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2010年6月28日 (月)

ダム見直しの失敗(その6)

第四の失敗 密室の有識者会議」の続きです。

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の特徴は、治水のあり方を見直すための会議でありながら、従来型の治水のあり方の見直しを訴えてきた実績のある委員が一人も選任されておらず、リアルタイムで公開されていないことです。

密室の上に箝口令
第一回の会議の冒頭で前原大臣は次のように語っています。(冒頭の大臣挨拶とカメラ撮りだけは公開です)
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 この有識者会議というのは私は極めて大事だと思っておりまして、その目的といいますか、私の皆さん方にお伝えをしたいところを少しお話をさせていただきたいと考えております。(略)
 今の日本の状況は、2004年から人口減少社会に入りました。2050年には9,000万人ぐらいになるのではないかと言われています。(略)
 我々が直面している最大の問題の一つは、極めて深刻な財政赤字であります。(略)
だんだん65歳以上の方々の比率が高まっていくということは、医療や介護、年金に今以上に力を入れていかなくてはならない。
 (略)今まで2,890を超えるダムをつくり続けてきて、それはかなり砂がたまっているものもあり、また更新、改造しなくてはいけないものも出てきているという状況でございます。(略)
治水はどうあるべきなのかを、ぜひ、皆さん方には根本的に議論いただき、今後の治水対策、河川整備の物差しをつくっていただいて、その中で、今、143のダム事業が計画をされているわけですが、国、水資源機構、そして自治体が行う、我々からすると補助事業というものですが、継続すべきなのか、凍結、中止をすべきなのか、こういったことをしっかりと議論していきたい。
 そして、こういった議論を国民すべてにすべからくわかるような説明をしっかりとやらせていただきたいと考えているところでございます。
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↑第一回会議議事録より
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai1kai/dai1kai_gijiroku.pdf

そうであるならば、議論の過程が分かるように、会議は公開しなければならなかったが、非公開となった。「混乱する」からというのがその理由だ。

第一回の議事録を見ると、会議の最後に(おそらく委員長ではないかと推測するが)、次のような発言がある。
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当会議というのは、今の議論でもわかるように、今後の河川行政の方向性に大きく影響するといいますか、重要な会議でございます。マスコミ等の関心は非常に高いわけです。不用意なことを口にして無用な混乱を招くと、委員の皆様にご迷惑を直接おかけするような事態も考えられますので、これを心配いたしまして、私自身は、マスコミの取材は一切受けつけない、そういうことにしたいと。公開されるようになったらそれはまた話は別ですけれども、それまでは控えます。
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箝口令まで敷いていた・・・。

公開すべきではないかという声は、市民団体からも、会議終了後に三日月政務官(当時)が行ったブリーフィングで記者達からもあがった。さらに、ダムありきの治水のあり方を批判してきた「委員以外のヒアリング」に呼ばれた二人も、出席するにあたっては公開を求めた。

「原則ダムは建設しない」という結論を、完全公開の議論を通して導いた「淀川水系流域委員会」の元委員長・宮本博司氏は、会議の「公開」を条件に、その条件が飲まれないのであれば、出席しないといった。

ダム推進論者に偏っている会議で話をすることの重要性を、元建設官僚の宮本氏が分からないわけがない。その彼が、「公開」しなければ、その会議自体が説得力を持たないのだということを「出席」と天秤にかけて訴えた。

この機会を甘受して、公開すべきだったと思うが、その機微は理解されなかったらしい。

一方、2010年1月15日に行われた「委員以外のヒアリング」で唯一、ダムによる治水を批判してきた有識者として出席した水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之さんも公開を求め、叶わずに出席したが、質疑で誰が何を言ったのかは、口外しないで欲しいという意味の配慮を求められたという。

重要な公開性を1万歩ゆずったとして、中身が妥当なものであれば、結果オーライだが、どうもそうではないということが見えてきたのが、中間とりまとめ(案)だった。

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