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2011年3月 6日 (日)

ちょっと休憩

自民党政権時代に、いくつもの審議会を掛け持ちし、「御用学者」だと思っていた人に面と向かって「先生は御用学者だと思っていました」と言ってしまったことがある。率直にお話ができる機会が心の準備なく訪れ、腹に違和感を抱えたままオープンマインドでお話することができないと直感したから、最初に腹の中にあったことを吐きだしてしまった。私の失礼をも顧みず、「御用ができる学者でありたいと思っている」と、その先生は言った。

そのときはその意味が分かるようで分からなかったのだが、学者には少なくとも二種類いるのだと、その後考えるようになった。一種類は自分自身に「理念(政治・哲学)」があって科学する人、一種類は権力者の意向に合うよう努力(科学)する人。「理念(政治・哲学)」と科学は関係がない、科学とは純粋なものだと思っている人もいるかもしれない。私の「御用学者」発言を鷹揚に(内心はムッとされたかもしれない)受け止めた学者もそうだったが、その後も、折に触れ、学者の中にはわりと率直に「権力者の意向に合うよう努力(科学)できる人間でありたい」と考えていることを率直に認める人がいることが分かった。そういうあり方がアリだと思っているのだ。悪く言えば「世渡り」する学者。良く言えば、それがその時代に生きる科学者の役割であるという考え方をとっているようだ。中には、その枠を突き抜けてしまったのか、無意識なのか、「それを言って恥ずかしくないのか?自分の脳みそはどこへ言ってしまったのか?」と思わざるをえない発言をする人もいる。事実をねじ曲げる悪意を持てずに理屈抜きで恫喝したり、話を逸らしたりする人もいるようだ。

また、おそらく最初は「権力者の意向に合うよう努力(科学)できる『許容量』『誤差』みたいな範囲で、権力が望む方向へ議論を持っていこうとする」ぐらいの苦しい立ち位置でさまよっていたのが、だんだん、周辺もそうだし、その苦しい立ち位置に慣れて、やがてそれが当たり前になって、本来言うべき発言を行わず、長いものに巻かれて、本来の本当の学者が果たすべき立場から踏み外してしまった人もいるのではないかと思うようになった。ときとして、家族のためだったり、学生のためだったり、自分の地位や名誉や出世のためだったり、惰性だったり、諦めだったり、その理由は色々あるのだろうが、とにかく「権力者」におもねって、それをヨシとする科学(あるいは仕事)がこの国にはあるのだと、思うようになった。大人の世界って嫌だなぁと。

人間のエゴなんて、どの時代もどこの国でも変わらないのだろうから、コペルニクスはさぞかし大変だっただろうな。コペルニクスがいなければ、「コペルニクス」という名前ではない次の科学者が地動説を説いただろう。でも、その次の学者はどこに何時いたのだろうか。確かなことは、その時そこにコペルニクスと同じ発想をする人がすぐに登場しなければ、歴史のページが開くのは、確実にもっと遅かっただろうということだ。

「権力者」が、強いリーダーシップをもった政治と一貫性のある行政のコンビネーションである場合、二種類のうち後者の学者は、安心して意向に合う努力をする。また政治が不安定な場合、その政治に翻弄されることを嫌い、その見極めと一貫性のある行政との間で、心が揺れるのかもしれない。政官業と単に癒着する学者はここではもちろん問題外だけど、そういう人も中にはいるのかもしれない。

科学者が自らの理念(政治・哲学)に基づいて議論を闘わせ、最適化された答えを見出していく規範を見せなければ、日本は次の時代へ進めないのではないか。対立を恐れることなく理念と事実で議論できる科学者が、社会を変えるのではないか。そしてそれが当たり前のこととしてできる学者はそうはおらず、その当たり前に向かって精進できる強さは、人からは見えずく、評価もされにくい。それは多分、政治家も同じで、マスコミも同じ。

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コメント

「御用ができる学者でありたいと思っている」とは、印象的。このくらいの開き直りはむしろすがすがしい。が、彼が教育者も兼ねている場合、弟子は確実にダメになる。
多くの日本人は、「「権力者」におもねって、それをヨシとする科学」の存在を、今回の原子力災害ではいやというほど認識したのではないか。
日本の高等教育、学術界は大丈夫か心配になる。

投稿: | 2011年4月 7日 (木) 03時33分

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