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2010年9月 7日 (火)

畑仕事ができなくなる前に(手紙)

8月30日に寺嶋ゆうさんという女性が寄せてくれた情報です。

熊本県五木村は国が川辺川ダムの中止を決定した地で、かつ村自体はまだ中止を受け入れたわけではない村です。しかし、「先週1週間、毎晩連続で、五木村で各種団体、各地域住民を対象に「意見をお聞きする場」が開催」とされたそうです。

その「生活再建を検討する場」主催に、今も川辺川ダムの水没予定地で暮らす、唯一の世帯の方が寄せた手紙を、ご本人に了解を取ってご提供くださり、そのまた了解を得て転載させていただきます。(改行は私の方でいれさせていただきました)

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生活再建を協議する場のみなさま

私は高齢で目も見えなくなってきて、会議に出席することができませんので、文書で意見をのべます。よろしくお願いします。

一番お願いしたいのは、農地造成についてであります。

私は、祖先から受け継いだ5反の農地を、代替地造成のために手放しました。村のために仕方ありませんでしたが、国交省の職員が、私から印鑑を借りて、調印させられたことを、私は忘れたことはありません。国のやり方に、腹が立ちました。村も県も国も、農地造成の約束を果たしてくれるか不安だったので、県の緒方寿春氏に立ち会ってもらい、国との間で、農地が造成されたら5反歩を私に配分してくれるように覚書を書きました。村は立会いを断りました。それから10年以上が過ぎましたが、農地は造成されていません。覚書の時間を区切っておればよかったと、今後悔しています。

数年前、水没地の農地を借りられるようになった時、私も申し込みましたが、今農地を持っているものは申し込めないと断られました。その後、空いている土地を使って良いと言われ、鍬を入れましたが、周りから文句の出たので使ってはならないと言われました。

私は年金生活者ですが、現金生活をするには、年金だけでは足りません。畑なしでは、生きてゆけない。国がいつまでも5反の農地造成をしないので、生活するには農地が足りなくなりました。5年か6年かけて、つるはしでセメントを割り、石を拾い、いくらかの畑を広げ今はそこを使っています。

五木村のような山の村での暮らしは、昔からほとんど現金収入がありません。昔から、ほとんどの人が田畑で自分たちで食べるものを作りながら、しいたけやこんにゃく、梶を売ったり、仕事に出たりして、わずかな現金収入を得て、生活してきました。

すべてのものを現金で買う暮らしができるのは、ごくわずかの者しかいません。役場やサラリーマン、充分な年金のある年金生活者だけです。田舎には仕事が少なく、皆生活に苦労しています。畑で石を拾ったことのない、村や県や国の職員は、知らないだろうが、町の現金生活者と五木の生活は違う。農地があれば、自分で食べるものを作ることができます。農地さえあれば、給料の少ない生活者でも、五木村でなんとか生活していくことができます。

ダムは、農地を取り上げ、水没地の生活者の生活を変えました。そのために、昔と違って、高い給料をもらえる仕事につかなければ、五木で生活できなくなりつつあります。

今、代替地の人はどう思っておられるのでしょうか。どうやって生活しておられるのでしょうか。いつもそれを思います。自分一代は良くても、子や孫はどうして生活するのだろうかと心配です。農地がなければ、少ない給料だけでは生活していけない。高い給料をもらうには、町に出て仕事をしなければならない。村から子や孫が出ていき、ますます寂れた村になっています。

私は80を過ぎて、目も見えなくなり、だんだん何もできなくなってきました。私のような年寄りが言う必要はないのかもしれませんが、この村の将来がどうなるのかと、いつも心配です。生活再建は、橋や道路だけではない。年を取り、畑仕事ができなくなる前に、村人の生活を戻してほしい。ここで生活していけるような、村づくりをしなければ、村がつぶれてしまう。

今すぐ下を使えるようにしてほしい。国から無償で村や個人に戻すか、村が管理をし、村や個人が自由に使えるようにするのが良い。有償であればできるだけ安い価格が皆にとって良かろうと思います。私は、農地を買い戻すため、補償金は使わずに持っています。農地を手放した人が、補償金を使ってしまったり、年を取って農業をできなくなってしまう前に、農地造成して下さい。頭地だけでなく、ほかの集落にも農地がほしい人がおるかもしれない。残った空き地は、産業作りに使えるよう、村が自由に使えるようにして下さい。

今すぐにしなければ、手遅れになる。私も年を取り、いつまで農業ができるかわからないが、私だけの問題ではない。村の将来のために、ここで生活していけるようにしなければならない。今のまま、時間だけが過ぎていくと、村が本当につぶれてしまうと私は心配しています。

平成22年8月24日
五木村田口
○○○
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