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2010年4月24日 (土)

群馬県議と水問題専門家の興味深いやり取り

前のコマでお知らせした群馬県議会の「八ッ場ダム特別委員会」
取材のこぼれ話です。

八ツ場ダムの推進大会等で司会なども務められている自民党の萩原渉県議が、意見交換として一番に手を挙げて、こんなことを聞いていました。

「埼玉県、これはあの、上田知事が大変熱を入れていることでですね、八ッ場ダム造れということをおっしゃっています。まあ、それは今の話のように暫定水利権、八ッ場ダムの暫定水利権の中から、埼玉県の全水需要の30%、これを暫定水利権に置いているということで、その埼玉県のことにつきまして、水需要についてちょっとお聞きしたいと思います。」

群馬県議ですが、何故か埼玉県のことを聞いています。これに対し、水問題の専門家である嶋津暉之氏が、水利権制度の現在の限界を示し、国の制度改正への提案も行っています。つまり、水利権許可制度の改正の必要性を論じると共に、それに伴って残る自治体の負担金をどうしたらよいのかという一案を示しています。

嶋津氏いわく

「埼玉の暫定水利権、群馬も同じですよね、暫定水利権、こちらが広桃用水転用水利権、あちらが4つの農業用水転用水利権で、それらを大量に抱えています。それらは冬場の水利権がないから八ッ場ダムで埋めようということになってるわけですね。

八ッ場ダムがなくなったら困るのではないかというお話。先程申し上げたように、実態としては何ら支障がなく取れているんですね。実態に合わせて水利権を許可するかどうかということで、ただそれがそう簡単にできないだろうというご質問・ご意見だと思います。

確かにこれは全国、国交省でルールを決めてやっておりますね。そのルールを変えなければいけません。ルールを変えなければいかんというのは、基準点の確保流量を決めているからですね、例えば利根川の場合ですと、栗橋という地点で、冬場の場合ですとだいたい80トンくらい毎秒確保すると、そのためにはその新しい取水はできないと、だから「新しく水を取るんだったらダムに参画して下さい」という話になっているわけですね。

しかし、この80トンが過大なんですよ。実態はそれを下回ることがしばしばあるけれども問題ないんですね。ですからその確保流量を見直して、それでそこで生み出した余剰水を暫定水利権の使用者に割り振っていくことが必要です。

ただ、この場合もひとつ難しいのは、既設ダムの利水者はお金を払っているわけですね。今度、暫定水利権を安定水利権に変えるにあたって、タダというわけにいかないと思うんですよ。だから、やっぱりある程度お金を負担してもらって、基準点の確保流量を見直すことで生み出された水を配分するには一定のルールが必要だと思います。お金をいくらか出してもらうということですね。それが、八ッ場ダムに対して今まで払ってきた金にそのまま対応するかどうか分かりませんけれども、その一部を充てるとかそういうかたちになっていくかなと思います。そういうルールを作れば解消できることなんですね。だから、国交省は、暫定水利権を安定水利権に変えていくためのルールづくり、どうやってルール化していくか、このルールを作って頂きたいと思います。」

この質疑はさらに続いています。

この質疑こそが、八ツ場ダム問題のみならず、水は実質は余っているが、水利権許可行政が硬直化しているために計算上は必要となっている全国のダム問題を解消する一つのカギを握っています。自民党県議との間で、これについての意見交換が行われたのは実に興味深いことではないでしょうか。

たいへんややこしい、マスコミにも県議にも国会議員にも、多くの人にとって、とても分かりにくい問題だが、複雑に絡み合うダム問題の一つを解くカギなので、私自身もここはもう少し勉強して、噛み砕いて、小学生にでも分かるようにしたいと思っているところです。国が変わるかどうかは、結局、小学生や中学生でも、その理屈が分かるかどうかにかかっている、と常々思うからです。

ところで、嶋津氏は、水源開発問題全国連絡会の共同代表として全国にその名が知られていますが、東大大学院博士課程では都市計画を専門として、東京都の環境科学研究所で工業用水の節水指導等を実行するかたわら各地の住民運動を下支えしている人です。多くの人もご本人も「市民運動家」として見なしているが、実はそれは一面と謙遜による姿であり、日本最大の地方公共団体の職員として節水策に尽力してきた人物です。

「ダムに頼らない治水」を推進する今の国交省なら、この人材、この経験こそを、国の財産として活用したら良いのではないかと常々思っているのですが・・・。

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