カテゴリー「ダム見直し」の98件の記事

2011年12月25日 (日)

各地の報告ダイジェストとリンク

5年の総括の前提の取材メモを一旦横へ置き、総括の前提の一つ「各地のダムレポート」のリンク(作成途上)を作る。

Photo_10

全国のダム反対運動が連絡を取り合っている水源開発問題全国連絡会という、一般ウケはしない(反原発デモが大新聞の一面に取り上げられないのと同じ理由である)市民団体の総会に行ったときの各地からの報告ダイジェストを書いた(あとで、その他のリンクと写真を貼らせていただく。左は長崎県営石木ダムに反対する住民の団結小屋、以下は付替道路予定地に立てられた看板)。

Photo_29

これを読めば、国民に選ばれた民主党大臣に「ダムにたよらない治水」を諮問されて、本来は単なる手足でしかない国交省職員たちがそれを単なる矮小化した「ダム検証」にすり替えていったこと(記者会見に乗り込んでいってどれだけ警告しても騙され続けた政務三役たちが政治家だったので仕方がないのか?)のバカバカしい仕事の結果の一部が分かる。↓クリックしてご覧下さい↓

続きを読む "各地の報告ダイジェストとリンク"

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2011年11月20日 (日)

ダム検証のあり方を問う公開討論会を!

民主党政権下で2009年11月に設置された
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の委員1人1人に対して、
http://www.mlit.go.jp/common/000052891.pdf
132人の科学者が公開討論を求めた。

有識者会議は83ダムを対象に「ダムにたよらない治水」を諮問され
非公開審議で見直し方法を決めた。
各ダム事業者が見直した結果を最後にチェックする役割をも担っている。

12月1日(委員の都合により変更可)、議員会館で!との挑戦状。
真摯な論争に期待したい。以下、全文を入手したので転載します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」
座長 中川博次様
委員 宇野尚雄様
委員 三本木健治様
委員 鈴木雅一様
委員 田中淳様
委員 辻本哲郎様
委員 道上正䂓様
委員 森田朗様
委員 山田正様

ダム検証のあり方を問う公開討論会への出席の要請

貴有識者会議が昨年9 月に発表された「中間とりまとめ」によってダム検証の進め方が定められ、それに基づいて、全国の83 ダム事業についてダム検証が行われてきました。すでに18 ダム事業はダム検証の結果が国土交通省に報告され、貴会議の審議を経て、国土交通大臣による方針決定が明らかにされています。各ダムの検証結果は、もともと中止がほぼ予定されていた5ダムを除いて事業継続という結論であって、貴会議はその検証結果を了承しています。

しかし、ダム検証の目的はこのように多くのダム事業にゴーサインを与えるものではなかったはずです。貴会議の趣旨に「『できるだけダムにたよらない治水』への政策転換を進めるとの考えに基づき」と書かれているように、ダムにたよらない方策を最大限に進めることがダム検証の趣旨でした。なぜ、このことと違ってしまったのか。私たちは関東地方整備局による検証が最終段階を迎えている八ッ場ダムについて、その内容を点検しましたが、残念ながら恣意的で非科学的な検証だと言わざるをえません。

第一に、利水については水需要の減少傾向が明白であるにもかかわらず、その実績を無視した、水需要が今後とも右肩上がりで増加するとの架空予測をそのまま認め、そのことを前提とした非現実的代替案との比較しか行っていません。現実と乖離したデータを用いての検証は、科学的といえるでしょうか。

第二に、治水については代替案の事業費が跳ね上がるように八ッ場ダムの効果を過大に評価した上での代替案との比較しか行っていません。利根川の流域住民の安全を守るために本当に必要な治水対策についての議論が無いままの検証作業でした。

第三に、自然の猛威によってダム事業が生命・財産を危機にさらしうることへの対策は不可欠です。東日本大震災のような巨大地震が生じた場合、浅間山の大噴火で膨大な泥流が流れ下った場合、今年9 月のように未曽有の豪雨に見舞われた場合など、自然の猛威を踏まえた検証は何も行われていませんでした。これらのリスクを配慮しない、想定範囲の狭い検証作業は恣意的すぎて、科学的と言えるものではありません。

