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2011年11月 8日 (火)

意見陳述(その1)と「こうばる」

先日、「こうばる」なのに「ごうばる」と書いてしまったので訂正してユニークな看板の写真を載せておきました。ぜひ見てください。

さて、身体が2つない悩みを多少なりとも解消するため、八ツ場ダム検証への意見陳述(←このページの下の方)へ行ったことが分っている方に、陳述内容を転載させてくださいとお願いしてゲットした。そのままカット&ペーストでご紹介させていただきます。複数あるので1日3回更新されるようにセットします。覗きに来てください。

河登一郎さんの陳述

はじめに:検証の目的と方法について:
(1)今般、国交省関東地域整備局が行った検証の目的は、日本の財政が直面している厳しい状況に、東日本大震災と福島原発事故が重なった国難ともいうべき危機に際して、「なるべくダムに頼らない治水への政策転換」という有識者会議の「中間とりまとめ」に明記された理念を予断なしに追求することであるべきです。

(2) そのためには、ダム推進という結論を導くための検証であってはなりません。
これだけの巨大事業ですから内容は多岐にわたります。不充分な理解で賛否を声高に叫んでいるケースも見受けます。民主主義の原則に従って、情報は原則として完全公開し、公開の場で充分な時間をかけて討議し、なるべく多くの国民、政治家、マスコミが少しでも正しい理解を共有して判断すべきだと考えます。

(3) 今般、パブリックコメント募集、国民の意見聴取という方法で広く民意を聞く努力をされたことは評価します。しかし、これだけ論点が多岐にわたる大事業でパブコメに1ヶ月以内で、しかも(なるべく)200字以内で充分な意見が期待できるでしょうか。 意見聴取では10月20日すぎに発表して申し込み締め切りが10月29日、400字以内。公聴会/パブコメを通じて「国民の英知を求める」という謙虚な姿勢が行政には欠けていませんか。

(4)「ダムに頼らない政策」を検証する原点は、前提条件の検証です。治水については基準地点での基本高水の妥当性であり、利水については水需給計画の正確さにつきます。以下、大きい項目ごとに意見を述べます。

1.治水: 基本高水の妥当性に関しては、
(1)多くの学者や専門家が指摘し、国交省の依頼を受けた日本学術会議も事実上認めているように、実績流量と基本高水の乖離が大き過ぎます。

(2)下記グラフを見れば過去65年の実績と比較して約2倍もの基本高水/目標水量は文字通り雲の上、机の上の数字であることは一目瞭然です。
(グラフ:別紙=別送します)

(3) 国交省は、かかる事実に関連する資料の多くを「情報不開示」としてきましたが、本年6月の東京地裁判決では「非開示は違法、開示せよ」との判決が下りました。更に昨年10月の国会質問で、国交省職員の「虚偽有印公文書作成・行使」が明らかになり当該職員が告発を受けたことも重い事実です。

2.利水: 水需給予測に関しては、
(1)東京都の有名なグラフを示します。東京都はその後も需要予測を見直していますが、下方修正が必要になるので公表していません。情報隠しの一環です。東京都以外の各県の水需要予測も実態に比べて過大です。
(グラフ:別紙=別送します)
(2)暫定水利権:埼玉県その他には「暫定水利権」という若干特殊な問題があります。埼玉県の水利権は、夏場の安定した農業用水転用水利権を、冬場は「その転用だから<暫定>」とされています。一方、冬場の取水量は夏場の3割と激減しますので、安定的に取水は継続しています。即ち、事実上安定しているものを、<暫定では不安>という知事の責任感を利用してダムへの参加を強要していると私は思っています。

3.「費用対効果」には地滑り/岩盤崩落/環境破壊という負の便益も算入すべきです
(1)国交省は「費用対効果」の判定基準たるB/C(便益/費用)に関していろいろな前提条件の下で1.0を大幅に超えるプラスを算出し、便益>経費と喧伝しています。

(2)私はそれぞれの資料を詳細に検証したわけではありませんが、1例だけ挙げると「洪水回避」という便益について、1回の大洪水が上流、中流、下流で数回発生するという物理的にありえない前提に基づいています。こんな茶番を公表して良いのですか。

(3)便益にはマイナスの便益も算入せねば正確な比較ではありません。環境破壊/地滑り/岩盤崩落など巨大なマイナス便益も衆知を集めて公平に算入してから比較すべきです。便益トータルとしてマイナスの方が大きいのではないかと思っています。

(4)アメリカでは、ダムの弊害への反省から、撤去が始まっていると聞いています。

4.完成時期と総工事費の増額:
(1)推進議連も都県も、「予定通り2015年までに完成せよ」と声高に主張しています。

(2)2003年に完成時期が2010年から2015年に延期された際、下流都県から「2010年完成が八ッ場ダム参画の判断材料になっている(ので)遅れた場合、ダム参加が不要になっていることも想定・・・」と早期完成を強く要請しています。

(3)しかし、国交相は既に完成時期は3年遅れて2018年になると公表していますし、私たちが(仮に工事再開の場合の)工程を現実をふまえて試算してみると、まず付け替え鉄道用地買収交渉(難航)→鉄道・駅舎建設→付け替え国道建設→現鉄道・現国道廃止→本体工事で今後10年はかかる(つまり完成は2020年以降になる)可能性が高いと思います。「2015年までに完成せよ」は事実上意味がありません。参画の根拠だった完成予定が10年遅れるのであれば、下流都県として原点から見直すべきではないでしょうか。

(4)建設費総額も大幅増額が予想されます。国交省自身は約280億円増額を示唆していますが、水力発電の減少を東電に対して補償する「減電補償」が数百億円と予想されますので、起債金利を含めて更に巨額の税金が垂れ流されることになります。
この他、地元自治体には維持管理費が毎年かかり自治体財政を圧迫します。

今からでも遅くありません、ダム本体を止めるだけでも充分意味はあります。関東地整のスタッフに申し上げたい:皆さんは国交省の官僚である以前に日本国民です。将来の世代により良い日本を残すことにできる範囲でご協力願いたい。

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