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2009年12月27日 (日)

「ひもつき補助金」から「ひもつき交付金」?

先日、12月23日に流れてきたニュースにギョッと驚いて、慌てふためいた。道路、河川、海岸、下水道などへと配分していたいわゆる「ひもつき補助金」を公共事業に限って「一括交付金化」するという。【今後数年に渡って議論になると思われるので、誤解のないよう長いですが、最後まで読むか、最後から読んでください】

●国交省、1兆円の交付金創設へ 公共事業が対象(朝日新聞2009年12月23日)
http://www.asahi.com/business/update/1223/TKY200912220533.html 
● 地方向け交付金:1.1兆円を創設 補助金など原資に--国交相方針
(毎日新聞 2009年12月23日)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091223ddm008010013000c.html 
●国交相、新交付金の創設表明 1兆円強(日経新聞2009年12月23日)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091223AT3S2202J22122009.html 

慌てて、一部の知人に★「警戒警報」みたいなメールを送り、その後にいただいた「説明情報」をもとに、★「一応警戒解除」みたいなメールを送った。しかし・・・。

★@@@最初の「警戒警報」@@@
ビックリです。国交省への「ひもつき補助金」を公共事業専用の「交付金化」するというニュースです。民主党が2010年度予算案へ盛り込んだ要望に前原大臣が応じたと報道されており、これでは「ひもつき補助金」が「国交省ひもつき交付金」になるだけではないか?

民主党のマニフェスト(注1)とも違うし、事業仕分けで議論したこととも違う。事業仕分けで議論した「自治体に任せるべき」という判断は、「一括交付金」という意味であり、公共事業枠を確保することとは正反対。国土交通省や農水省で国による政策誘導や予算の固定化を行うのではなく、社会保障など本当に必要な分野に自治体の判断で予算を付けることができるようにという意味だった。

確かに、事業仕分けでは、種々のハコモノ事業すべてについて「自治体に任せるべき」という統一的な結論が出たわけではなく(国としての事業を「廃止」と明確にしたわけではなく)、あるものは縮小、あるものは自治体へとバラバラな判断が出ました。また「自治体に任せる」といったときの意味も「一括交付金化」と明示化したわけでもありません(本来なら評価シートにそのような選択肢があるべきでしたが、評価シートに誘導(議論が矮小化)されることなく、仕分け人側で気づいて明示すべきでした)。「自治体に任せる」というときの明確な定義づけを行わなかったことにも大きな問題があったと思います。

それらの多くの反省も踏まえた上で、これらについては今回判断が示されたような「ひもつき補助金」から「ひもつき交付金化」への変更ではなく、あらゆる分野への「一括交付金化」にすべきではないかと、一仕分け人を務めた者としても一国民としても、改めて問いかけたいと思います。

そうでなければ単なる「ハコモノ事業一括ひもつき交付金」となってしまいます。それが国交省用と農水省に確保されたのでは意味がありません。

さらに言えば、これではこれまでの行革のデジャブです。縦割りを排するために公共事業関係の審議会を「社会資本整備審議会」とひとつにまとめても「分科会」やその下の「小委員会」で細分化され以前と変わっていません。

また、事業ごとの特別会計も、「社会資本整備特別会計」の名で一つにまとめただけでその傘の下に「勘定」と名を変えてすべてが温存されている。

今度も「社会資本整備交付金」とでも呼ぶつもりでしょうか?それでは全く意味がありません。その傘の下に見えないミシン目で枠を設けてしまうことになるでしょう。

官僚の悪知恵に、新政権までが騙されてしまうのか、とガッカリです。前政権では「官僚の抵抗」で済まされていたことも、新政権に対しては「ブルータスよお前もか」という「政治不信」に直結するのではないかと思います。自らも広く発信していかなければならないところですが、とりいそぎ、皆様にこの状況と感想を共有させていただきたくメールしました。

(注1)民主党マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/txt/manifesto2009.txt 
○新たに設立する「行政刷新会議(仮称)」で全ての事務事業を整理し、基礎的自治体が対応可能な事務事業の権限と財源を大幅に移譲する。
○国と地方の協議の場を法律に基づいて設置する。
○国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
○「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する

@@@以上、最初の「警戒警報」メール@@@

★@@@2通目に送った「一応警戒解除」メール@@@

お騒がせします。その後、この懸念に対して連絡をくれた政府側の議員がいました。要点をかいつまめば、

・いずれすべてまとめて「一括交付金」にするが、この短期間ですぐにはできない。
・22年度予算ではまだ変えないつもりだったが、各省でまとめるなら一歩前進で、ご懸念にはあたらない。(党からの要請におそらく各省で対応できる形で対応した形だが、方向性は間違ってない、途上であるというニュアンス)
・継続中のものもあり、一気に変えれば地方からの反発もあるので、制度設計は丁寧に(段階的に)やっていきたい。

ということでした。(少なくともそのように理解をしました)
しかし、この間の「民主党」の動きは、「選挙モード」に見えてしまうものが少なくなく(何事も一朝一夕には変わらない。選挙モードも宿命なのでしょうが、声なき国民の期待とはズレて見えます)、党内・政府内で慎重に行う場合、なぜ慎重に丁寧に行っているのかの説明がなければ、民意はあっと言う間に離れていってしまうと考えておくべきではないでしょうか、と、また関係者には送らせていただくことにしました。
@@@以上@@@

さて、その2日後の12月25日、予算案とその関連資料が公表された。
●平成22年度国土交通省関係予算のポイント
http://www.mlit.go.jp/common/000055941.pdf
この17~18ページ目を見ると予想どおり、
この新たな「ひもつき交付金」の名称は「社会資本整備総合交付金」。
しかし、その額は22日に発表された1.1兆円の2倍で、2.2兆円!
道路も治水も海岸もまちづくりも下水道も住宅も港湾も問題だらけな事業で、しかも特殊法人、独法、公益法人も相まって問題だらけなまま、思考停止し、体質も変わっていない地方公共団体にハコモノの中でご自由にお使いくださいというのは、何を意味するか?一つには住民が賢くならなければならない、ということに他ならないのだが。。。

10月13日に開かれた総務省政策会議で、原口総務大臣が「地域主権とは、地域で間違った首長を選べば、その失敗の責任は地域で負うという厳しいシステム」であると語っていた。http://www.soumu.go.jp/main_content/000041056.pdf
それならば、そのシステムのセーフティネットとして、住民が監視、参加、介入できる仕組みを充実させ、住民参加、住民監査、住民訴訟、住民投票を機能できるようにしないと、国民は素手でその「厳しいシステム」と闘うことになってしまう。

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