このように、科学的とは言い難い検証は、科学者の良心として看過することができません。これらのダム検証の進め方は、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が定めた「中間とりまとめ」によるものです。この検証のあり方を科学的なものにしていくためには、貴会議の委員の皆様と議論を進めていく必要があると考えます。

つきましては、貴会議の委員の皆様と、私たち「科学者の会」のメンバーが社会に開かれた場で検証のあり方を冷静に議論する公開討論会を、12月1日(委員のご都合により変更可)に国会議員会館内の会議室で開催したいと存じます。

ご多忙のところ、まことに恐縮ですが、この公開討論会に是非、ご出席くださるよう、お願いいたします。皆様が科学者の良心として、この要請を真摯に受け止められることを期待いたします。

なお、ご返事は下記の連絡先へお願い致します。

2011年11月18日
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」
呼びかけ人:
今本健博(京都大学名誉教授)(代表)
川村晃生(慶応大学教授) (代表)
宇沢弘文(東京大学名誉教授)
牛山積(早稲田大学名誉教授)
大熊孝(新潟大学名誉教授)
奥西一夫(京都大学名誉教授)
関良基(拓殖大学准教授)(事務局)
冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)
西薗大実(群馬大学教授)
原科幸彦(東京工業大学教授)
湯浅欽史(元都立大学教授)

連絡先(ここでは略)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●報道
八ッ場有識者に「公開討論を」 反対派学者有志呼びかけ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111119-OYT8T00098.htm
(2011年11月19日  読売新聞)

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2011年11月 5日 (土)

Bunch of Useless Meetings(3)

ここからの続き

【「関心がない」と言われた】
宮村氏には、ぶら下がりインタビューで、2つの点をまとめて質した。

1. 八ツ場ダムの根拠である2005年に定められた「利根川水系河川整備基本方針」の中に位置づけられる基本高水の定め方を国交省は変更した。河川法16条に基づく「社会資本整備審議会」の審議ではなく、内閣府の日本学術会議で議論させ、基本高水の決め方を変えた。「社会資本整備審議会」には報告させただけ。

2. 利根川水系河川整備計画は河川法16条2で策定し始めたけど、途中で止まって宙づりになって正式に定められていない。今回突然、河川整備計画「相当量」1.7万トンという数字が出てきたけれども、正式にはいまだに1997年河川法以前にできた「工事実施基本計画」しか存在せず、「1.7万トンを河川整備計画相当量」はオーソライズされていない。

今の「利根川水系河川整備基本方針」も「利根川水系河川整備計画」もまったくlegitimacyがないがどう思うか。今日の意見聴取の場も位置づけがはっきりしない。そういうところで議論させられたことを学者としてどう思うか?

その答えが「あ~それ、関心がないんだ」だった。

「関心がない?」と聞き返した。「うん」「関心がない?」「うん。」「関心がない?」「うん。」100回ぐらいそのまま頭の中で「関心がない」が回っている。

Bunch of Useless Meetingsというわけはいずれ。

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Bunch of Useless Meetings(2)

ここからの続き

【収斂しそびれたテーマ「水余り」】
多角的な議論が行われた中に「水余り」のテーマがあった。
8. 岡本雅美・元日本大学生物資源科学部教授は、水余りの批判がかまびすしいと指摘し、水需要予測については各自治体が皆、余裕をもって予測するから、全体としては過大となるというカラクリの一つを解説した。
9. 野呂法夫・株式会社中日新聞社 東京新聞特別報道部は何故自治体があげてきた過大な需要予測を国交省の側で査定しないのか(宮村司会に極端な意見をここでは言うなといなされた人)と質していた。
10. 岡本氏は野呂氏の指摘について、国交省には自治体があげてきた水需要予測を査定する権限はないのだ、と、制度としての問題点を指摘した。

これこそが、学識者同士が議論する意味だ。問題が指摘され、その問題は何故起きているのかを分析する意見が出る。何がおかしいと感じるかと世論を代弁する記者を入れ、制度(カラクリ)を知っている識者を一堂に会させる意味である。そして、それを集約してさらに意見を昇華させることが「できる」采配力を発揮することができるのが司会者の役割である。

