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2011年6月30日 (木)

治水計画に出てくる言葉(3で終わり)

国土交通省関東地方整備局が、6月29日に「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」第6回幹事会 を開催しました。

治水のあり方シフト研究会にも加わってもらった嶋津暉之さん(元東京都環境科学研究所研究員)からコメントが送られてきたので、許可をいただき、転載します。

少々難しいと思うので2つの解説をつけました。(1)の解説と(2)の解説を念頭に読んでいただければと思います。

嶋津暉之さんコメント
“今日の会議では、基本高水流量に関する日本学術会議の回答案の説明が行われ、八ッ場ダムの治水面の検証の前提となる河川整備計画レベルの目標流量が示されました。
河川整備計画レベルの目標流量は17000㎥/秒(八斗島)という数字が示されました。
目標流量の話はわかりづらいのですが、この数字の意味を少し述べておきます。

学術会議が妥当と判断した基本高水流量の数字(実際は全く妥当ではありませんが)は、昭和22年カスリーン台風洪水の再来流量が21100㎥/秒、200年に1回の流量が22200㎥/秒ですから、それより4000~5000㎥/秒小さい数字です。

17000㎥/秒の根拠として示されたのは戦後最大流量の実績値(カスリーン台風洪水の氾濫を含まない数字)でした。これはおよそ70~80年に1回に相当する流量という話でした。

しかし、利根川河川整備計画案を検討する有識者会議(検討作業は2006年12月からはじまり、その後中断された)で示された関東地方整備局の案よりかなり大きな数字です。

当時の局案では、整備計画の目標流量は50年に1回の洪水流量が設定され、ダム等による洪水調節後の洪水ピーク流量は13000m3/秒でした(河道対応流量)。http://www.ktr.mlit.go.jp/tonejo/seibi/yushikisyakaigi/vol1_shiryou/shiryou1.pdfの10ページ)

ダム等による洪水調節量が何m3/秒になっていたかは不明ですが、当時の局案では、上流の既設ダム群、八ッ場ダム、下久保ダムの治水容量増強、烏川の河道内調節地による洪水調節が考えられていました。

既設ダム群と八ッ場ダムは基本高水流量22000㎥/秒に対する削減効果がそれぞれ1000㎥/秒、600㎥/秒とされていますので、下久保ダムの治水容量増強、烏川の河道内調節地を合わせても削減効果は2000m3/秒程度で、

当時の局案による整備計画の目標流量は15000㎥/秒程度であったと推定されます。(http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000009442.pdfの4ページ)

したがって、今回の数字はこれを2000㎥/秒程度引き上げたものになります。

17000㎥/秒と河道対応流量13000㎥/秒の差、4000㎥/秒をどのように埋める河川整備計画にするのか、わかりませんが、この引き上げは八ッ場ダムが治水面で必要だということは言いやすくするためのものであると考えられます。

予断なき検証と言いながら、関東地方整備局は実際には利水面でも治水面でも八ッ場ダムが最適案になる、形だけの検証作業を進めつつあるのです。“

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