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2011年6月24日 (金)

福一原発シンポ 自主ボツ記事など

6月11日に開催された「福島第一原発事故を通して、世界のエネルギー環境問題を考える」シンポジウムを取材したが、別の記事 とぶつかって(1人で2本書いてしまった)、どちらか一つに!と言われ、より多くの目に触れた以下を落として、より注目度の少ない方を載せてもらった。しかし、せっかく書いたので、その自主ボツ記事がパソコンの中で腐るかわりに、こちらに載せてしまうことにします。

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6人の論客、日弁連シンポジウムで原発と再生可能エネを語る

6月11日、シンポジウム「福島第一原子力発電所の事故を通して、世界のエネルギー・環境問題を考える」を日本弁護士連合会等が開催した。原発を続けるか、再生可能エネルギーは代替可能かをテーマに6人の論客が討論した。

トップバッターの後藤政志氏(元東芝原子炉格納容器設計技師)は「放射能を閉じ込めるはずの格納容器を、爆発するからとベントを行った。おかしいと思いませんか。格納容器の自殺だ。未だにデータに基づく事故解析はできていない」と厳しい現状認識を示した。

これに対し、地球温暖化、ピークオイル、エネルギー安全保障の問題を同時解決できる手段は原発であり、再生可能エネルギーは規模や経済性に問題があると従来型の原発推進派の立場を明確にしたのは元日立製作所原子力事業部長の林勉氏だ。「原発には、自己制御性と放射能の封じ込める五重の壁があるが、それでも過酷事故が起きると想定されている。その際の最低限の緊急安全対策は、電源喪失を起こさず、冷却機能を失われないことだ。今これ(事故)があったからといってギブアップというのはとんでもない。乗り越えて原子力を推進していかなければならない」と同氏が言い切ると会場には失笑が起きた。

これに、「あたかも事故がなかったようだ」と噛みついたのはNPO法人環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長だ。「きちんとした人選で安全基準を見直す体制を作ってから安全基準を見直すという二段階の見直が必要だ。この安全規制で、老朽化した日本の原発は早ければ2012年から2020年にも全廃となりえる」という認識を示した。「太陽光は高いというのは10年前の古いデータ。原子力の49円/kWhの論拠を情報公開しても黒塗り。設置許可申請書に記載された発電単価は19.7円だ」「世界の原発も衰退期に入り、もはやリスクの高い原発に日本以外の金融機関は融資しない」と国内外の原子力事業を紹介した。また、デンマークで予防的な土地利用計画で紛争を避けながら風力発電を推進する等、政策の重要性を訴えた。

もう一人の推進派である小野章昌・元三井物産原子燃料部長は、飯田氏に反論するとして、自然エネは倍々ゲームでは伸びない、地域を広げても不安定性は残る、コストは永遠に下がらないなどの8点を神話と呼んで反証した。しかし、全量固定価格買い取り制度(FIT)は万能ではないと言う一方で、電力自由化で自然エネ発電が増えるとの“神話”を否定するために「欧州で自然エネ発電が増えたのはFITのおかげ」との矛盾もはらむ。また、省エネの手段を電化に特定した上で、「省エネでは電力は減らない」と当たり前の前提で導き出された結論もあった。さらに石油欠乏の時代には原発依存度は70%になるという説を打ち出し、「どのように可能か」との質問が出ると「100基ぐらい認めてもらえばできる」と大まじめに回答した。

中立派と自らを称した松村敏弘・東京大学社会科学研究所教授は、知恵を集める「スマートコミュニティ」に期待すると言う。すなわち、再生可能エネルギーの導入価格を下げ、特性の違う電源を最適に組み合わせる発想で、地域分散に伴って必要となる相当な系統の導入コストを下げて後押しすることが重要だと述べた。ドイツの脱原発政策を紹介した千葉恒久・弁護士は「2010年にシュレーダー首相が脱原発を掲げたときに『原発はドイツ社会に受け入れられなかった』と述べた。今回のメルケル首相の決定は、倫理委員会に諮っての決定だったが、その判断基準は安全か危険ではない。持続可能性と我々は責任を持てるのかということ」との見解を共有した。

推進反対の両論はぶつかりあったが、事故後に変わった考え方について司会に問われた林氏が「事故が起きる確率は非常に小さいから考えなくていいという立場を取っていたことは間違いだった」と率直に認める場面もあった。各論客の締めくくりコメントで後藤氏は、「原発は安定供給の大原則でも崩れた。日本で地震は多発する。女川原発では余震によってさえ設計条件を越え、損傷の危険性があるから止めた。中越地震で柏崎では2年間止めて点検した。自然エネは安定供給ができないと言うが、原子力は自然エネとは違い、大規模で不安定だ。自然災害、事故、テロという人為を含めて総合的に考える必要がある」と結んだ。松村氏が「コストを無視する議論はありえないが、コストがかるからダメだということはない。コストがかかっても理念で選択することがあってもいいが、それでもコスト削減は必要だ」と述べた。飯田氏による「ここで変われなかったらいつ変われるのか」との問いかけと共に多くの参加者の耳に残った問いかけではないか。
(ジャーナリスト まさのあつこ)
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なお、この記事を会場で書くにあたっては、E-Waveから来ていた鷹取さんの延長コードを図々しく借りました(御礼)。過去の記録画像から最新画像まで、さまざま興味深い動画が掲載されています。→ http://eritokyo.jp/independent/aoyama-column1.htm

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