直後、岡本氏に取材をした。別件で取材があったのだが、ついでに8.9.10の論点をさらに踏み込んでもらい、一つの結論に達した。「国交省には自治体があげてきた水需要予測を査定する権限はないというのは、これは『水道施設設計指針』を改訂しなければダメですね」と質問すると、「そうです。つまり水道法の問題ですよ。水道法に『豊富』に供給しなければならないとあるから、それに基づいて『水道施設設計指針』は作られているんですよ」と。1往復で済む議論であり、問題への解決策が一つ抽出できた。

水道法を見てみると確かに「豊富低廉な水の供給を図り(第一条)」とあるが、「適正かつ合理的な使用(第二条)」ともあるので、水道法改正しなくても小手先の『水道施設設計指針』改訂で、人口が増えない限りは、新しい水道施設(この場合ダム)を作る前に水利権の整理、融通、調整をする、水漏れ防止工事を行うなどの条件をいれればいい。水道法改正か、水道施設設計指針改訂か、そのどちらかで議論の余地があるにせよ、その場でネットにアクセスして、法令データベースで調べて、ここまで議論をしたとしてもさらに数分である。

国交省に重用されてきた河川工学者である宮村忠氏は、厚労省所管の『水道施設設計指針』の存在を知らなかったのか。それとも知っていて司会力を発揮しなかったのだろうか。

今だから「ほじくり返す」必要のある制度はたくさんある。八ツ場ダムが本当に必要であれば作ればいい。私は本当にそう思っている。だが、制度が劣化しているから不要なものができるのは間違いだ。時代遅れになっている(かつては、水道施設(ダム)を急いで設計し整備しなければ経済発展や人口増加に間に合わなかったわけだが、今はそんな時代ではない)がために、時代遅れで必要性がない施設を、制度の見直しができないからといって、いや、制度の見直しにつなげることのできない議論しかできない会議(Bunch of Useless Meetings)しかできずに、単に未来世代にお荷物になる施設を追加して残して死んでいくべきではないと思っている。使命感をもった合理的な議論をして欲しいのだが・・・。

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Bunch of Useless Meetings(1)

昨日行われた「八ッ場ダム建設事業に係る検討報告書(素案)に対する学識経験を有する者の意見聴取の場」 へ取材にいった。司会があまりにもひどかった。今日中に仕上げないといけないことが諸々があるので、大きく括った3つのことだけ、記録しておく。

【司会の役割】
単なる「意見聴取の場」ではあっても、司会の役割はあるのではないか。
1. 学識者に言われた意見を事業者がきちんと正しく理解したか、
2. 意見を言った者の意見から言われた側の理解に漏れがないか、
3. 対面で意見聴取をする意味:意見を言われた事業者としてどう思うか
4. そのレスポンスに対して、さらなる追加意見があるかどうか。
司会としてそれを確認しなければ、単なる「公聴会」の司会でしかない。それがないなら、学識経験の枠を設けた意味がない手弁当で出かけていって喋る一般流域住民と何も変わらないから謝礼を返してくださいという話である。

ところが昨日の司会者(宮村忠・関東学院大学名誉教授)が司会中に采配したことは3つ。
5. 国交省に対して、「今の(学識者の意見)は意見として収めておいてください」とつないだこと。
6. 学識者に対して、「今のは意見ということでいいですね」と質問まじりの意見を抑制し、「極端な意見はここでは言わないでください」といなしたこと。
7. 検証検討について「現地の人々のことを考えれば、いまさらほじくり返すべきではない」との個人的な意見を、会議の締めくくりで
述べたこと。そういう立ち位置で5.6のような采配を行ったわけだった。

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2011年10月27日 (木)

前田武士大臣会見

先週金曜日、前田武士国土交通大臣になってから初めて会見に行った。
ダムを推進してきた河川工学者と専門外の有識者という情報と発言力非対称の委員構成、かつ非公開(記者に公開、国民に非公開)で行っている問題の多い「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」について尋ねた。

獲得できた回答は、ダムに頼らない治水の実践者などの会議への追加について。「必要な人に適宜出ていただくというようなことは考えても良いのではないかと思っておりますとのこと。大臣の認識について疑義がある箇所には下線を引っ張った。

http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin111021.html

(問)今後の治水対策のあり方に関する有識者会議についてですが、これまでいくつかのダムが中止となり、又は継続となっておりますが、継続とされたものの中には委員たちが水余りを指摘したものもありました。
そういう意味で、前原大臣になった時に、批判的な意見を持っている委員ではなく、それまで推進してきた委員を中心に、推進してきた委員の考え方を変えてもらうのだという人選が行われたと思いますが、今後、今までの検証を踏まえて、委員の追加をお考えになった方がよろしいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
(答)有識者会議の委員の構成をもっと増やした方が良いということですか。

