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2010年6月27日 (日)

ダム見直しの失敗(その3)

第一の失敗に続いて、第二の失敗は「ダム見直しを4種に分けたこと」です。

前原大臣は10月9日に「平成21年度におけるダム事業の進め方について」を発表しました。

国や水資源機構が実施している56のダム事業のうち、既存ダムの機能増強を目的とする8事業を除く48事業については、4段階(①用地買収、②生活再建工事、③転流工工事、④本体工事)に分けて、21年度中は新たな段階に入らない、という方針です。

実は、この発表に絡み、「48事業の凍結」というニュースが配信されました。
大臣はそのつもりだったのでしょう。
マスコミもそのように読みとったのでしょう。

ところが、実際はそうではありませんでした。

河川局治水課から、同日に大臣発表の「補足」が出ました。
これを解説します。見直しの方法における問題の解説です。

1)大臣はここに騙された?!/無条件の見直し除外はワナ!
既存ダムの機能増強する8事業を無条件に見直しから除外してしまいましたが、実はこれはクセモノです。

たとえばこの資料でいうNO.19「天竜川ダム再編」ですが、実は、ダム名で言えば、「佐久間ダム」です。その所有者は電源開発株式会社であり、国費を投入するのは本来おかしいのです。

厳密に、ここは、この再編事業によって誰が利するのかを突き止め、発電によって利益を得る電源開発株式会社が負担をすべきものであり、国費の投入はおかしい。

その他にも、大規模な水力発電ダムを温暖化の観点から進めたがる一群の人々がいますが、実は堆砂により厄介なお荷物となり、維持管理にお金がかかり、経済的に持続不可能な技術であることを示しています。また、河川環境を改変させるのにアセス法の対象外であることも問題です。

2)大臣はここに騙された?!/文書の書き換え!
4段階(①用地買収、②生活再建工事、③転流工工事、④本体工事)というと、大臣はきっと、あたかも①→②→③→④と進んでいると思って、「それでよし!」ぐらいにGOサインを出したのでしょう。それは大間違い!
実は、大臣発表と官僚の補足文書では、番号の順番や文言が書き換えられていています。大臣発表の順に、官僚の書き方で並べると次のようになります。

①用地買収を取りやめる1事業「山鳥坂ダム」
②計画どおり予算を執行する「42事業」
③転流工の工事を取りやめる1事業「小石原川ダム」
④本体工事または本体関連工事の着手を取りやめる4事業「沙流川総合開発(平取ダム)、サンルダム、思川開発、木曽川水系連絡導水路」

官僚の文書作成能力おそるべし、というか「大臣騙しのテクニック」というか、
結局、56事業を見直すとしながら、
止めるのは、①③④の6事業だけ。
42事業は今まで通り「進める」という見直し方になってしまいました。
そして八ツ場ダムも42事業のうちの一つとして、着々と工事は進みました。

実は、「自民党は負けて、民主党政権になるかもしれない」と構えていた国土交通省は、
官僚の裁量によって、八ツ場ダムにかかわる大規模な工事の入札さえ控えていました。
また、「頭の体操をしています」と官僚たちは、
大臣からの指令が下ってきたときのことを想定して、
まな板の上の鯉モードでした。
ところが、徐々に、「法的手続を取らない」ことが明らかになった頃から、
次なる大規模「生活再建」という名の事業が、
八ツ場ダムでも進められていくことになってしまいました。

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コメント

国交省が2010/01/13に、『平成22年度河川局関係予算決定概要』を公表しています。
八ッ場ダムに限れば、その中で以下の但し書きがあります・・参考まで。


「八ッ場ダムは生活再建事業を継続。
12月以降に本体工事の契約を行った、または予定している補助ダム事業については、別途改めて判断する。」

http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h22/h22yosan.pdf

投稿: Amemiya | 2010年6月29日 (火) 20時25分

「別途改めて判断する」としたあと、判断した結果、上記の通りです(泣)

投稿: まさの | 2010年7月 1日 (木) 18時31分

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