« ダム見直しの失敗(その3) | トップページ | ダム見直しの失敗(その5) »

2010年6月27日 (日)

ダム見直しの失敗(その4)

第二の失敗に続いて、「第三の失敗」は道府県営ダムへの補助金をつけたことです。

「平成21年度におけるダム事業の進め方について」では、道府県が主体となって実施し、国が補助金を出す、いわゆる「補助ダム」について、前原大臣は、次のように方針を出していました。「実施している87のダム事業の平成21年度における事業の進め方(工事の発注を含む)については、各道府県知事のご判断を尊重する。」

そして、22年度の予算編成の時期になり、2010年12月15日「ダム事業に関係する道府県知事の皆様へ」と題して「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換に対するご協力のお願い」を出した。

これは誰の発案だったのだろうか。文字通り、ダムにたよらない治水への協力を求め、「平成22年度予算案については、補助事業においても政策転換を要請する国の姿勢を反映したものとさせていただくことを考えておりますが、個別ダムの進捗状況等を考慮したものとさせていただくことを考えております。」と、どのようにでも解釈が可能な手紙ではあった。

「手紙でダムが止まれば苦労はしない」と毒づく議員もいたが、補助事業を止めるための前フリとしての手紙なのだろうかと、私自身は楽観していた。ところが、これにはなんの戦略もなかったことが、結果的には分かった。

結論を言えば、大臣は、河川法補助金適正化法を解釈すれば、補助金を止められないと結論した。これは、致命的な判断だったと思う。その判断なら、怠惰な行政職員(失礼!)だって胡座をかいて座れる安全地帯だ。

国会の存在理由
なぜなら、政権転換をするにあっては(政権交代にかかわらない)、いくつかの超法規的な政治判断を下したり、裁量を発揮したりしなければならない場面はあって当然だからだ。そしてそのために、国民は政権を選択し、そのために国会があり、国会審議があり、国会答弁がある。なぜ、その政治判断を行うのか、裁量を発揮するのかという「説明責任」を国会の場で果たして、政治決断を実行することはおかしなことではない。

法改正を行うことを前提で、法改正では間に合わない現実問題を、その法改正と整合性を持たせた方向で政治決断をすることは、国会があってこそ可能となるのではないか。

国民から選ばれる政治家が政府を運営する理由
国会を活用することもなく、行政裁量の範囲で政府を運営するなら、政府の運営を官僚に任せればいい。

「ダムに頼らない治水」へ政策を転換したから補助金を支払わないと大臣が判断した場合、たとえば、自治体は不服がある場合に、補助金適正化法第25条により不服を申し立てることができる。大臣は、不服の申し出があった場合に、意見を聞いた上で、必要な措置を取り、この措置に自治体がさらに不服な場合(必要な場合は)、内閣に意見を申し出ることができる。

一読して、この法律に基づけば、大臣の判断は良くも悪くも強力だ。自治体に不服があっても、さらに内閣が国土交通大臣の判断をバックアップしてくれれば(『コンクリートから人へ』で始まった内閣なのである)、自治体は行政手続きとしてはこれ以上に打つ手はない。

自治体から裁判に打って出られる可能性は残るが、自治体の主張に迎え撃つ「覚悟」がなければ、裁判があろうがなかろうが、自治体のダムは止められない。

政権交代という歴史的な転換期にあり、リスクを少しも犯さずに大胆な政治判断を行えないのであれば、これは誰が言っていたのか、忘れたが、何かがじょじょに変わっていったとしても、それは「変化」であって「変革」ではない。

無血革命は、ここで終わったのか?
それとも参院選後に息を吹き返す可能性はあるのか?
期待をできるのか、できないのか、まったく分からない。

|

« ダム見直しの失敗(その3) | トップページ | ダム見直しの失敗(その5) »

コメント

まさのさんの意見に反論する

小松好人

私は長野県の浅川ダムの基本高水流量について技術的な検討を続けている長野市民です。まさのさんのホームページは興味を持って拝見しています。今回の「ダム見直しの失敗」シリーズについて、観点を変えたコメントをさせていただきます。
ホームページに取り上げていただかないで、まさのさんの今後の活動や意見に少しでも反映させていただければ幸いです。ご質問があれば遠慮なくお伝え下さい

~~おっと、ちゃんと読まないまま公開してしまったので、
以下、カット~~失礼しました。(読みたい方も出てくるでしょうが・・・ごめんなさい)

投稿: 小松好人 | 2010年6月28日 (月) 00時13分

小松様
反論ありがとうございます。「ホームページに取り上げていただかないで」とあったのを間違って一回、公開してしまいました。ごめんなさい。でも、反論ありがとうございます。拝読してみます。

ついでですが、小松さんのHPだったかどうか、違っていたらごめんなさい。以前、浅川ダムについて「浅川ダムは5ミリの「減災」にしかならない」という記事を週刊金曜日(2007年3月30日号)で書いた際、いい加減なことを書くなという反論がどこかのHPに載っていました。(記憶です)

5ミリというのは、もとは、私が言ったことではなく、当時の県の担当課長が言った言葉です。その記事を読んでいない人が書いているなぁ・・・、と思ったことを覚えています。

その課長の言葉を引用すると、「確かに浅川ダムは内水被害としては5~6ミリの水位を下げるだけです。しかしそれは副次的なもの。浅川ダムの主目的は、川から水があふれないようにすることだ」というもの。

たった5ミリ?と思う人は、取材してみてください。ただし、もちろん、口は重いです(当時「でした」)。いろいろな角度から理詰めで聞いてやっと答えてくださったもの。長野県の取材者の皆さん、県民の皆さん、Good Luck!

というわけで、反論は歓迎ですが、丁寧に説明しないと反論を読んだだけだと分かりにくいな、とか、誤解に基づいた反論だな、と思ったときや、こちらに対応する時間がないときは、そのまま放置したり(読む方でご判断ください)、私の独断と偏見でオープンにしない場合があります。ご了承ください。

投稿: まさの | 2010年7月 1日 (木) 18時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/82688/35525234

この記事へのトラックバック一覧です: ダム見直しの失敗(その4):

« ダム見直しの失敗(その3) | トップページ | ダム見直しの失敗(その5) »