(問)例えば、原発事故を踏まえて、エネルギー総合政策の委員会の方も批判的な委員を加えました。今の委員のメンバーは、推進の方、河川工学者、そしてそれ以外の方という構成になっています。それに対しては随分と批判がございましたので、この辺りで軌道修正をするというようなこと、ダムに頼らない治水を実践してきた方、例えば元国土交通省の職員であった宮本博司さんなどを加えるということはいかがでしょうか。

(答)具体的な人事のご提案のようですが、私の今の理解では、有識者会議というのはオールジャパンの83事業に対して、有識者の高い見識で評価をしていただく会議だと思っております。そして、各具体のダム事業については、各地方整備局を主体にした検討の場がございますので、そこに自治体の長や、かなり専門的な方々も入っていただいて、時には適宜、学術会議に色々検討していただくということも含めて行っております。ですから、有識者会議は元々幅広い構成になっていると理解しております。

特にご指名でこの人ということ自体が、何か意図を持ってというように見られるおそれもあるかなという感じもいたします。もちろん今のようなご指摘があるということも承知しておりますので、必要に応じて、そのような方々も来ていただくような機会は考えなければならないと思います

更に申し上げれば、私は就任以来何度か、前原大臣の時に作っていただいた検討の場、有識者会議、そして検討の場できちんと自治体の長も入って選択されたことを有識者会議に持っていって評価をしていただく、そういった先入観のない検証をしっかり行った上で大臣が決断するというスキームを崩さないということをずっと申し上げているわけです。

このスキームそのものは大事にしていかないと、そもそもの信頼と言いますか、行ってきたこと自体全てがおかしくなるといけませんので。しかし、そこに今ご指摘のような観点から、必要な人に適宜出ていただくというようなことは考えても良いのではないかと思っております。

更に申し上げると、3.11の大震災の教訓というものが何か、その教訓を踏まえた上で、有識者会議にきちんと資料を提供できるようにしたいということが私の考えでありまして、御承知のように、7月の半ばに行われた社会資本整備審議会において、今回の東日本大震災のことについて議論をずいぶんと行っていただいた結果として、命が大事だ、そして災害に上限はないと、この二つの教訓を導き出していただいているのです。

これを踏まえて、国交省の中に、事務次官を長とするタスクフォースを作っていただきました。このタスクフォースは原局である水管理・国土保全局、要するに検討の場というものは各地方整備局でありますが、それが本省に上がってくると、ダム関係というのは水管理・国土保全局になりますので、利益相反にならないようにこことは遮蔽をしております。

今、そのタクスフォースがかなり方向性を出してくれておりまして、そこでいろいろな立場の有識者の話も聞くし、60年にわたって調査を行ってきているのですから、その中には議論されて、今は埋もれてしまっているようなものもありますので、そういうものも全部精査していただいた上で、3.11の二つの方針に沿った資料を集めていただいて、それを有識者会議に提供するということを行っております。

(問)埋もれている資料について、もう1点だけ確認をさせてください。3.11に限らないのですが、例えば、栃木県などは利水はしませんし、治水については、過去、八ッ場ダムの計画を作るときに、当時の建設省の方から参加をしていただけないだろうかという話があったので参画しているということで、栃木県は、実際は利根川とは接してもいないのです。そういった経緯も掘り起こして、国が声をかけて自治体に参加してもらったというようなものは、国自身がもう一度その必要であるかどうかということを検証する必要があるのではないでしょうか。

(答)私も、あまり専門的というか、詳しいことになると、この立場ですからわかりませんが、今のお話はたぶん検討の場においては当然関東地方全体ですから。今、栃木県と言われましたが、栃木県というのは利根川の流域にもなるわけです。思川だとか、こういった川は確か栃木県だったと思います。そういったことも含めて、中にはたぶん資料としてあるはずですから、そういったものも見つけ出せるかもわかりません。

