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2011年9月14日 (水)

「八ツ場ダム」何と比べて有利なのか

「法治国家」でありながら、実際は、
「官僚独裁」が少なくとも河川ムラでは続いている。
昨日9月13日はそのことがまた証明されたに過ぎない。

八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場が開催され
八ツ場ダムが一番安い!早い!という牛丼チェーンのような結論が導かれたということで、今までになくTV(動画)を含めておびただしい報道がなされた(最下記)。

しかし、肝心なことは報じられていない。

検証の本質は、一体、国交省が何と比べて優位と結論したかである。

たとえば、利水。八ツ場ダムの代替案としての比較対象
静岡県の富士川から導水管で水を引っ張ってくる!とか
新潟県の信濃川から導水管で水を引っ張ってくるとかだったのだ。

そんなものと比べれば、八ツ場ダムが一番有利に決まっている

水が余って、東京・埼玉以外はドラマチックに人口も減り始めている。
八ツ場ダムの完成時期には東京・埼玉でも人口が減り
古いタイプのトイレや洗濯機なども節水型にリプレイスされ
水需要は収縮することがほぼ間違いないのにも関わらず、
水がもっと要る!を前提に
バカバカしい代替案と比較したに過ぎない。

水はもう、現状維持でいいんじゃない?という
今どきの民主国家らしいNo Actionが代替案に入りさえすれば、
No Actionが一番安い。

でも、そういう先進諸国並の選択肢は入らない検証方法が、
大臣の諮問機関下記1で説明)により、指定されていた。
一都五県官僚(下記2に相当)ですら、なぜこんな非現実的な代替案を出してくるのか、
検証のための検証ではないかと検証のやり方を批判していた。

ただ、彼ら一都五県の意見は、だから見直しなんかさっさと止めて早期着工しろということであり、自分たちの住民が果たして「もっと水を!」と考えているのかどうかは一切、見直しをしていない。

治水も同様、バカバカしい代替案との比較だった。

政権交代後、「八ツ場ダムを中止する」という政治決断が下されて以来、
「ムラ」はその決断をいかに自分たちのアジトに引き込んで
ボコボコに叩きつぶすかに腐心してきた。
工夫したのは、それがいかにそのようなヤクザなやり方をしているかに
見えないようにやるかだ。

手がこんだやり方だ。

1. 大臣に私的諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」非公開で開かせた。ダムを推進してきた河川工学者と専門外の有識者だけからなる。

当然、ダムを最も有利という答えがだせるスキーム(いままで主張してきたダム必要性を確認することを前提として、他の代替案と比較するだけのスキーム)を、官僚のシナリオに沿って作る。ヤクザな言い方にたとえればダム推進の元締めだ。

普通、検証と言えば、ダムに批判的な市民からボコボコに批判してもらっても、その批判に耐えうることができるダム事業だけが残る、ことをイメージして検証スキームを考えるべきだが、官僚独裁国家では、そんな民主主義国家が行うようスキームは作らないというわけだ。

ここまでくればこっち(国交省)のもの、とばかり、
自分のシマに持ち込んで好き放題やってきた。

2.元締めが作ったスキームに沿って、全国各地で各ダム事業ごとに、ダム事業者が関係自治体を集めて検証会議を開き、上記で示したスキームに従ってダム事業者が行う検証に対して、意見を言わせた。あくまで意見を言わせるだけであって、ダム事業者(国である場合も、自治体である場合も)が主体であり、主従で言えば関係自治体は「従」でしかない。ヤクザな言い方でたとえればダム推進のチンピラだ。

昨日あった会議は、このチンピラ会議の方だ。
次のステップは、カタギの人にも話をきいておこうというもの。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000044335.pdf
それが終わると、元締めのところに、報告が行くが
元締めは自分たちが作ったスキーム通りに検証が行われているか
どうかをチェックして、最後にその意見を大臣が聞いて答えを出す。

