« 12月13日取材メモ | トップページ | 八ツ場ダム政策決定者達への問題提示(治水) »

2011年12月16日 (金)

八ツ場ダム政策決定者達への問題提示(利水)

民主党の国土交通部門会議が出した意見書と八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟が出した意見書への回答をこの会見後に入手しました。たったこれだけの文書が双方向にやり取りされることで、非常に粗っぽい国交省の仕事が浮かび上がりました。

問題は数多ありますが、「必要か必要でないか」つまるところはその1点にかかっています。可能な限り公平に分配すべき税金(借金)を使った「公共事業」として辻褄が合うか、個々の取材では間に合わないと思い、再度、提示しておくことにしました。重要事項なので公開させていただきますとお伝えしています。(以下に張り付けた個々のデータはクリックすると大きく見えます。こちらhttp://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai20kai/dai20kai_siryou4.pdfからの切り張りですが、このPDFデータは大きく(660ページ)ダウンロードに時間がかかりますのでご注意ください)

~~~~~~~~~~~~~~

国土交通大臣 前田武志様
民主党政調会長 前原誠司様
八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟会長 川内博史様

2011年12月15日
まさのあつこ(ジャーナリスト)

国交省回答についての問題<第一報 利水について>

部門意見と議員連盟等意見に対する国土交通省の考え方(2011年12月12日)を拝見しましたが、その回答には大臣諮問および中間とりまとめと整合していない点が散見されます。
その一つとして、「部門意見(12水需給計画の点検)」「議連等意見(2利水の問題点について)」に対する国交省の回答に見受けられる問題点を指摘させていただきます。

国交省は「検討主体は、利水参画者に対し、ダム事業参画継続の意思があるか、開発量として何㎥/sが必要か、また、必要に応じ、利水参画者において水需給計画の点検・確認を行うよう要請する。その上で、検討主体において、(略)必要量の算出が妥当に行われているかを確認する」と回答しています(略されたところに、「上水であれば人口動態の推計など」とありましたが)。これは中間とりまとめ第8章「利水等の観点からの検討」における単なる「点検」であり、第9章「総合的な評価の考え方」に基づく総合評価は行われていないことが見落とされています。有識者会議による見落としには原因があります。
関東地方整備局における10回に渡る「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討」の場では、水需給計画の点検・確認に使った資料の概要しか提示されていません。たった一回開催された「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」では6~7キロある読み切れるわけがない大量の資料が一挙に提示されました。その一つが660頁に渡る資料4「八ッ場ダム建設事業への利水参画継続の意思の確認等について(照会)」に対する関係利水者の回答」(http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai20kai/dai20kai_siryou4.pdf)です。

この資料によれば(水需給計画が今回の検証のために新たに行ったものではない問題は横に置くにしても)、水需給計画と人口動態の推計を単に「点検・確認」しただけです。その後に最も重要な検討主体による評価が行われていません。「第9章 総合的な評価の考え方」では「新規利水、流水の正常な機能の維持等についても、洪水調節における総合評価の考え方と同様に目的別の総合評価を行う」とされています。点検の結果、新たな水需要があるかどうかという総合評価が重要であるにもかかわらず、それが行われていません。
「ダムにできるだけたよらない」観点から総合評価(いわば、常識的な判断)をすれば、利水の観点からは「ダムにたよる必要がない」と総合評価されることが妥当であろうと考えられる事業者資料がありますので、それを抜粋します。

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」12月1日資料4「八ッ場ダム建設事業への利水参画継続の意思の確認等について(照会)」に対する関係利水者の回答」(何故か肝心のデータはオンライン上では見えず、ダウンロードすると黒字に白文字でみえにくく表示されます)(http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai20kai/dai20kai_siryou4.pdf

●埼玉県からの提出資料(P.1~94)の一部です。「点検」(8章)の後、「総合評価」(9章)をした場合、「ダムが必要である」と言えるでしょうか。( )内は当方のコメント

P.14 平成19年12月「埼玉県長期水需給の見通し」

Photo

P.15

Photo_2

P.16
Photo_3
p.36進む雨水利用

Photo_4

P.55 埼玉人口  (なぜか重要なデータはオンラインで見えず、ダウンロードすると真っ黒です。是非お確かめ下さい。↓)

Photo_5


●東京都からの提出資料(P.95~114)の一部です。「点検」(8章)の後、「総合評価」(9章)をした場合、「ダムが必要である」と言えるでしょうか。

P.105 給水人口

Photo_6

P.108

Photo_7

●千葉県からの提出資料(P.115~216)の一部です。「点検」(8章)の後、「総合評価」(9章)をした場合、「ダムが必要である」と言えるでしょうか。

P.117(黒塗り資料です。何が隠されているのでしょうか?)

P.124 (この予測、非科学的ではないでしょうか?)
Photo_8
P.70 P.127~128(余談メモですが、埼玉県も千葉県も八ツ場ダムには河川法に根拠がないことをご存じです)

P.147

Photo_9

● 茨城県からの提出資料(P.217~271)の一部です。「点検」(8章)の後、「総合評価」(9章)をした場合、「ダムが必要である」と言えるでしょうか。(人口が増え、一人あたりの給水も増える・・・点検を鵜呑みにしただけでは評価とは言えないのではないでしょうか?)

P.238

Photo_10
Photo_11

Photo_12

● 群馬県からの提出資料として(P.273~660)以下の1頁以外は、なぜか千葉県の工業用水水道データが黒いデータ(オンラインでは見えないデータ)で挿入されています。

群馬県データは以下の1頁のみです。
P.273

Photo_13

群馬県は、「点検」(8章)データは存在していません。
このまま「総合評価」(9章)をした場合、「ダムが必要である」と言えるでしょうか?

以上の例に基づけば、利水に関する部門意見と議員連盟等の意見に対する国土交通省の回答(2011年12月12日)のように、群馬県以外では、既存データによって点検確認されたとはいえますが、群馬県では行われておらず、また、全1都5県のデータをもとに検討主体が総合評価を行ったとは言えません。

また、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」においても「利水」についてだけでも660頁にわたる資料を評価できたとは考えられず、むしろ、中間とりまとめに沿った検証が行われたかどうかを確認する「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」に対し、資料の大量提供による情報隠しにより、ダム検証を不可能にさせたと考えられます。
以上が第一報です。

追伸 国土交通大臣 前田武志様
公文書管理法第2条4項「この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう」に基づき、この文書を組織として共有管理してくださいますよう、お願い致します。

|

« 12月13日取材メモ | トップページ | 八ツ場ダム政策決定者達への問題提示(治水) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/82688/43394627

この記事へのトラックバック一覧です: 八ツ場ダム政策決定者達への問題提示(利水):

« 12月13日取材メモ | トップページ | 八ツ場ダム政策決定者達への問題提示(治水) »