(問)バーターでやったところがあるそうです。
(答)ちょっと何のことだかよくわかりませんが。

(問)思川にも賛成してもらうので、八ッ場にも賛成してくださいということで、実際には関係ない地域同士が入っているということでした。
(答)そういったことも含めて、その中に入ってくるかどうかですね。もちろん、パブリックコメントがありますから、詳しくはパブリックコメントに今言われたようなことも是非提供されたら良いと思います。

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2011年9月24日 (土)

シンポジウムを終えて思うこと

過大であると言われ続けてきた「水需要予測」や「洪水予測」。

●しかし、実際には、ダム完成後に水余りで水道料金があがり
(ex神奈川県/宮ヶ瀬ダム・相模大堰)
買い手がなかった工業用水分の負担を自治体がかぶってきた。
(ex三重県/長良川河口堰)

それを見越して、無駄遣いになるから止めてくれと
住民訴訟が提起されても、訴訟の最中にダム工事が進み、
完成した頃に判決が出るが、「行政の裁量」が認められて住民側が敗訴する・・・。先進国でありながら、これだけ形骸化した司法もないと思うが。

でもやがて、住民が指摘したとおり、
水の使い道や買い手がなかったことがバレる。
誰も責任を取らない。税金が足りず、国と自治体の借金になる。
ハズレだらけだったのが「水需要予測」だ。

●「洪水予測」のハズレはもっとひどい。
洪水予測を大きくすればするほどダムが作れる便利な理屈だ。
ダムをたくさん造りたければ、洪水予測を大きくすればいい。

しかし、実際に重要なのは洪水予測が正しいかどうかではない。

過大な洪水予測をしておいてダム建設の根拠につかっていることは正されなければならないにしても、その先がある。

ダムが貯められる量には限度があるということだ。
そのダムにとっての貯水量の限界がくれば、
「ただし書き操作」によって入ってきた量だけ放流することができる。
中小の雨ならそもそもダムは要らないし、
ほんとうに大規模な洪水にはダムは役に立たない。
ダムに収まるだけのピッタリした場所にピッタリした雨が
降ってくれるわけではない。

しかも、ダムにおあつらえむきの洪水が来ても
実は効果は薄く水位の低下が10数㎝だったりする。
でもダムとはその程度のものだということを
河川管理者は自分の口からは言いたがらない。
時々「数㎝でもいいから水位を下げたい」と感情論でダムの必要性を訴える河川官僚がいるが、実際のところは数㎝しか下がらない程度のものだとよく分かっている。でもその言葉のトリックで、住民はもっとうんと水位が下がると思いこまされている

ダムは安全神話に守られているが
住民はすべての洪水に対してダムに守られているわけではない。
ところがそれを知らされるのは、ダムが役に立たずに被害にあったあとだ。

「八ツ場ダム」だけではなく、見直しにかけられている83のダムが
その「安全神話」に守られたままだ
自治体も国の安全神話に騙されたふりしている。

今後の治水対策のあり方に関する有識者会議での議論も
日本学術会議での議論も

この「洪水予測&ダム」神話を問い直す議論はできていない。
昨日のシンポジウムの第一部の私の反省点は、数多くの不手際は別としても
(いやはや開始直前にギックリ腰が再発したことも含め、多々ある(滝汗^^;)
その点をもう少し強調できなかったところかもしれない。

安全神話をうち破る一番の近道は「自治」なんだろうと
別に国を見限るわけではないが、最近そう考えている。

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2011年9月22日 (木)

豪雨とダム

元国土交通省防災課長、淀川流域委員会委員長だった宮本博司さんが
小出裕章さんがいつも出ているたね蒔きジャーナルに電話出演

20110919 [1/2]たね蒔きジャーナル「記録的豪雨にダムは機能したか?」
http://www.youtube.com/watch?v=KzovuC9nMZM&feature=colike
20110919 [2/2]たね蒔きジャーナル「記録的豪雨にダムは機能したか?」
http://www.youtube.com/watch?v=_GhdHCfbPlk&feature=colike 

・想定外の大雨が降るとダムは機能しないこと
・ダムが効果を発揮するストライクゾーンは小さいこと
・ダムの安全神話
・八ツ場ダムを見直すということはどういうことだったのか?
・命を守るためにやらなければならないことは何か?
などにつきお話しをしています。

