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2011年4月27日 (水)

疑惑データ未提出で、机上論続行

入り口論はともかく、26日の会議の内容をざっと書くと

最も重要な 利根川(八斗島基準点)の基本高水インチキ疑惑データは、“著作権”を理由にまだ出ない。国交省が日本学術会議への提出を調整という名で抱え込んでいる。

原発事故被害情報を東電・政府が小出し後出しにしているのとよく似ている。

(そもそも、治水という公益情報で“著作権”が生じるような仕事をコンサルにさせる事態が「ありえない!」と叫びたいが)

ひょっとしたらインチキがバレル前に、新しい算出方法を出して、ウヤムヤにしようという狙いではないかと思えるが、それはさておき、日本学術会議(のワーキンググループ)がこの間、3つの点(1,2,3)から国交省にイチャモンをつけたとのことで、

26日の会議は、それに対する回答を国交省が説明しにきた形となった。

1と2の点に留意して「ケース1」、
3点目に留意して「ケース2」のやり方で国交省が試し、

二つの算出方法を比較してケース2の方が具合がよいのでケース2のやり方でいきます、という説明が、国交省から行われ、河川工学や水文学の素人にとっては意味不明な質疑が委員達と国交省の間で10分ほど行われてヨシとなった(普通の審議会風)。

しかし、そのヨシとなった方法は、単に旧来型の貯留関数法による計算と大差ない。一定の時間が経つと、降雨が土にしみこまずに川に100%流出しますという前提だ。

そんなやり方でいいのか終了後に委員長に尋ねたが、正直なところ、サッパリ分からない。

研究の先端性、計算式の頑健性という理念的な抽象論は理解するが、水文学者と河川工学者しか分からない専門用語のオンパレードで、毎回、取材・傍聴していても分からない。

つまるところ、この会議の行方は、八ツ場ダムが必要な基本高水が算出されるかどうかというところが注目されることになるのだが、東日本震災後の今、そんなことをやっている場合なのか?

本来は、堤防の状態はいまどうなのか。どこの堤防を優先的に補強しなければならないのかという治水のあり方に変わって行かなければならないのではないか。堤防の安全度について、情報共有を自治体を中心に行っているべきときではないのか。そうした議論が一切起きない研究者の会議は危険ではないのか?ダム神話、堤防神話に飼い慣らされた住民は、いざとなったら、真っ先に被害に会うのではないか。

自分の身はどうやったら守れるのか。国や自治体を通して、一人ひとりの国民に考えさせるにはどうすればいいのか。本来はそういう議論へどう誘導し、「基本高水」という古い治水のあり方を転換させることが、治水にかかわる研究者の役割なのではないだろうか。

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コメント

「(そもそも、治水という公益情報で“著作権”が生じるような仕事をコンサルにさせる事態が「ありえない!」と叫びたいが)」について、私もこの言い分はおかしいと感じる。
議事録によれば、公開できないのは知的財産権の問題だとある。ならば権利者はだれか。権利者と国交省との契約はどうなっているのか。権利者がその契約に基づいて公開を拒否しているのか。まず、議論の場には(行政文書である)契約書が提示されるべきだ。
第三者が行政文書の情報公開請求をして、実はそんな契約ではなかった、あるいは、そもそもそんな契約はなかった、などということが分かった場合、「学術会議の委員は国交省のいいなりだ」、という、ある意味今の時流に合った記事を書かれるリスクがある。
委員の先生方は、学術会議の名前で活動している以上、学術会議の権威を失墜させるリスクを負っている。先生方、そして学術会議は脇が甘すぎる。

投稿: | 2011年4月28日 (木) 02時19分

堤防についてのケアは、国土交通省河川局がしっかりやっています。詳細は、下記資料をご参照ください。
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2011e9cde5f13c02bbf72510f558a0221337581e8cb22.html
【資料1-1】東日本大震災における被害と対応状況(pdf,9.0MB)
【資料1-2】河川堤防の被災状況と復旧状況(pdf,18.0MB)

こういう危機対応には、河川局の素晴らしい能力がいかんなく発揮されている印象です。
原子力政策とも共通しますが、平時に経済性を加味しながら防災計画を立てることがいかに難しいかを感じます。そもそもこの資料も、「だからスーパー堤防が必要だ」と結論づけるためのものです。あの壮大なスーパー堤防計画は、経済性と実現可能性を考慮した見直し作業を、この委員会でしているところです。

投稿: | 2011年5月 4日 (水) 10時18分

コメントありがとうございます。この著作権問題は5月11日の会議で一定程度クリアされました。検証する委員だけ「守秘義務」をかけて公開するというものです。たったそれだけの判断に何ヶ月かかっているか。時間をかけて情報を秘匿して問題をやり過ごそうとする。情報隠しのやり方は東電・政府とまったく同じです。(毎度、コメントに気づくのが遅くなりすみませんでした)

投稿: まさの | 2011年5月14日 (土) 12時07分

ありがとうございます。ご指摘の通り、当日の議事要旨には下記の通り書いてありました。
それだけのことを決めるのに、いったいどれだけの時間をかけたのか。まさに無能ですね。
現行モデルについてはCommonMP 上でプログラムが提供される準備が整った。現行モデルおよび(財)国土センター流出解析シミュレータのソースコードについては著作物であることを理解し、解析を担当する分科会委員は、分科会の目的によってのみ使用するという誓約書に署名した上で利用することとする。また、CommonMP プログラムには流域分割図が含まれるため、流域分割図の利用に関する誓約書も提出することとする。

投稿: | 2011年6月23日 (木) 02時49分

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