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2010年4月17日 (土)

気になる外交文書問題

公文書管理法が成立したのは去年のことだ。
与野党協議があり、内閣提案の原案よりは一歩前進した法律へと修正され、国会を通過した。
http://www.archives.go.jp/news/pdf/090709_01.pdf

その公文書管理法はまだ施行前だ。政令がこれから作られていく。だから、一般の人々にはもちろん、国会議員や閣僚にもまだ浸透していないのもムリはない。しかし、「それにしてもヒドイな」と感じたニュースが二つある。これを読んだ方は、岡田外務大臣に取材か、提案をしていただきたいのだが・・・(私は外務省記者クラブに取材にいく労力を今かかける選択ができないので)。一つは

●外交文書の新規則4月にも制定 原則公開を徹底へ
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010040601000750.html

外務省で、作成後30年を経過した外交文書を原則公開する規則を作るというニュース。もちろん悪いニュースではないが奇妙。ひょっとして、公文書管理法の存在を外務大臣は知らないんではないか・・・と気になる。いや、知らないとしたら、外務官僚が大臣に指摘・提案しなければならない問題なのだと思うが・・・。さらに、外務官僚も気づいていないなら、総務官僚や内閣府官僚が指摘しにいくべき問題だと思うのだが・・・。マスコミは全然指摘していないし、こういうマジメで固いテーマは私がマスコミに売り込みにいったってなかなか企画が通らないことが分かっているし、今は、こうしたテーマを売りに行く時間もないしで、悶々とし、ブログでお茶を濁す。

これから政府内で施行令が作られることになっている公文書管理法の第15条2項では、「国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。」とされている。

この中の「時の経過」というのは、諸外国の30年ルールを意識して入れられた文言で、前政権下では「30年経過したら原則公開」と潔く書く度胸がなかったために、諸外国の常識をにじませたものだ。取材して、呆れたのを覚えている。「時の経過」で一体、誰が「作成して30年経った公文書は公開する」と読むというのだ、と。

今回、外務省で新ルールを作るのでれば、それを全府省の共通ルールとして政令に盛り込むか、より望ましいのは、この「時の経過」という文言を改正して「30年経過したら原則公開」と法律の小改正をすればよいのだ

次に首を傾げたのは、

●外相、沖縄密約訴訟の控訴検討 「文書ないのは明白」
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010040901000859.html
だ。これこそヒドイ。控訴などしてはいけない。

なぜなら
●核密約文書現存、佐藤元首相宅に保管 日米首脳の署名
http://www.asahi.com/politics/update/1222/TKY200912220513.html
によれば、「1969年11月21日発表のニクソン米大統領と日本の佐藤首相による共同声明に関する合意議事録」とする文書が存在する。「『重大な緊急事態』に際し、米政府は『日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと沖縄を通過させる権利を必要とするであろう』」と核心部分が書かれている。これを「私文書」だとかなんとか言っている政府関係者の言葉をニュースで見たが、この認識は改めるべきなのだ。

施行されていないとはいえ、公文書管理法の第2条6項と7項4号には次のように定められている。

=== === ===
公文書管理法第2条
6 この法律において「歴史公文書等」とは、歴史資料として重要な公文書その他の文書をいう。
7 この法律において「特定歴史公文書等」とは、歴史公文書等のうち、次に掲げるものをいう。
四 法人その他の団体(国及び独立行政法人等を除く。以下「法人等」という。)又は個人から国立公文書館等に寄贈され、又は寄託されたもの
=== === ===

つまり、公文書とは「行政文書」だけを意味するのではない。国民にとって歴史資料として重要な文書は、「公文書」足り得る。

公文書管理法施行に向けて、外務大臣は真っ先に、佐藤元首相のご家族が未来世代のために保管してくれていた文書を「公文書」として迎え入れる準備をすべきなのだと思う。佐藤元首相のご家族に寄贈をお願いしに行くべきだと思うのだ。

公文書管理法15条4項にはこうも定められている

=== === ===
公文書管理法15条
4 国立公文書館等の長は、政令で定めるところにより、特定歴史公文書等の分類、名称、移管又は寄贈若しくは寄託をした者の名称又は氏名、移管又は寄贈若しくは寄託を受けた時期及び保存場所その他の特定歴史公文書等の適切な保存を行い、及び適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。
=== === ===

この政令を定めるにあたって、佐藤元首相の文書をどう取り扱うのかを一つのテストケースとして検討し、この条文の運用第一号にすれば、衆人環視され、全国民にとっての希少体験となり、公文書管理法の重要性を認識するよい機会になるに違いないと思う。

そんなわけで、以上が「ヒドイ」=「実は公文書管理問題にとってチャンス」と感じた二つのニュースだ。

今の民主党連立政権、一部の人だけ忙殺されているのかなんなのか、必要なコミュニケーションや議論が、政府内できちんとなされていないんではないだろうかと心配になる。

それに加えて、ガミガミと人様に目くじらばかり立てていたくないが、政局ばかり追いかけて、政策を追わない報道機関の責任も大きい。公文書管理法についても、去年、きちんと報じた報道機関は数えるほどしかなかった。手前味噌で恐縮だが、週刊ダイアモンドで昨年、2回ほど書かせていただいたが、読者アンケートでとても評価されていたと聞く。読者はきちんとマジメな政策ニュースに触れたいのだと確信したものだ。

私は、今現在、学業に専念するため(^^;)、仕事を絞って生産性の低い耐乏生活をしているが、この山を越えたときに、まじめな政策ニュースを連載させてくれる媒体があったらいいなぁ~。

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