その他のニュース
長崎県 石木ダムはいらない!全国集会10月23日
http://blog.goo.ne.jp/hotaru392011/e/c33d44e69e7adfe37fa5cb6283d236e1
●沖縄意見広告運動が、ニューヨークタイムズ・ウエブ版に!
http://www.nytimes.com/pages/world/index.html
●長良川河口堰、開門求める報告書 愛知県専門委
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011092190144103.html

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2011年9月21日 (水)

八ツ場ダムの選び方と23日シンポジウム

●嶋津 暉之(しまづてるゆき)さんが国交省地方整備局による八ツ場ダム治水・利水の検証の解説記事を詳しく書いている。利水について5案、治水について5案から八ツ場ダムが最も有利と判断した茶番の解説です。

●その茶番の前のプロセスをこちらで補足しておきます。
実は、この利水・治水各5案に絞り込む前からすでに茶番でした。

できるだけダムに頼らない治水」をテーマに話し合ってね、という国土交通大臣諮問を受けた今後の治水対策のあり方に関する有識者会議が2009年12月3日、ダムに頼ってもいいでしょ?という議論を一番最初にやったところから始まります。決定的なやり取りだけ抜粋します。↓
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai1kai/dai1kai_gijiroku.pdf
委員「既存のストックのダムを使った治水とか、どうしてもつくらなければならないダムとか、もう少しフレキシブルに考えられたほうがよろしいのではないかと私は思います。」
政務三役「既存のダムはできるだけ活用するということは、できるだけダムに頼らない治水とは何ら相反しない

「ダムに頼らない」がテーマなのに一番に「ダムを排除しない」ことをねじ込んだ。この会議は非公開だったので、議事録がだいぶだって公表され、「なんだこりゃ」と思いました。

そこで閉鎖的な記者クラブの規則やぶりを(記者クラブルール改正を要請しながら)繰り返し、役人にハラスメントを受けながらも会見に行っては質問して短信を書いていたんですが・・・。(取材は障害だらけです。このことを顕在化させた上杉隆さんはエライです)

●そうして昨年10月から八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場今後の治水対策のあり方に関する有識者会議 の後ろで文書を書いている人たちのやり方で、ダム」を選択肢の一番上に持ってきて

バカバカしい利水17方策と(↓クリックで拡大)
Water_alt
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000019762.pdf

バカバカしい治水26方策と(↓クリックで拡大)
Flood_control_alt
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000019761.pdf

を悠長に説明して、一都五県に何やっているのか、早く着工しろ!工期が伸びた分や国が払え、リアリティーのない代替案だと、毎回毎回大合唱させながら時間が過ぎました。

その中から冒頭の嶋津さんが解説している各5案へと絞っていきました。

ダムに頼ってもいいでしょ?というやり取りから2年。その間、大臣4人目・・・。官僚は腹を抱えて笑いますわね、笑われているのは国民です。

●それが大臣の政治的意思をねじ曲げて我田引水するのが得意な霞ヶ関での「八ツ場ダムの選び方」でした。こんなダム見直しを今、全国各地のダムでやっています。見直しさせないための遠回りな、出発したところに戻ってくる。タヌキかキツネに騙されて森を彷徨ったような話ですね(タヌキさんとキツネさんに失礼か・・・)つまり、このプロセス、時間、人間の使い方自体が税金のムダづかいですね。そういうことを予測した上で政が官をコントロールしなければならなかったのですが。

◆前原大臣時代に始めた「ダムに頼らない治水」は
今後の治水対策のあり方に関する有識者会議(ダム推進学者の会議)と
八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場(役人だらけの会議)
の二本立てで、ダムへと誘導し、

◆馬淵大臣時代に暴いた「利根川水系の基本高水の嘘」は
内閣府の日本学術会議に委託し、中身はコンサル(基本高水の受託企業)に雇われている学者が、関係学会に相談の上、嘘の基本高水をスルーさせる失態を演じた国交省の社会資本整備審議会の委員を委員長にして、本当は嘘だと分かるデータが出たのになぜか解釈だけは今のままでいいと言わせた。

●この間、立法府での地道な作業もあった↓

民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」会長の川内博史衆議院議員がブログで「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」を前原政調会長に提出したことをビデオメッセージで伝えている。

