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2009年12月21日 (月)

「核のない世界」と沖縄の米軍基地

普天間・辺野古についてのマスメディアの論調が一辺倒で気になっていた(少し変わってきたが)。やっと少し時間に融通の利く身体になり、書く書かないは別として取材に回った。結局、こちらに書く。12月11日にハシゴした4件のうち、二つはこの関係。

1件目は沖縄県宜野湾市長の伊波洋一市長の話に耳を傾けに。
一連の資料は宜野湾市のこのページの下方に↓
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/37844.html 

4件目は東京アメリカンセンターで開催された「軍縮・核不拡散センター」のジョン・アイザックス専務理事の講演「オバマ政権下における核不拡散への取り組み」。

その二つを念頭に、週末にある関係MLで次のように投げかけた。ざっくばらんなメモだが書き換える手間を省いてほぼそのまま載せてしまう。

∞∞∞
1.冷戦後、米国は米軍再編を自らの意志で行い
2.オバマ大統領は「核のない世界」を描き、ノーベル賞を受賞した。
3.もともと沖縄の米軍基地は極東有事を想定している。

1と2と、大きく軍事戦略・平和戦略の変更を行ったのが米国です。
3にも変化があって当然です。

海に投げた小さな石でも波紋は広がっていきますので。
ましてや米国の「核のない世界」です。

そこで、米国関係者に聞きました。

「核のない世界は、より平和な国際社会を目指すものと理解している。
 沖縄の米軍基地は極東有事を想定していると理解をしている。
 核のない世界に伴って、
 沖縄の基地という観点から米国はどのような平和戦略を目指すべきか?」

この日は、伊波宜野湾市長による議員会館での議論があったのと同じ日の午後。
つまりオバマ大統領のノーベル賞受賞スピーチの次の日。
米国関係者というのは、アメリカンセンターが招待した核のない世界を押し進めている米シンクタンク「軍縮・核不拡散センター」のジョン・アイザックス専務理事です。

彼の答えは次のようなものでした。

「戦後、60年以上経っているが、ドイツでも基地を保有している。地理的な条件で言えば、日本と韓国、日本と中国、中国と台湾の独立の問題などがある。コンフリクトがある間は米軍が展開した方がよい状況もある。軍隊を日本に展開する必要がないときが来るのかもしれないが、今撤退するのはよくはない。急激な変化はどの政府にとってもよくないと思う。特に、在日米軍に関してはすばやく決めるものではないと思う。中国については追加的な関係も深まっている。軍事的な競争よりも経済的な競争をする方が好ましい。米軍がいる必要性が低下し、いつの日か、撤退する日が来るのかもしれない。」

これに対する私の感想ととらえ方は次のようなものです。

・ほとんどが想定内の答え。沖縄の米軍基地は「極東有事」を想定しているもの。つまり中国と台湾の関係、日本と中国、日本と韓国、このどれをとっても「有事」はもはや想定できないほど、経済的な「追加的な関係」が深まっている。クロス外交を含め平和戦略により、沖縄基地は移設どころか、廃止でよい。

・・・・その後の他者への聴き取りにより、現在8000人とされている普天間の海兵隊のほとんどが今、イラクに駐留し、実際のところ、普天間に何人いるのかは不明という一面もある(米国政府に対してこの件を私自身は未確認)。

・私は質問の中で、一度も撤退という言葉を使っていない。しかし彼はあたかも米軍撤退に関する質問が出ることを想定していたかのように、手元のペーパーを見ながら答えていた(私の誤解でなければ)。つまり、米国政府関係者はすでに日本の国内世論として、沖縄からの米軍撤退を求める声が当然出ることを想定していたと言える。

・こんな時期でもあり、テーマは核のない世界でもあり、聴衆は「外交エチケット」をわきまえた人々ばかりであり、私もあえて、普天間という言葉も辺野古という言葉も避けた。「沖縄の基地」「平和戦略」というキーワードしか使わなかった。にもかかわらず、「いつの日か、撤退する日が来るのかもしれません」という答えが返ってきた。

・「いつの日か」「撤退する」のであれば、そのいつかを始めるのは政権交代をした今しかない。「普天間の移設」という固定観念を捨て、「極東からの米軍基地縮小・再編成」という考え方を、国際社会として議論すべき時期ではないか?

・単に沖縄、単に日本ではなく、極東アジア諸国の一つとして、「米軍基地のない極東」を目指すときがきたのではないか?フィリピンだって台湾だって米軍を撤退させた。日本に残っている合理的な理由はもはやないのではないか。日常会話の中で、米軍基地について議論を始めるなら今しかない。

・オバマ大統領が打ち出した「核のない世界」とは、そうした波紋をも想定したものであるはずだ。

以上が、自分の行った質問で得た感触です。

ところで、こうした講演会には必ずといっていいほど外交通のメディアや学者や議員が来ている。実際、私の二つ前には某大手TV局記者がQ:「オバマ大統領は広島・長崎に訪れることがあるだろうか?」A:「8年の間にそういうこともあるはずだ」という私から見れば脳天気な質疑を行っていた。

また、ある議員は、トマホークの退役や、北朝鮮が核保有を視野に入れていることを考えた場合、トマホーク退役後の「核の傘」の具体的な手段は何になるのか?と「トマホークのオルタナティブ」を請うような質問をしていた。(うわぁ、恥ずかしい、と思った。)これには「日本が憂慮するのは分かるが、アメリカの核の抑止力は強い。爆撃機、潜水艦、多くの形で北朝鮮の攻撃、核の攻撃も抑止できる。なぜ心配されるのか。1945年に落とした核爆弾が米国には4000ある。日本は心配する必要はない。核の傘がなくなることはない。トマホークがなくなれば、それがあったことすらすぐに忘れるだろう」との答え。「核のない世界」との矛盾を感じながらも(まぁ実現までに相当な時間差があるだろうから)、ごもっともな答え。

この日の講演は、「核のない世界」というテーマに絞られていたので、実は、沖縄の基地についての質問は馴染まないかと思い、躊躇していた。しかし、こんな米国万歳、核抑止力万歳みたいな声が日本の国民の世論だと思われてしまうのは心外だし、オバマ大統領の「核のない世界」の足をも引っ張り兼ねない。国際平和は、まず個人の一歩からなのだ。エイヤっと手をあげて、上記の質問をしたわけですが、質問してみてよかったと思いました。

「核の傘」を質問した議員は、私の質問の途中から、何故か激しく席を立って出ていった。ひょっとして、私の質問が彼には恥ずかしかったのだろうか?謎である。

まさのあつこ

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