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2011年3月29日 (火)

机上の計算委員会(その前提)

昨日、2011年3月28日、「日本学術会議 土木工学・建築学委員会河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会」が乃木坂で開催された。

この分科会の性質を一言で言えば、「治水の前提を問わない分科会」である。「基本高水」自体が「治水のための机上の計算論」である。計算が合い、計算式の理屈が通れば、科学的にはその解(最終的な結論となる基本高水)がなんであれ可能。それが科学であり、科学の限界はそこにある。このことがまず基本だ。

たとえば、今回の未曽有の東北関東大震災で「お・は・し・も」を合言葉に陸前高田市にある350人前後の小学校の小学生全員が助かった話をTVでやっていた。「押さない、走らない(走ったけどね)、喋らない、戻らない」の日ごろの訓練を生かして、津波の大きさを見ながら、避難先を(この避難先では危ないと)冷静に判断してさらなる高台へと移動して難を逃れた。

命を守る(治水)とはそういうこと<もしものときに自衛ができるかどうか>であり、机上の計算とはまったく別ものである。その基本を間違うと、1997年河川法改正で、基本高水を設定する「河川整備基本方針では住民参加を拒絶し、「河川整備計画」で必要とあらば意見を聴く(聞きおく)としたつまり1997年以前の治水のあり方とまったく同じ治水のあり方を踏襲するだけの場となる。

終了後のぶら下がり取材でいくつかの確認質問の後、「今日の議論を聞いていますと、パラメータの設定の仕方でどうにでもなるのが貯留関数法であり、上流には十分な雨量観測計がなくてデータが十分でないという問題もあり、これまでには貯留関数法の問題自体が指摘されてきました。だからこそ、ダムの是非論で基本高水が問題になってきました。人々が分からないこのような議論よりも、「既往最大」という考え方を取った方がいいように思うんですが、どう思われますか?」

と小池委員長に最後に質問をさせていただきました。(もちろん「既往最大でいいじゃないか」という結論を出すことはこの委員会のミッションではない。それは分かった上であえて質問をさせていただいた。)「そちらの方向に行きつつありますね」と一般論をおっしゃられた後、小池委員長が言った言葉「今回の震災を受けて、これまでの想定でいいのかということもあるいは結論の中で触れるかもしれない」というところが、実は重要ではないかと思いました。それはおそらく、未曽有の洪水を想定するという意味ではなく、小学生たちが教えてくれたような身の守り方という基本が抜けていれば、どんなに立派なハコモノやその前提の計算式ができてもダメなのだという意味だと思いたいです。

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