川内博史ビデオメッセージvol.3(2011年9月16日)
その法案一式はこちら
『八ッ場ダム等特別措置法 要望書』[2011年09月16日]
『八ツ場ダム等特別措置法(要綱)』[2011年09月16日]
『八ツ場ダム等特別措置法資料(概要)』[2011年09月16日]

超党派の一都五県の議員達も正念場と捉えている→総会の模様(YouTube)
http://www.youtube.com/user/yambatomorrow

そして前橋で

★9/23(祝・金)シンポジウム「知っていますか?八ッ場ダムの真実」
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-1167.html

国を変えるってことは人づくりですね。

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2011年9月15日 (木)

ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案

民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」が、
先週、「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」を公表した。節目となる大きなニュースだが、まだあまり取り上げられていない。
法案を入手したのでその概要を以下に張り付けます。
概要→「livelihood_program.pdf」をダウンロード

今現在は、これに相当するダムを推進させるための「水源地域対策特別措置法」が存在する。これは「人」ではなく「地域」にハコモノをばらまいて、地域を公共事業依存症にさせてしまう副作用があった。残念ながら長野原町周辺でもまさにその状態で、そのクスリが切れることを恐れる群馬版政官業トライアングル(しがらみ)に、人々ががんじがらめになっていた。

本来はそのような目的で作られたわけではなかったが、結果的にそのような性質の法律となり、ダム事業が長期化する中で、ダム事業自体が不要となってからも、「一度始まったら止めらないダム病」を悪化させるクスリとして作用してしまっていた。

一方で、水没予定地の人々の「生活」「生計」とは関係のない、地域へのハコモノバラマキ策だったので、不利益を被り、本来は最も受益を受けるべき水没予定地の人々が何十年にもわたって捨て置かれるという、非情な運用がなされてきた。

今回の「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」は、法案を読む限り、ダム事業と生活再建を明確に切り離して、方向転換による混乱を低減させ、非情に捨て置かれてきた1人ひとりの「生活」や「地域」が立ち行くように制度設計されている。移転することなく地域に踏みとどまって地域をまもってきた人々を支援する第8条人が移転してしまった土地を活用するための第7条などが特徴的だ。繰り返すが運用はどの法律もそうであるように、為政者の理念と人々の良心にかかっている。

八ツ場ダムの場合は、「ダム湖による観光」という夢(絵に描いた餅)を描かされていたので、「ダム事業」と「生活再建」を「切り離せない」と言葉にする人が水没地域のうち川原湯温泉にはいると思う。3人の人からそんな言葉を聞いたことがあるが、彼らが「ダム湖による観光」を本当に信じているとも思えないのだ。

幸せに生きることはとても難しいし、とても簡単だ。法案概要を見ていて、そう思う。

この法律案は、八ツ場ダムだけに限らず、ダム事業の見直しを行っている政権として不可欠なものであることは言うまでもない。ダムを進めるにしろ、進めないにしろ、まずはセーフティネットを張ることが重要であり、為政者としては最初にすべきことではあった。一刻も早く成立させておくことが当たり前の社会への一歩だ。

それにしても、省益を損なう流れを作るような法律は官僚が書く閣法からは出てこない。官僚に頼らず、議員立法で出されようとしていることがミソであり、ようやく新しい時代へ少し向いたことになるのだろうか。

◆八ッ場「生活再建法」に試案 民主議連 臨時国会提出へ準備
(2011年9月8日 読売新聞群馬版)
◆地域振興法「早期に」 八ッ場 中止見据え反対議連
(2011年9月8日 上毛新聞)
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-1175.html

◆八ッ場ダム、政府・民主首脳が最終判断 (動画)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4826377.html
TBS9月14日
◆政府民主首脳で最終判断 八ツ場ダム建設の是非で藤村長官
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110914/plc11091414490014-n1.htm
産経ニュース2011.9.14 14:48
◆「早く生活再建を」 長野原町住民ら
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110914/CK2011091402000073.html
東京新聞2011年9月14日
◆八ツ場ダムの是非、政府・民主三役で判断 官房長官
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E3E6E2E0908DE3E6E2EBE0E2E3E38297EAE2E2E2;at=ALL
日経新聞2011/9/14 19:56

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