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2010年10月20日 (水)

⑲ 17. 辻褄が合わなくなる

「国交省河川局の操作・捏造を疑っていたら、別の扉の次の扉が開いた」
⑲ 17. 辻褄が合わなくなる

前回書いたように、「一つのウソを隠すために、別のウソをつくと、他でついたウソと辻褄が合わなくなる」今回はそれを書く。

まず、一つ目のウソとは何か。利根川の基本高水を計算するために使った「飽和雨量は48mmだ」というものだ。そのウソがばれたのは、八ツ場ダム訴訟に意見書を出した研究者が、国交省が開示していた定数と、非開示だが以前に開示していた近似の「流域分割図」と「流出モデル図」を入力して、国交省がやった計算を追試したからだ。

追試結果は、国交省が河川法16条に基づいて、全国109水系の一級河川で「河川整備基本方針」を決めた「社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会」に平成17年12月6日(第28回)に提出したようなグラフ(資料1「利根川に関する補足説明資料」の最後のページ)にはならなかったというものだ。↓これがそのページだ(クリックすると全体が見えます。もしくはリンクでオリジナルを見てください)。

Model_2

つまり、48mmって言ってきたけど、48mmを入れても、こんなグラフにはならないよ?
というのが、関良基准教授の意見書 の内容だった。

そして、疑い通り、「本当は48mmではなかった」というのが、河野太郎衆議院議員の質問 で分かったことだ。

そして馬淵大臣も記者会見で改めて明らかにした。これまで「48mm」とこれまで言ってきたのが、本当は、31.77 mm(昭和33年)→65 mm(昭和34年)→115 mm(昭和57年)→125mm(平成10年)と年を追う事により大きな飽和雨量を入れて計算していた。しかも「今まで非開示だったものでありますので、この国会で初めて、私の方から公表した」と言わせて取り繕った。しかし、本当は「非開示」だったのではなくて、「48mm」と開示してきたのが真実だ。平気で大臣にウソを取り繕わせたのだ。

~~~~~~~~~大臣会見の抜粋(該当箇所)~~~~~~~~
昭和33年9月洪水では31.77ミリメートル、昭和34年8月洪水では65ミリメートル、昭和57年9月洪水では115ミリメートル、平成10年9月洪水では125ミリメートルと。
この4つの数字のうち、昭和34年以降の3つ、65ミリメートル、115ミリメートル、125ミリメートルというのは、今まで非開示だったものでありますので、この国会で初めて、私の方から公表したということであります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

しかし、そう取り繕ったことで、今度は、他で辻褄が合わなくなる。
今日のところは2つ、あげておく。

(1)一つは上記のグラフの説明を見て欲しい。
(2)二つ目は、この資料を説明したときの議事録だ。

第28回(平成17年12月6日)<利根川水系> 議事録
 
~~~~抜粋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(事務局) 担当の河川計画課長の布村でございます。座って説明をさせていただきます。
 まず、資料1で前回幾つかのご質問、ご指摘等ございましたことについて補足の説明をさせていただきまして(略)。
 それから最後のページでございます。森林の治水機能について話がございます。利根川について見ますと、利根川上流域、例えば群馬県。栃木県なども似たようなものでございますけれども、群馬県の例を出させていただいております。森林の面積そのものは、昭和25年以降など、戦後の状況と最近まではあまり変わってございません。荒れ地・農地が減りまして、都市的な利用が増えているというのが全体の状況でございます。
 治水計画としましては、昭和55年に今の工事実施基本計画(既定計画)ができてございますが、このときも当然25年頃とあまり変わらないという森林の状況を前提にして計算して検討しているわけでございますし、実際に流出したものと併せて、その状況を確認しております。下が、そういう計算と実際のものとの比較でございます。
 それからその後につきましても、最近の森林の状況そのものはあまり変わっていないのですが、既定計画策定以降も近年の森林の状況のものでも一応流出計算をしてみますと、同じ計算モデルで十分再現性が高いという状況が見て取れます。
~~~~~抜粋終わり~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(1)のグラフは「森林の存在を前提として治水計画を立案」したことを示すもので、その計画を検討した昭和33年でも、昭和57年でも、平成10年でも、実測流量(黒線)と計算値(赤線)の波形が一致していることをもって、どんな洪水にも当てはまる「再現可能な流出計算モデル」「再現性がある」という説明をするグラフだ。

(2)の議事録は、この頁を見ながら、布村河川計画課長(当時)が「既定計画策定以降も近年の森林の状況のものでも一応流出計算をしてみますと、同じ計算モデルで十分再現性が高い」と説明したことを示している。

基本高水については、次のように説明している。「当然25年頃とあまり変わらないという森林の状況を前提にして計算して検討している」。

これは、大臣が言った数字〔31.77 mm(昭和33年)→65 mm(昭和34年)→115 mm(昭和57年)→125mm(平成10年)〕とは辻褄が合わないのだ。

そして「十分再現性」が高いと言っても、個々の洪水で実測値に合うように違う定数を変えてグラフを作れば、それが計算値で再現できるのは当たり前。でも、それは「同じ計算モデルで十分再現性が高い」とは言わない。「定数を変えて辻褄を合わせた」としか言わないのではないか?

森林の保水力(飽和雨量)に差があることを示す数字を入れおいて、そのことを明記も言及もせず、「森林の状況そのものはあまり変わっていない」、しかも「同じ計算モデル」だと言ったが、今になって、大臣が公表した4つの数字はそれがウソだったことを露呈させた。

「一つのウソを隠すために、別のウソをつくと、他でついたウソと辻褄が合わなくなる」と言ったのは、このことだ。

今、布村元課長はどこにいるのだろうか?

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コメント

FRICSの研究顧問のようですね。

投稿: | 2010年11月 3日 (水) 21時46分

情報をありがとうございます。

FRICSの研究顧問って、布村元課長のことですね?

思わず見てみると、顧問は出ていませんが
財団法人河川情報センター 役員名簿
http://www.river.or.jp/gaiyo/koukai/02.html
典型的な天下り公益法人ですね。
最近、国交省所管のこうした組織の役員には、
天下りと共に、学識者が名を連ねているのをよく見かけます。
政・官・財・学・報の癒着のペンタゴンの一角でしょうか。

投稿: まさの | 2010年11月 4日 (木) 01時36分

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アクセスに 深く感謝いたしております。 さて 関さんやまさのさんの追求の結果 データのいい加減さで誤魔化してきたが ついに算出データ自体が無いことを 国土交通省は告白しました。 嘘を嘘で誤魔化してきたが その嘘さえ関先生から下のように具体的な数字を提示されて 適当に誤魔化していたら きちんとしたデータが出てきて これまでの役所が持っていたデータはうそだ! と迫ったら 説明が付かなくなって どうしようもなくなって こんな記事! *************... [続きを読む]

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