どおりの「意見書」
・住民署名も行政主導
コラム 日本はどうするどうなる
前原国土交通大臣の「ヒットリスト」の行方

●月刊「都市問題」12月号
2009.12  第 100 巻  第 12 号
http://www.timr.or.jp/cgi-bin/toshi_db.cgi?mode=saisin 
特集1 : ダム建設の是非を考える
 「徳山ダム・木曽川水系連絡導水路事業をめぐる問題」
この特集では、
今本博健・京大名誉教授、
田中康夫・衆議院議員、
高山欣也・長野原町長、
脇雅史・参議院議員
が論考されています。
編集長コラムもとても印象的でした。
~~~~~~~~~~~~~
どちらも是非、読んでいただければと思います。

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