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2010年7月10日 (土)

ダム見直しの失敗(その16)

利水について、少々また、話を巻き戻します。

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(流水の占用の許可)第二十三条  河川の流水を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。
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の運用が、「通達」という官僚の裁量で運用されてきたことについてです。

この通達によれば、水利権の申請を審査するにあたって、
次のような考え方をするそうです。

1. 安定水利権
通常の水利権は、原則、水源が安定的に確保されて(水源=ダム建設)、
初めて許可される

発電以外の目的で10年、発電目的で20年という期限付きです。

2.暫定豊水水利権
そうは言っても、すぐにダム建設はできませんので、
安定的な水源でなくても(ダムが完成していなくても)
社会的な要請があるとき(つまり需要があるとき
)、
1の水利権者が取水してなお、川に豊かに水が流れている場合
(これを「豊水条件」と言います)、
河川維持用水(簡単に言うとお魚たちが泳げる深さが確保できる流量)を
引いた残りから水を取ることができます。
これは10年という期限付きです。

3.暫定水利権
さらに、緊急の場合、許可期間(1年~3年)で暫定水利権を特別に認めることもできる。

水を使う権利として、優先順序は1>2>3です。
こういう三段階だそうです。

八ツ場ダムは2のケースです。
埼玉や群馬は、夏は転用、冬は豊水暫定水利権を更新しながら、
安定水利権(ダム建設)を確保してくださいよという条件つきで
利根川の水を取っています

だから「不安定だ」から八ツ場ダムを早くつくって
「安定」した水利権が欲しいと、県は言わされ、負担金を払わされてきたのですが、
実際は、そのような運用が、河川官僚によって通達上なされてきただけです。

国会(選挙によって選ばれた国民の代表)が決めたルールではありませんでした。

安定的な水源(ダム建設)を確保してくださいよというこの通達を不要とし、
優先順序や、融通、調整のルールや枠組みをつくってあげれば、
埼玉県や群馬県が、農業用水について必要であるという根拠がなくなります。
財政赤字を垂れ流しながら、人口が将来は減ると分かっているのに
ダム計画に乗る必要もなくなります。

有識者会議はこうした本来、ダムによらない河川行政に必要とされる議論をしそこねています。

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