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2011年8月18日 (木)

「脱ブラックボックス河川行政」判決確定

すでにニュースで流れたように、国は控訴をしなかった。
しかも控訴期限8月16日を待たず、15日の朝に次のように国交大臣が発表した。

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2011年8月15日(月) 10:45 ~ 10:54
国土交通省会見室 大畠章宏 大臣

http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin1100815.html
利根川流域分割図等の情報公開請求訴訟判決への対応についてでございます。
8月2日に東京地方裁判所において、利根川流域分割図等の情報を開示しなさいという判決が言い渡されました。
これまで流域分割図等については、これを開示すると、地域住民を含めて不当に国民の間に混乱を生じさせ、あるいは特定の者に不当な利益を与えるおそれがあるとして、非開示としてまいりました。
しかしながら、今回の判決を受けて、改めて情報公開法の趣旨を踏まえ、関係行政機関ともいろいろと協議を重ねてまいりましたが、これらの図面を開示しても、必ずしも不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるとはいえないという判断をし、さらに官房長官及び法務大臣の御理解をいただいた上で、明日16日の控訴期限を待たずに、控訴をしないことといたしました。
これを踏まえて、国土交通省としては、判決に従い、速やかにこれらの図面を開示する所存でございます。
なお、私も図面を見ましたが、あの図面だけで、いろいろと利用して云々という可能性は非常に低いのではないかという感じを持ちましたので、以上のような判断に至ったところでございます。
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そんなわけで、ちゃぶ台をひっくり返しに行かずに済んだが、判決から3日後の国会では大臣は次のように答弁していた。

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2011年8月5日参議院決算委員会議事録より抜粋。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0116/main.html 

○大河原雅子君 
 (略)八月の二日に東京地方裁判所で、八ツ場ダムの治水上の必要性の有無を検証する上で欠かせない利根川流域分割図の情報公開請求訴訟、その判決がございました。国が直ちにこれを開示すべきだという原告の全面勝訴の判決であったわけですが、大畠大臣、このことについて、直ちに開示をしていただきたい、まして控訴などということはお考えになっていないと思いますが、御見解を伺います。
 
○国務大臣(大畠章宏君) 大河原議員の御質問にお答えを申し上げます。
 ただいまの件でございますが、御指摘のように、今回の裁判においては国の主張というものが裁判所の十分な理解を得られませんでした。今後の方針については、現在、関係機関と協議を進めているところでありまして、引き続き判決の内容等を十分検討し、今後のことについては決定をしたいと思います。
(略)
○国務大臣(大畠章宏君) この問題は、八ツ場ダムに限らずほかのダム等々とも連系しているわけでありまして、そういう観点から、例えば私も県会議員時代にどこを道路が通るんだろうかと、こういうことに非常に関心を持つ方々もおられるのも事実であります。そういうことを開示しますと様々な動きをする方もおられますので、なかなかここのところは全部を、計画関係を開示するというのが難しいということも是非現実問題として御理解をいただきたいと思います。
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東京地裁判決(定塚誠裁判長)は「被告が懸念するような土地の先行買収騒ぎが生じるほどの確度で特定できるとは到底考えられない」と、その主張を覆すものだった。大臣は国会答弁の時点では、官僚が書いた答弁を棒読みし、自分の目で判決を読んでいなかったと思われる。

公共事業地を巡って、一部の人<権力者>だけが情報を事前に入手して、不当に富を築く話はどの地域にも転がっている。大畠大臣も県議時代にそんなケースに遭遇したことがあるのだろう。公共事業地の土地取引には、公正性と透明性が求められるべきだが、さまざまな屁理屈で、それ自体がブラックボックスに入れられてきた。

本題はここからだ。

今回も、国交省はその屁理屈を使って「基本高水」の計算根拠をブラックボックスにいれようとした。しかし、今回の図面は、幸いにも、「土地取引」による混乱など起きようもない図面であることを、裁判官達が見抜いた。見抜けていなければこの判決も、判決確定もなかった。(行政訴訟において、裁判官が、如何に易々と行政の主張を鵜呑みにするかは、私自身、原告として経験済みなので、当たり前の「見抜き」でも感動する)

それにより、「基本高水」計算の根拠は、白日のもとに第三者によって検証されるべき行政文書であることが確定したと言える。

国民のための河川行政にとって、大きな一歩だ。基本高水の計算根拠がいかにいい加減なものかは4回行った「カワシフ」検証によっても明らかになってきた。基本高水を乗り越えて、「基本高水」によるダム事業のための河川行政から、命を守るための治水事業へとシフトする大きな一歩になったように思う。

この黒塗り取消訴訟を提起した高橋利明弁護士と、判決を書いた定塚誠裁判長。この二人は八ツ場ダムを巡る「因縁」ともいうべき関係を持っている。そのことは別の機会に書くとして、とにかく、基本高水のブラックブラックボックスをこじ開けたことで、「基本高水」によるダム事業のための河川行政から、命を守るための治水事業へとシフトする大きな一歩になったこと。その一歩をこの二人が生み出したことを、ここでは感謝を込めて記録しておきたいと思います。おめでとうございます。

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