仁義なき戦いをする人も真っ青なアンタッチャブルな世界が
河川ムラだ。こうなることは2年前から予想していたので驚かない。
こうなることを伝えようとしてきたつもりだが、その警告がきちんと
受け止められなかったことが悲しい。

八ッ場 ダム建設が有利 国交省、コストなど評価(東京新聞2011年9月13日 夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011091302000188.html
八ツ場ダム建設が最も有利 国交省整備局が総合評価(共同通信2011/09/13 11:10)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011091301000243.html
八ツ場ダム建設「最も有利」=関係自治体に報告案―国交省関東地整局(朝日新聞=時事通信社2011年9月13日11時6分)
http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201109130026.html
八ツ場ダム案、最高評価 国交省検証(朝日新聞2011年9月13日11時27分)
http://www.asahi.com/politics/update/0913/TKY201109130172.html
八ッ場ダム:「検討の場」初会合 流域首長、政府を批判(毎日新聞 2011年9月13日11時50分)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110913k0000e040055000c.html 
八ツ場ダム建設が最も効果的 1都5県の知事が早期再開要請
(産経ニュース2011.9.13 12:31)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110913/fnc11091312330006-n1.htm
八ツ場ダム、治水・利水に「最も有利」 地方整備局
建設続行か、民主の判断焦点に(日経新聞2011/9/13 12:02)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819490E3E1E2E2938DE3E1E2EBE0E2E3E39790E3E2E2E2
国交省整備局「八ッ場ダムは建設が最良」と結論(読売新聞2011年9月13日12時33分 )
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110913-OYT1T00502.htm?from=rss&ref=ymed

動画
八ッ場「建設が有利」、脱ダムに再び揺れ
http://www.mbs.jp/news/jnn_4825576_zen.shtml
周辺知事らが八ッ場ダムの早期着工を求める(テレビ朝日)
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210913016.html 
八ッ場ダム検討会、「建設が優位」(TBS NEWS13日11:51)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4825400.html 
八ッ場ダム評価“建設が優位”(NHKニュース9月13日 13時12分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110913/t10015568851000.html 

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コメント

初めてコメントさせて頂きます。

ダム建設に関しては、無駄な事だからやめればいいのに〜、ぐらいの認識しかない者です。

ですが、原発事故以降、官僚への不信が深まり、その流れで今回のダム建設か、のニュースについて調べたくなりました。ニュースを聞いたとき、誰が検証したの、他の方法とは何ぞや、というのがとっさに浮かんだ疑問です。案の定、検証したのは国交省、他の方法は報道されていない、という状況。他の方法が知りたく検索しているうちにこのサイトにたどり着きました。他の方法を知ってあぜん、、、。こういうばかばかしいことが平気で行われてしまう、官僚風土を何とかすることはできないのでしょうか、、。

難しいけれど、面白そうなサイトですね。
私も、勉強しなければならない、と思いました。
これからも勉強しによらせてもらいます。

投稿: ゲンキ | 2011年9月17日 (土) 02時53分

ゲンキさん、コメントありがとうございます。また是非、感想をお寄せください~。

投稿: まさの | 2011年9月17日 (土) 23時45分

本件に学術会議が重大な責任を負っていることも、強調されるべきと思います。「八ッ場ダムが治水の目標に合致した設備である」ことを学術会議が学術的に検証したかのごとく報道され、また広報されています。
しかし実際には、河川局の示した流量が妥当な範囲にあるかを、現在の学術的な知識から検証したに過ぎません。その検証ですら、たとえば河川局の用意した降雨データ、氾濫データの妥当性は検証の対象としないなど、非常に限定された内容です。学術論文ならば、査読者に却下される水準です。
学術会議は本質的な仕事(高水流量の妥当性の検証)をしなかった。にも関わらず、河川局の計画に権威を与えた。これは学術界の権威を失墜させる行為といえます。
ただ、土木工学には社会からの信頼がないので何をしても失墜されるものは何もなく、全く問題ない、というのが事実です。

投稿: | 2011年9月24日 (土) 17時23分

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